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川のカジカ釣り完全ガイド:初心者向け釣り方・時期・ポイント徹底解説

澄んだ水が流れる川、その川底にひっそりと暮らす魅力的な魚、それが川のカジカです。地方によっては「ゴリ」などとも呼ばれ親しまれていますが、標準和名では「カジカ」として知られています。このカジカ釣り、特に「見釣り(みづり)」と呼ばれる、魚がエサに食いつく瞬間を直接目で見て楽しむ釣り方は、初心者やお子さんにとっても非常にエキサイティングな体験となるでしょう。この記事では、そんな川のカジカ釣りの世界へ足を踏み入れたい初心者の皆さんのために、カジカの生態から、具体的な釣り場の見つけ方、必要な道具、基本的な釣り方、そして安全に楽しむための注意点まで、分かりやすく徹底的に解説していきます。

川のカジカ(ゴリ)ってどんな魚?生態と種類を知ろう

川に棲むカジカの仲間たち

「カジカ」と一言で言っても、実は多くの種類が含まれる魚のグループ名です。しかし、このガイドで主に取り上げるのは、初心者が川で手軽に狙える淡水性のカジカです。

その代表格が、標準和名「カジカ」(学名: Cottus pollux)で、特に卵が大きいことから「カジカ大卵型」とも呼ばれる種類です。このカジカは一生を川で過ごす純淡水魚です。同じような環境には、「ウツセミカジカ」(学名: Cottus reinii)という近縁種も生息しており、こちらは川や湖で一生を過ごす陸封型と、海へ下って成長する降海型の両方が存在します。

ここで大切なのは、これらの川に棲む小型のカジカと、海や汽水域に生息する大型のカジカ(例えば、北海道などで人気のトゲカジカは体長70cmにもなることがあります、その他マカジカやトウベツカジカなど)とは区別して考えることです。海の大型カジカは、投げ釣りやルアーフィッシングで、防波堤や船から専門のタックルを使って狙うことが多く、このガイドで紹介する川の小物釣りとは対象も釣り方も異なります。初心者が川でカジカ釣りを始めるにあたっては、まずこの点を理解しておくことで、適切な期待感と準備ができます。

カジカの暮らしと習性

生息環境: 川のカジカは、水のきれいな、酸素を豊富に含んだ河川の上流から中流域にかけて生息しています。川底が砂利や様々な大きさの石で構成されている場所を好み、泥や砂だけの川底ではあまり見られません。

行動と隠れ家: カジカは優れた保護色を持ち、川底の石に擬態する名人です。一日のほとんどを、石の下や岩の隙間に身を隠して過ごします。これらの隠れ家は、釣り人の間では「カジカマンション」とも呼ばれています。この隠れ家を見つけることが、カジカ釣りの第一歩と言えるでしょう。

食性: カジカは肉食性で、主に川底にいる水生昆虫(カワゲラやカゲロウの幼虫など)や小さな甲殻類、時には小魚や魚の卵なども捕食します。この食性から、エサにはイクラ(魚の卵に似ているため)や川虫が非常に有効とされています。

活動時間: 基本的には夜行性で、夕方から明け方にかけて活発にエサを探し回ると言われています。しかし、日中でも目の前にエサが運ばれてくれば、積極的に捕食する機会を逃しません。特に、本ガイドで推奨する「見釣り」では、日中にカジカの隠れ家へ直接エサを送り込むため、日中でも十分に釣果が期待できます。海のカジカ釣りでは夜釣りが有利とされる情報もありますが、それは潮の満ち引きなどが影響する海や汽水域の釣りの話であり、川のカジカの見釣りは日中が一般的です。

繁殖(参考): カジカの産卵期は、地域にもよりますが、概ね冬の終わりから初夏(2月~6月頃)にかけてです。オスは石の下などに縄張りを作り、メスを誘い込んで産卵させ、卵が孵化するまでオスが保護します。釣りのメインシーズンはこれより後になります。

