「砂浜の女王」とも呼ばれる、その美しく透き通った魚体が魅力のシロギス。上品な味わいはもちろんのこと、竿先に伝わる「ブルブルッ」という明確なアタリは、一度体験すると誰もが夢中になることでしょう。シロギス釣りは、シンプルな道具で手軽に始められ、群れに当たればたくさんの魚を釣る「数釣り」も楽しめるため、釣りの初心者やご家族でのレジャーに最適なターゲットです。
近年、都市近郊では環境の変化によりシロギスの数が減少傾向にあるとの声も聞かれますが、心配はご無用です。この記事では、シロギスの生態に基づいた最新の釣り方やポイント選び、釣果を伸ばすための秘訣を、初心者の方にも分かりやすく一から徹底的に解説します。この記事を読めば、シロギス釣りの基本から応用までを完全にマスターし、釣った魚を食卓で美味しく楽しむまでの一連の流れを具体的にイメージできるようになるはずです。さあ、一緒に「砂浜の女王」を追いかける、奥深くも楽しい釣りの世界へ足を踏み入れましょう。
まずは知っておきたい!シロギスの生態と釣れるシーズン

シロギス釣りの成果を上げるためには、まずターゲットとなる魚の性質を理解することが不可欠です。彼らがどこに住み、いつ活発に活動するのかを知ることで、釣りの戦略はより明確になります。
「砂浜の女王」シロギスの特徴とは?
シロギスは、北海道南部から九州までの沿岸部に広く分布し、水深が30mまでの波が穏やかな砂地や砂泥地を好んで生息しています。一般的に釣れるサイズは15cmから20cm前後ですが、25cmを超えると「大ギス」と呼ばれ、釣り人を熱くさせます。
彼らの食性は、ゴカイなどの多毛類や小さなエビ、カニといった甲殻類が中心です。この食性が、釣りでゴカイやイソメをエサとして使う理由に直結しています。また、シロギスは「群れ」で行動する習性があるため、1匹釣れた場所の周辺には、さらに多くの仲間がいる可能性が非常に高いのです。これが、シロギス釣りで「数釣り」が楽しめる大きな理由です。
そして、最も重要な特徴が、非常に臆病な性格であることです。船の影や物音に驚くと、一瞬で砂の中に潜って身を隠してしまいます。この臆病な性質こそが、釣り方を工夫する上で鍵となります。例えば、釣り人が使うオモリが着水する際の大きな音は、シロギスの群れを散らしてしまう大きな原因となります。そのため、上級者は釣りたいポイントの真上ではなく、あえて10mから20mほど沖に仕掛けを投げ、そこから静かにポイントまで引いてくるというテクニックを使います。この一見遠回りに見えるアプローチが、警戒心の強いシロギスに口を使わせるための重要な秘訣なのです。
シロギス釣りのベストシーズンはいつ?【春夏秋冬】
シロギスは水温に敏感な魚で、季節によって生息する水深を大きく変えます。この生態を理解することが、釣果への一番の近道です。
- 春(3月~5月)春は、シロギス釣りのシーズンが開幕する時期です。冬を越したシロギスが、水温の上昇とともに深場から徐々に浅場へと移動してきます。しかし、まだ岸からの距離は遠いことが多く、釣るためには100m近く投げるような本格的な「遠投」が必要になる場面がほとんどです。
- 夏(6月~8月)夏はシロギス釣りの最盛期であり、初心者の方が始めるのに最適な季節です。6月頃から産卵のために大群で岸に接近し、時には水深1m未満の波打ち際でもその姿を見ることができます。遠投の必要がなく、手軽な「ちょい投げ」で数釣りが楽しめるため、釣りの楽しさを存分に味わうことができます。
- 秋(9月~11月)秋は「落ちギス」のシーズンと呼ばれ、一年で最も大型のシロギスが狙える時期です。水温が下がり始めると、シロギスは越冬のために体力を蓄えようと活発にエサを追い、深場へと移動を始めます。そのため、春と同様に遠投が必要になりますが、30cm級の大物を狙うベテラン釣り師にとっては非常に魅力的な季節です。
- 冬(12月~2月)冬になると、ほとんどのシロギスは水深30m以上の沖の深場に集まってしまいます。そのため、岸からのキャスティングで釣るのは非常に難しくなります。この時期に狙う場合は、水深のある港湾部や、本格的な投げ釣りタックルでの大遠投が必須となり、上級者向けのシーズンと言えるでしょう。