カジカのこのような生態、特に隠れ家を好み、目の前に来たエサに反応するという習性を理解することが、釣果を上げるための重要な鍵となります。彼らは積極的に広範囲を泳ぎ回る魚ではないため、釣り人側から彼らのテリトリーに直接アプローチする必要があるのです。

カジカ釣りのベストシーズンと時間帯

カジカ釣りの主なシーズン:初夏から秋が狙い目

川のカジカ釣り、特に初心者にも優しく、釣りの醍醐味を存分に味わえる「見釣り」のベストシーズンは、一般的に**初夏(6月頃)から秋(10月~11月頃)**までとされています。

この時期が最適な理由はいくつかあります。まず、水温が上昇しカジカの活性が高まること。次に、気候が温暖で、釣り人が水辺で活動するのに快適であること(夏場は水着で楽しむ人もいるほどです)。そして、梅雨明けから秋にかけては、大雨の後などを除けば川の水量が安定し、水も澄んでいることが多く、これが「見釣り」には不可欠な条件となるからです。夏休みなどにも重なるため、家族連れで楽しむのにも最適なアクティビティと言えるでしょう。

ただし、釣りが可能な期間は、地域や河川によって厳密に定められている場合があるので注意が必要です。例えば、栃木県の箒川では、関谷地区が例年6月1日~10月31日、塩原地区では9月1日~9月19日と、非常に短い期間だけカジカ釣りが解禁されるといった例があります。釣行前には、必ず対象河川の漁業協同組合などに問い合わせて、禁漁期間や遊漁規則を確認するようにしましょう。

なお、一部の情報ではカジカのシーズンを10月下旬から1月いっぱいとするものもありますが、これは主に産卵のために岸に寄るカジカ(おそらく海産や汽水産の大型種、例えばケムシカジカなど)を夜釣りで狙う場合の話であり、本ガイドが対象とする川の小物としてのカジカを日中に見釣りで楽しむのとは状況が異なります。

狙い目の時間帯:カジカが活発になるのは?

カジカは基本的に夜行性の魚で、薄暗い明け方や夕暮れ時(マズメ時)に最も活発にエサを探し回るとされています。しかし、初心者が楽しむ「見釣り」に関しては、日中が最も適した時間帯と言えます。

その理由は、「見釣り」が箱メガネなどを使って水中のカジカやその隠れ家を直接視認し、正確にエサを送り込む釣り方だからです。これには十分な光量が必要不可欠です。日中、カジカは岩陰で休んでいることが多いですが、目の前に美味しそうなエサが届けられれば、思わず飛びついてくることが多いのです。彼らは目の前のチャンスを逃さない、機を見るに敏な魚でもあります。

海のカジカ釣りで「夜釣りが絶対に有利」とされるのは、潮の動きが活発になり、カジカが岸辺に接岸して捕食活動を行うような、海や汽水域特有の状況を指していると考えられます。川での日中の見釣りは、カジカの隠れ家を直接攻略するスタイルであり、魚の一般的な活動サイクルとは異なるアプローチで釣果を上げるのです。

カジカはどこにいる?有望な釣り場とポイントの見つけ方

カジカが潜む川の特徴

カジカを見つけるためには、まずカジカが好む川のタイプを知ることが大切です。

水質と透明度: カジカはきれいな水を好む魚です。水質が悪かったり、ひどく濁っている川にはあまり生息していません。ヤマメやイワナといった渓流魚やアユなどが棲めるような、比較的澄んだ水質の川が目安となります。見釣りをする上でも、水の透明度は重要な要素です。

川の区間: 一般的に、山間部を流れる河川の上流部から中流部にかけて多く見られます。流れが急すぎる激流の区間や、逆に流れがほとんどなく淀んでしまうような下流の感潮域よりは、適度な流れと変化に富んだ川相を持つ場所が良いでしょう。

川底の質: 最も重要なのが川底の状態で、砂利や様々な大きさの石がゴロゴロしている場所を好みます。特に、サッカーボール大以上の石が点在しているような場所は有望です。泥底や砂だけの平坦な川底には、カジカの隠れ家となる場所が少ないため、あまり期待できません。

水深と流れ: カジカは意外と浅い場所にも潜んでいます。水深は膝丈くらいまであれば十分で、そのような場所はウェーダーなしでも比較的安全に釣りが楽しめます。流れが穏やかで、かつ、水通しの良い石の下や隙間を好みます。強い流れが直接当たる場所は避け、石などで流れが弱まっているような場所を探しましょう。

カジカの生息は、その川の健全さを示す一つの指標とも言えます。きれいな川で、豊かな自然を感じながら釣りをするのは、カジカ釣りの大きな魅力の一つです。

「カジカマンション」を探せ!具体的なポイント選び

カジカは川のどこにでもいるわけではなく、特定の好む場所に集まっています。その隠れ家、通称「カジカマンション」を見つけ出すことが釣果への近道です。

狙うべき隠れ家:

  • 石の下: カジカは安定した中~大型の石の下に潜んでいることが多いです。川底の石の下に潜り込む習性があります。
  • 石と石の隙間: いくつかの石が組み合わさってできた隙間や穴は、カジカにとって絶好の隠れ家です。流れから身を守り、外敵からも隠れやすいためです。
  • 流れの変化点: 大きな石などによって流れが遮られ、その下流側や脇にできる流れの緩やかな場所(ヨレやタルミ)も好ポイントです。カジカはこのような場所に潜み、流れてくるエサを待ち構えています。

ポイントの見極め方:

  • 大人が持ち上げられる程度の、少し大きな石がゴロゴロしている場所は特に有望です。
  • 川底がゴツゴツとした岩盤になっているような場所も、カジカが多く潜んでいる可能性があります。
  • もし1匹カジカが釣れたら、その周辺の同様の隙間や石の下を丹念に探ってみましょう。同じような条件の場所には、他のカジカも潜んでいることが多いものです。

カジカ釣りは、ただ漠然とエサを投じるのではなく、これらの「カジカマンション」を一つ一つ丁寧に探っていく、まるで宝探しのような面白さがあります。足元の石組みに目を凝らし、カジカが潜んでいそうな「怪しい穴」を見つけ出す観察眼を養うことも、この釣りの楽しみの一つです。

初心者のためのカジカ釣り道具:基本のタックルとエサ

カジカの「見釣り」基本装備(エサ釣り)

川のカジカ釣りの魅力の一つは、道具立てが非常にシンプルで手軽なことです。高価な道具は必要なく、初心者でもすぐに揃えられます。

竿(サオ):

  • 長さ1mから1.5m程度の短い竿が最適です。短い竿は、狭いポイントへ正確にエサを送り込むのに適しており、取り回しも楽です。
  • 専用の「カジカ竿」があればベストですが、釣具店で安価に手に入る「金魚竿」や、万能な「延べ竿」の穂先部分だけを使うのも良いでしょう。極端な話、丈夫でまっすぐな木の枝でも代用できるほどです。
  • 竿の調子(硬さ)は、ある程度硬めのものがおすすめです。「穂先が軟らかすぎると釣りにならない」と言われるように、柔らかすぎる竿先は流れの中でコントロールしにくく、繊細なアタリも取りづらいためです。

仕掛け(シカケ): 驚くほどシンプルです。

  • 道糸とハリス: 竿先から直接、15cm~30cm程度の短い道糸を垂らすだけで十分です。ハリス(針を結ぶ糸)を使う場合も、4cm~10cmとごく短くします。これは、長いと流れにエサがあおられてしまい、狙った隙間にうまく入らないためです。
  • ハリ(鈎): カジカの口は小さいので、小さなハリを使います。カジカ専用バリやハゼ用の5~7号、または袖バリの3~5号などが適しています。
  • オモリ(錘): エサをカジカの目の前まで沈めるために、ごく小さなオモリを使います。B~3B程度のガン玉をハリの上数センチのところに取り付けるのが一般的です。岩の隙間での根掛かりを避けるためには、板オモリよりもガン玉(カミツブシ)の方が適しているという意見もあります。オモリは、流れに負けずにエサを沈められる最小限の重さに調整するのがコツです。
  • 便利アイテム: 竿先に「自動ハリス止メ」という小さな金具を取り付けておくと、ハリス付きのハリを簡単に交換できて便利です。特に結びが苦手な初心者にはおすすめです。