このように、シロギスの居場所は季節と水温に直結しています。特に初心者の方は、魚が岸の近くまでやってくる夏に最初の釣行を計画することで、成功体験を得やすくなり、釣りの楽しさをより深く感じられるはずです。
釣果を左右する時間帯と潮回り
シロギスがエサを活発に食べるタイミングを狙うことは、釣果を大きく左右します。特に重要なのが「時間帯」と「潮の動き」です。
- 時間帯:朝マズメと夕マズメ最も釣果が期待できるのは、日の出前後の「朝マズメ」と、日没前後の「夕マズメ」です。この薄暗い時間帯は、魚の警戒心が薄れ、エサを求めて活発に活動するため、釣りのゴールデンタイムとされています。日中でも釣れますが、このマズメ時を狙って釣行計画を立てるのが基本です。
- 潮回り:上げ潮が絶対の狙い目シロギス釣りにおいて、潮の動きは極めて重要です。数多くの釣り人の経験から、干潮から満潮に向かう「上げ潮」の時間帯にアタリが集中することが知られています。潮が動き出すことで海底のエサが動かされ、シロギスの捕食スイッチが入るのです。特に、「上げ3分」(満ち潮が始まって3割程度の時間帯)や、満潮直前で潮の動きが活発になる時間帯は絶好のチャンスです。ここで専門的なアドバイスとして、「大潮だから釣れる」と単純に考えるのではなく、「潮がどれだけ動くか」に注目することが重要です。潮見表を見て、潮位の変化が大きい時間帯を選ぶのが釣果アップの鍵となります。時には、潮位差の少ない大潮よりも、変化の大きい小潮の方がよく釣れることもあります。最高の釣果を目指すなら、この2つの要素を組み合わせた「ゴールデンウィンドウ」、つまり**「上げ潮と朝マズメ、または夕マズメが重なるタイミング」**を狙いましょう。事前に潮見表をしっかりと確認し、この絶好の機会を逃さないように計画を立てることが、爆釣への第一歩です。
シロギス釣りのキホン!2つの代表的な釣り方

シロギスを岸から釣る方法には、大きく分けて2つのスタイルがあります。手軽に楽しめる「ちょい投げ釣り」と、より遠くのポイントを狙う「本格的な投げ釣り」です。それぞれの特徴を理解し、ご自身のレベルや目的に合ったスタイルを選びましょう。
【初心者におすすめ】手軽に楽しめる「ちょい投げ釣り」
「ちょい投げ釣り」は、その名の通り、仕掛けを「ちょいっ」と軽く投げて楽しむスタイルです。本格的な投げ釣りのように100mも遠投する必要はなく、10mから50m程度の近~中距離を探ります。この釣りの最大の魅力は、専用の重い道具を必要としない手軽さにあります。シーバスロッドやエギングロッドなど、他の釣りに使うルアーロッドを流用できるため、釣りの入門に最適です。特に、シロギスが岸のすぐ近くまで接岸する夏のシーズンには、このちょい投げ釣りで十分な釣果が期待できます。
【もっと遠くへ!】本格的な「本格的な投げ釣り」
「本格的な投げ釣り」は、100m以上先のポイントを狙う、より専門的なスタイルです。この釣りでは、4mを超える専用の長い投げ竿と、遠投性能に特化した大型のリールを使用します。なぜ遠投が必要かというと、春や秋など、シロギスが岸から遠い深場にいる時期に、彼らのいる場所まで仕掛けを届けるためです。また、多くの釣り人が届かない沖のポイントは魚がスレておらず、大型のシロギスが釣れる可能性も高まります。飛距離を出すためには技術と体力が必要ですが、その分、ちょい投げでは味わえないダイナミックな釣りが楽しめます。
「ちょい投げ」と「本格的な投げ釣り」の比較
どちらのスタイルで始めるか迷っている方のために、それぞれの特徴を下の表にまとめました。ご自身の状況に合わせて、最適なスタイルを選んでみてください。
特徴 | ちょい投げ | 本格的な投げ釣り |
主な飛距離 | 10m – 50m | 80m – 150m+ |
竿 | 2-3mのルアーロッド等 | 4m前後の専用投げ竿 |
リール | 2500-3000番スピニング | 投げ釣り専用大型リール |
最適な季節 | 夏 | 春・秋 |
難易度 | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ |
メリット | 手軽、安価、疲れにくい | 遠くの魚が狙える、大型の可能性 |
初心者の方は、まずは道具のハードルが低く、魚が釣りやすい夏に「ちょい投げ釣り」から始めてみることを強くお勧めします。