箱メガネ(ハコメガネ)/水中メガネ:

  • これはカジカの見釣りにおいて最も重要な道具と言っても過言ではありません。木製やプラスチック製の箱の底にガラスがはめ込まれたもので、これを水面に押し当てて中を覗くと、水面の反射が消えて水中が驚くほどクリアに見えます。カジカの姿や隠れ家を見つけ、正確にエサを送り込むために必須のアイテムです。

エサ:

  • イクラ: 川のカジカ釣りでは、イクラが最もポピュラーで効果的なエサとされています。その匂い、見た目(魚の卵に似ている)、そして柔らかい食感がカジカを強く誘います。ハリには1~2粒をチョン掛けします。
  • エサの管理: イクラは非常にデリケートです。濡れたり乾燥したりするとすぐに使えなくなるため、密閉できる小さな防水ケースなどに入れて持ち運び、使う分だけ取り出すようにしましょう。白っぽくなったり形が崩れたりしたら新しいものに交換します。
  • その他のエサ: イクラが手に入らない場合や、変化をつけたい時には、小さなミミズや、川の石をひっくり返すと見つかる川虫(カワゲラやカゲロウの幼虫など)も非常に有効なエサとなります。

この道具のシンプルさと手軽さは、カジカ釣りが初心者にとって非常に取り組みやすい理由の一つです。高価なリールや複雑な仕掛けは一切不要で、釣りの原点とも言える素朴なスタイルで楽しめます。特に箱メガネを通して見る水中の世界は、まるで魔法の窓を手に入れたような感動があり、これだけでもカジカ釣りを試す価値があると言えるでしょう。

(参考)カジカのルアー釣りについて

ユーザーの質問にはルアー釣りについての言及もありました。確かに、カジカの仲間にはルアーで釣れる種類もいます。特に北海道などで狙われる大型の海産カジカ(マカジカ、トウベツカジカ、ギスカジカなど)は、ロックフィッシュ用のタックルに大きめのワームやメタルジグ、時にはビッグベイトなどを使って釣る人気ターゲットです。これらの釣りは、港湾部や沖堤、河口域などで行われ、使用するタックルも7~8フィートのHクラスのロッドに太めのラインといった、本格的なものです。

しかし、このガイドで対象としている一般的な川に棲む小型のカジカ(カジカ Cottus pollux など)を初心者がルアーで狙うのは、あまり一般的ではなく、難易度も高いと言わざるを得ません。彼らのサイズや、岩の隙間に潜む習性を考えると、ルアーで効率よく釣るのはベテランでも工夫が必要です。

もし経験豊富なアングラーが、あえて川の小型カジカをルアーで狙うとすれば、極めて小型で繊細なルアー(マイクロサイズのソフトルアーを極小ジグヘッドにセットしたもの、小型のスピナーやスプーン、あるいはフライフィッシング用のニンフなど)を、カジカが潜んでいそうな岩の隙間にピンポイントで送り込むような、非常にテクニカルな釣りになるでしょう。

結論として、川のカジカ釣りをこれから始める初心者の方には、圧倒的に実績があり、手軽で、釣りの楽しさをダイレクトに味わえる「見釣り」でのエサ釣りを強くおすすめします。

その他あると便利な道具

基本的な釣り道具以外にも、あると釣りがより快適に、そして安全になるアイテムを紹介します。

履物・服装:

  • ウェーダー: 胸まであるチェストハイウェーダーが理想的です。川の中を歩き回っても濡れる心配がなく、水温が低い時期でも快適です。
  • 代替案: ウェーダーがない場合は、濡れてもよい速乾性のズボンに、滑りにくいウォーターシューズや古くなったスニーカーなどを合わせます。ただし、必ず着替えを用意しておきましょう。 釣った魚のキープ(持ち帰る場合。必ず現地の規則を確認):
  • 小さなバケツや、伝統的な魚籠(びく)。
  • アユ釣りで使われる引き舟も、釣ったカジカを生かしておくのに便利です。 快適性・視認性・安全性向上アイテム:
  • 偏光サングラス: 水面のギラつきを抑え、水中の様子を見やすくしてくれます。箱メガネを使う際にも、その前段階でのポイント探しに役立ちます。
  • 帽子: 日差しを避け、熱中症対策にもなります。
  • 小さなタモ網: カジカは小さい魚ですが、足場の悪い場所や、ハリ掛かりが浅い場合に備えてあると安心です。箱メガネ自体が、ハリから外れそうになったカジカをすくうタモ代わりになることもあります。
  • 薄手の手袋(任意): 日焼け防止や、岩場での手の保護に役立ちます。

これらのアイテムは必須ではありませんが、特に水辺での活動に慣れていない初心者にとっては、快適性や安全性を高め、釣りに集中できる環境を作る助けとなります。釣行がより楽しい思い出になるよう、準備を整えましょう。

初心者のための川カジカ見釣り道具チェックリスト

道具推奨スペック・タイプ目的・ポイント
竿1m~1.5m程度、比較的硬め(金魚竿、カジカ竿、延べ竿の穂先など)正確なエサの送り込み、操作性
竿先から15cm~30cm(または短いハリス4cm~10cm)流れの影響を最小限に、ダイレクトな操作感
カジカ用・ハゼ用(5~7号)、袖バリ(3~5号)カジカの口に合わせた小型サイズ
オモリ小型ガン玉(B~3B程度)エサを自然に沈める最小限の重さ
エサイクラ最も実績の高い特効エサ
箱メガネ必須水中を鮮明に観察するため
履物ウェーダー、または滑りにくいウォーターシューズなど川の中での安全性と快適性
バケツ・ビクなど小型のもので十分釣った魚のキープ用(持ち帰り可の場合)
偏光サングラスあれば便利水面の反射を抑え、視認性向上
帽子あれば便利日差し対策、熱中症予防

このチェックリストは、カジカ釣りを始めるにあたって最低限必要なもの、そしてあると便利なものをまとめたものです。特に「箱メガネ」は、この釣りの核心とも言える道具なので、忘れずに準備しましょう。これらのシンプルな道具立てが、カジカ釣りの手軽さと奥深さを支えています。

カジカ釣りの基本テクニック:初心者でも釣れるコツ

カジカ釣りの王道!「見釣り」のやり方

川のカジカ釣りの最も代表的で、初心者にも分かりやすくエキサイティングな釣り方が「見釣り」です。その手順を詳しく見ていきましょう。

  1. 静かにポイントへ接近する: 膝丈くらいの水深で、川底に石がゴロゴロしている有望な場所へ、ゆっくりと静かに近づきます。急な動きや大きな音、水底をかき混ぜるような行動はカジカを警戒させてしまうので避けましょう。
  2. 箱メガネを使いこなす: 箱メガネのガラス面を水面にしっかりと押し当て、上から覗き込みます。こうすることで水面の光の反射が消え、水中の様子が驚くほどクリアに見えるはずです。これがカジカの世界への窓となります。
  3. カジカの隠れ家(カジカマンション)を探す: 箱メガネで水中の石と石の隙間、大きめの石の下、岩の割れ目などを丹念に観察します。カジカは保護色で見つけにくいこともありますが、特徴的な形やわずかな動き、あるいはカジカが潜んでいそうな絶好の「カジカマンション」を探し出します。
  4. 正確にエサを送り込む: カジカがいそうな場所、またはカジカの姿を直接確認できたら、短い竿を使い、エサを付けたハリをその隙間やカジカの目の前にそっと沈めていきます。短い仕掛けが、この正確なプレゼンテーションを助けてくれます。
  5. 食いつく瞬間を見逃すな! – アタリ: 箱メガネでエサとカジカの様子を注意深く見守ります。カジカがエサに気づけば、スーッと近づいてきてパクリと食いつくことが多いです。このエサを食べる瞬間が直接見えるのが、見釣りの最大の醍醐味です。イクラが潰れて白い液が広がることでアタリが分かることもあります。
  6. アタリを感じる: 目で見るアタリだけでなく、竿先に「ブルブルッ」という小刻みな振動や、わずかな重みとしてアタリが伝わってくることもあります。
  7. アワセと取り込み: カジカがエサを咥えたのを視認した瞬間、または竿先に明確なアタリを感じたら、竿先をスッと軽く持ち上げるようにしてアワセ(フッキング)を入れます。カジカは小さい魚なので、力強いアワセは不要です。ハリ掛かりしたら、岩の隙間に潜り込まれないように、優しく、しかし確実に抜き上げます。
  8. アタリがなければ次へ: 一つのポイントで5~10秒ほど待っても反応がなければ、その場所にはカジカがいないか、食い気がないのかもしれません。あまり粘らずに、次の有望なポイントへ移動しましょう。「怪しい穴」を次々にチェックしていくことが釣果を伸ばすコツです。