【初心者向け】ちょい投げ釣りの始め方(道具・仕掛け・釣り方)

ここからは、初心者の方に最適な「ちょい投げ釣り」を始めるための具体的なステップを解説します。正しい道具選びから、実際の釣り方まで、このセクションを読めばすぐにでも釣りに出かけられます。
最初に揃えるべき道具(タックル)選び
ちょい投げ釣りの魅力は、手持ちの道具を流用できる点や、比較的手頃な価格で一式を揃えられることです。
- 竿(ロッド)長さが2.5mから3m程度で、10gから25g(約3号から8号)のオモリを投げられるルアーロッドが最適です。具体的には、エギングロッドやシーバスロッドなどが非常に使いやすいでしょう。釣具店では、竿とリールがセットになった手頃な価格の入門セットも販売されており、何を選べばよいか分からない方にはこちらもおすすめです。重要なのは、あなたがすでに持っているかもしれないルアーロッドが、シロギス釣りにそのまま使える可能性が高いということです。これにより、釣りを始めるための心理的、経済的なハードルがぐっと下がります。
- リールスピニングリールの2500番または3000番が標準的なサイズです。このサイズは、糸の巻取り量、重さ、扱いやすさのバランスが良く、ちょい投げ釣りにぴったりです。
- ライン(道糸)リールに巻く糸には、主に2つの選択肢があります。
- ナイロンライン: 2号から3号の太さがおすすめです。ナイロンラインはしなやかで扱いやすく、糸がらみ(トラブル)が少ないため、全くの初心者の方には最適です。感度はPEラインに劣りますが、まずは釣り自体に慣れることを優先しましょう。
- PEライン: 0.6号から0.8号が標準です。PEラインは非常に細くて伸びが少ないため、感度が抜群で、シロギスの小さなアタリも明確に伝わります。また、飛距離が出やすいというメリットもあります。ただし、PEラインを使う場合は、先端に「リーダー」と呼ばれる別の糸(フロロカーボンラインの2~3号)を結ぶ必要があります。
市販品でOK!ちょい投げの仕掛け
仕掛けは、道糸の先に付ける部分で、「天秤(てんびん)」と「針の付いた仕掛け」から構成されます。自作も可能ですが、初心者のうちは市販品を使うのが最も簡単で確実です。
- 天秤(てんびん)天秤は、オモリとアームが一体化したもので、仕掛けが道糸に絡まるのを防ぎ、遠くに投げる役割を果たします。初心者の方には、飛行姿勢が安定し、絡みにくい「ジェット天秤」がおすすめです。重さは、竿の硬さに合わせて5号から10号(約18gから37g)程度を選びましょう。
- 仕掛け釣具店には「キス専用」と書かれた仕掛けが数多く並んでいます。これを選べば間違いありません。選ぶ際の重要なポイントは2つです。
- 針の数: 最初に使うなら、針の数が2本か3本のものを選びましょう。針の数が多いほど一度にたくさん釣れる可能性はありますが、その分、仕掛けが長くなり、投げる時や回収する時に絡まるトラブルが頻発します。釣りに慣れないうちは、トラブルが少ないシンプルな仕掛けで、釣りに集中できる時間を増やすことが何よりも大切です。
- 針の大きさ: 5号から7号が、小型から中型のシロギスまで幅広く対応できる万能なサイズです。
釣果が変わる!エサの種類と付け方のコツ
シロギス釣りのエサは、生きた虫エサが基本です。見た目が苦手な方もいるかもしれませんが、釣果に直結する重要な要素ですので、ぜひ挑戦してみてください。
- エサの種類主に「ジャリメ(石ゴカイ)」と「アオイソメ」の2種類が使われます。
- ジャリメ(石ゴカイ): 細くて柔らかく、シロギス釣りでは最も実績の高い特効エサです。シロギスは口が小さく、エサを吸い込むように捕食するため、この細さが非常に効果的です。迷ったらまずジャリメを選びましょう。
- アオイソメ: ジャリメより太くて硬く、動きが大きいためアピール力が高いのが特徴です。大型のシロギスを狙う場合や、フグなどのエサ取りが多い状況でエサ持ちが良いというメリットがあります。
- エサの付け方正しいエサの付け方は、フッキング率を劇的に向上させます。シロギスはエサを吸い込んで食べるため、吸い込みやすいように付けるのがポイントです。
- まず、イソメの硬い頭の部分を指でちぎって取り除きます。