この「見釣り」は、魚を探し、エサを届け、食いつく瞬間を目撃するという、非常に能動的でインタラクティブな釣りです。まるで川底の住人たちとかくれんぼをしているような感覚は、大人も子供も夢中にさせる魅力があります。

エサ釣りの探り釣り・脈釣りについて

「見釣り」は、カジカ釣りの基本である「探り釣り(さぐりづり)」と「脈釣り(みゃくづり)」の要素を視覚的に強化した釣り方と言えます。

「探り釣り」とは、その名の通り、魚がいそうな場所(この場合は岩の隙間など)を丹念に探っていく釣り方です。「さぐり釣りは石の裏にいるカジカを探っていく釣り方」とあり、短い竿先に20cm程度の糸を結び、川虫やミミズ、イクラといったエサを付けて石裏にそっと送り込むと紹介されています。

たとえ水が少し濁っていたり、カジカが深い岩陰に隠れていて直接姿が見えなくても、この「探り釣り」の考え方で、有望なポイントにエサを送り込み、竿先や手に伝わる微かな「脈」のようなアタリ(魚信)を感じ取って釣るのが「脈釣り」です。短い竿と短い仕掛けは、この繊細なアタリをダイレクトに伝えてくれるため、脈釣りにも非常に適しています。

つまり、見釣りができる状況であればそれがベストですが、そうでなくても、カジカがいそうなポイントを丁寧に探り、集中してアタリを待つという基本は変わりません。この探求心と集中力が、カジカとの出会いを引き寄せてくれるのです。

(もしあれば)季節ごとの釣り方の違い

川のカジカの「見釣り」のメインシーズンである初夏から秋にかけては、基本的な釣り方(エサを使った見釣り)に大きな変化はありません。

水温の変化によってカジカの活性が多少上下することはあるかもしれませんが、彼らの隠れ家に直接エサを届けるというアプローチは、この期間を通じて有効です。強いて言えば、真夏の水温が高い時期には、カジカはより水通しの良い日陰の深い隙間を好むかもしれませんし、初夏や秋の涼しい時期には、日当たりの良い浅場の石の下で見つかることもあるかもしれません。しかし、これらは初心者にとって大きな戦術変更を強いるほどの違いではありません。

最も大きな「季節ごとの違い」は、釣り方そのものよりも、カジカ釣りが快適に楽しめるシーズンが限定されているという点です。つまり、初夏から秋という適切な時期を選ぶことが、何よりも重要です。この期間内であれば、今回紹介した基本的な見釣りのテクニックで、十分にカジカ釣りを楽しむことができるでしょう。

安全に楽しむために:川釣りでの注意点

川釣りは楽しいアクティビティですが、自然が相手である以上、常に安全への配慮が不可欠です。特に初心者は、以下の点に注意して、安全第一で楽しみましょう。

天候と水況の確認:

  • 事前の天気予報チェック: 釣行前には必ず天気予報を確認し、大雨や落雷、強風の予報が出ている場合は釣りを中止または延期しましょう。
  • 上流の天候と増水への注意: 自分のいる場所で雨が降っていなくても、上流で大雨が降ると急激に川が増水することがあります(鉄砲水)。川の水位が上昇し始めたり、水が急に濁りだしたら、直ちに高台へ避難してください。
  • 川の流れと川底: 穏やかに見える川面でも、流れは思った以上に強く、川底は滑りやすい石や不安定な場所が隠れていることがあります。

川での歩行(ウェーディング):

  • 慎重な歩行: 川の中を歩く際は、すり足で川底の感触を確かめながら、ゆっくりと慎重に進みましょう。
  • 水深の目安: 初心者のうちは、水深が膝を超えない程度を目安にしましょう。見えない深みにはまらないよう注意が必要です。
  • 適切な履物: 川底は非常に滑りやすいため、フェルト底やスパイク付きのウェーディングシューズが理想ですが、なければグリップの良いスニーカーなどを履きましょう。

野生動物・虫への対策:

  • 野生動物: 場所によっては、クマやイノシシ、ヘビなどが出没する可能性があります。釣行前には地域の出没情報を確認し、危険な場所には近づかないようにしましょう。クマ鈴を携帯するなどの対策も有効です。
  • 虫: アブやブヨ、ハチなどの刺す虫や吸血する虫にも注意が必要です。長袖長ズボンを着用し、虫除けスプレーを使用するなどの対策をしましょう。

釣り場のルールとマナー:

  • 遊漁規則の遵守: 釣りをする川には、漁業協同組合などが定める遊漁規則があります。禁漁期間、釣ってよい魚種やサイズ、持ち帰り可能な匹数、そして遊漁料(入漁券の購入)などが定められていますので、必ず事前に確認し、これを守りましょう。
  • キャッチ&リリース: 持ち帰らない魚は、できるだけダメージを与えないように優しく扱い、速やかにリリースしましょう。
  • ゴミは持ち帰る: 釣り場にゴミを残さないのは釣り人の最低限のマナーです。美しい自然を守るためにも、必ず全てのゴミを持ち帰りましょう。

一般的な安全対策:

  • 単独釣行は避ける: 特に初心者のうちは、経験者と一緒に行くか、少なくとも複数人で行動するようにしましょう。万が一の事故の際に助けを呼べます。
  • 連絡先の確保: どこへ釣りに行くのか、いつ頃帰るのかを家族や友人に伝えておきましょう。
  • 救急用品の携帯: 簡単な救急用品(絆創膏、消毒薬など)を携帯しておくと安心です。
  • ライフジャケットの着用: 水深が浅い場所でも、万が一の転倒などに備えてライフジャケットを着用することを強く推奨します。

これらの注意点を守ることで、川でのカジカ釣りをより安全に、そして心から楽しむことができます。自然への敬意と安全への意識を忘れずに、素晴らしい釣りの思い出を作ってください。

まとめ

川のカジカ釣りは、その手軽さ、奥深さ、そして何よりも魚との駆け引きを間近で感じられる「見釣り」という独特のスタイルが魅力の釣りです。澄んだ川の流れの中で、箱メガネ越しにカジカがエサに飛びつく瞬間を目撃する興奮は、一度味わうと忘れられないものとなるでしょう。

この記事で紹介したように、カジカの生態を理解し、彼らが好む場所を見つけ、シンプルな道具と基本的なテクニックを身につければ、初心者の方でも十分にこの釣りの楽しさを満喫できます。特に、家族や友人と一緒に、水遊び感覚で楽しめる手軽さは、釣りの入門として最適です。

もちろん、自然の中で遊ぶ以上、安全への配慮とルール・マナーの遵守は不可欠です。しっかりと準備を整え、周囲の環境に敬意を払いながら、この素朴で奥深いカジカ釣りの世界に足を踏み入れてみてください。きっと、釣りの新たな魅力と、心に残る素敵な時間が見つかるはずです。

因みに、以下記事も参考にしてみてください

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Shin
釣歴32年のパパアングラーで子供を連れて行ける釣り場やキャンプ場を日々探して巡っています。役に立つ情報満載でブログをお届けさせていただきます(^^♪
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