- 切り口から針先を入れ、イソメを針の軸に沿ってまっすぐに通していきます。これを「通し刺し」と言います。イソメが曲がっていると、シロギスがうまく吸い込めません。
- 針から垂れ下がる部分(タラシ)は、1cm程度と非常に短くするのが基本です。タラシが長いと、そこだけをかじられてしまい、針掛かりしません。
- プロのコツ: 生きたイソメは滑りやすいため、釣具店で売っている「石粉(いしこ)」という滑り止めの粉を少量まぶすと、格段に扱いやすくなります。
実践!ちょい投げ釣りの一連の流れ
道具と仕掛けの準備ができたら、いよいよ実釣です。以下の流れを意識して、落ち着いて挑戦してみましょう。
- キャスト(投げる)まず最も大切なのは安全確認です。投げる前には必ず後方を確認し、人がいないことを確かめましょう。竿のしなりを利用して、力まずにスムーズに投げます。ここで**最も重要なテクニックが「フェザリング」**です。仕掛けが着水する直前に、リールから出ていく糸を人差し指で軽く触れてブレーキをかけます。これにより、空中で仕掛けがピンと伸び、着水時の糸がらみを劇的に防ぐことができます。
- 着底を確認する仕掛けが着水したら、リールのベール(糸を出すための金具)は開けたままにして、糸が自然に出ていくのに任せます。やがて糸の放出が止まったら、それがオモリが海底に着いた「着底」の合図です。着底したら、すぐにベールを戻して糸のたるみを取ります。
- 誘い(さびき)ここからがシロギス釣りの本番です。「さびく」とは、仕掛けをゆっくりと海底で引きずる動作のことです。シロギスは動くエサに強く反応するため、仕掛けを止めたまま待つ「置き竿」ではなかなか釣れません。リールをゆっくり巻くか、竿をゆっくりと手前に引いて、オモリで海底の砂を少し巻き上げるようなイメージで誘います。そのスピードは「アリが歩く速さ」と表現されるほど、非常にゆっくりです。
- アタリを感じるうまく誘えていると、竿先に「ブルブルッ!」あるいは「コンコン!」という明確な信号が伝わってきます。これがシロギスのアタリです。PEラインを使っていると、この感度がよりダイレクトに感じられます。
- アワセ(針を掛ける)アタリがあっても、慌てて竿を大きくあおる「アワセ」は必要ありません。シロギスは向こうから勝手に針に掛かってくれることが多い魚です。アタリを感じたら、そのまま同じ速度でリールを巻き続けるだけで大丈夫です。
- 取り込み魚が掛かったら、一定のスピードでリールを巻き続けます。特に波打ち際では、波の力で糸がたるみ、針が外れてしまう「バラシ」が多発します。最後まで気を抜かず、糸のテンションを保ちながら引き寄せましょう。
釣果アップの秘訣!釣れない時に試したい5つのこと

シロギス釣りは手軽ですが、時にはアタリが全くない「釣れない時間」も訪れます。そんな時に引き出しを多く持っているかどうかが、釣果の差につながります。ここでは、状況を打開するための5つの具体的なテクニックをご紹介します。
ポイントの探し方:「カケアガリ」を見つけよう
一見すると平坦に見える砂浜の海底にも、実は起伏や変化があります。シロギスは、こうした地形の変化、特に水深が急に深くなる「カケアガリ」と呼ばれる場所に沿って回遊する習性があります。このカケアガリを見つけ出すことが、釣果を伸ばすための最大の鍵です。
カケアガリは目には見えませんが、竿を通して感じ取ることができます。仕掛けをゆっくりと引きずっていると、それまでと同じように引いていたはずなのに、急に「ググッ」と重みを感じる場所があります。これが、オモリがカケアガリの斜面を登っているサインです。この重みを感じた場所こそが、シロギスが潜む一級ポイントなのです。釣り人は、ただ投げて巻くのではなく、この海底の地図を頭の中に描きながら釣りをしています。この「底を読む」感覚を養うことが、初心者から一歩抜け出すための重要なステップです。
誘い方のバリエーションを増やす
いつも同じ速度でただ引きずるだけでは、スレた魚や食い気のない魚には見切られてしまいます。アタリがない時は、誘い方に変化をつけましょう。
最も効果的なのが「ストップ&ゴー」です。数メートル仕掛けを引いたら、5秒から10秒ほど動きをピタッと止めてみましょう。この「間」が、エサを食べるかどうか迷っているシロギスに、決断を促すきっかけを与えます。また、引きずるスピードに変化をつけるのも有効です。時には少し速めに引いてみることで、反射的に食いついてくることもあります。
エサの付け方や種類を変えてみる
「ブルブルッ」というアタリはあるのに、なかなか針に掛からない。これは、シロギスがエサの端だけをくわえている「ショートバイト」と呼ばれる現象です。こんな時は、エサの付け方を見直してみましょう。
対策としては、針から垂らすタラシの部分をさらに短くして、吸い込んだ時に針が口に入りやすくします。逆に、アタリすらない場合は、アピール力を高めるために少し長めに付けてみるのも一つの手です。また、エサは常に新鮮で活きの良いものを使うことが基本です。時間が経って弱ったエサは、食いが格段に落ちます。
釣れない時間帯?潮の動きを再確認
あれほど釣れていたのに、パタッとアタリが止まってしまった。その原因の多くは「潮止まり」です。満潮や干潮の前後、潮の流れが一時的に止まる時間帯は、魚の活性も著しく低下します。こんな時は、無理に粘っても釣果は期待できません。潮見表を確認し、潮が再び動き出すまで休憩を取ったり、仕掛けを作り直したりする時間に充てるのが賢明です。
思い切って場所を移動する「足で釣る」意識
昔から「キスは足で釣れ」という格言があります。これは、一か所で粘るのではなく、積極的に移動してキスの群れを探し出すことの重要性を説いた言葉です。
同じ場所で20分から30分探ってもアタリがなければ、思い切って場所を変えましょう。広大な砂浜であれば、20mから30m横に移動するだけでも状況が全く変わることがよくあります。移動する前には、今いる場所から扇状に投げて、正面、右斜め、左斜めと広範囲を探ることで、効率的にそのエリアを見切ることができます。このフットワークの軽さが、最終的な釣果に大きな差を生むのです。
【関東近郊】初心者・家族連れにおすすめ!駐車場・トイレ完備の釣り場ガイド

シロギス釣りを始めるにあたり、どこへ行けばよいのかは最初の大きな悩みどころです。特に初心者の方や小さなお子様連れのご家族にとっては、釣れるかどうかはもちろん、「駐車場やトイレがあるか」「足場は安全か」といった設備面が非常に重要になります。ここでは、関東近郊でこれらの条件を満たし、安心して釣りを楽しめるおすすめのスポットをご紹介します。
神奈川エリアのおすすめ釣り場
- 本牧海づり施設(横浜市)有料の海釣り施設ですが、その分設備は万全です。安全な釣り桟橋、レンタル釣具、売店、そしてスタッフからのアドバイスも受けられるため、全くの初心者でも安心して釣りデビューができます。シロギスはもちろん、季節によって様々な魚が釣れる人気のスポットです。
- 東扇島西公園(川崎市)広大な公園に隣接した護岸で、無料で釣りが楽しめます。24時間利用可能な駐車場や綺麗なトイレも完備されており、ファミリーフィッシングの定番スポットとして絶大な人気を誇ります。足場も良く、広々としているため、周囲を気にせずのびのびと竿を出すことができます。
- 久里浜海岸(横須賀市)穏やかな砂浜が広がる、昔ながらのシロギス釣りの名所です。近くに漁港があり、駐車場からのアクセスも良好です。砂浜でのびのびと投げ釣りの基本を学ぶには最適な場所と言えるでしょう。
千葉エリアのおすすめ釣り場
- 竜島海岸(鋸南町)内房エリアにあるこの海岸は、駐車場とトイレが完備されており、初心者や家族連れに優しい環境が整っていると評判です。都心からのアクセスも良く、気軽に訪れることができます。
- 保田海岸(鋸南町)竜島海岸の近くにあり、こちらも家族連れに人気のスポットです。遠浅の海岸で、夏場には波打ち際近くでもシロギスが釣れることがあります。駐車場、トイレも完備されています。
- 袖ヶ浦海浜公園(袖ケ浦市)東京湾アクアラインを降りてすぐの場所にある広大な公園です。展望塔からの眺めも良く、釣り以外の楽しみ方もできます。公園内の護岸からシロギスを狙うことができ、安全でアクセスも抜群です。
安心して楽しむための釣り場のマナー
楽しい一日を過ごすためには、ルールとマナーを守ることが不可欠です。
- 周囲への配慮: 隣の釣り人との間隔は十分に空け、仕掛けが他の人の迷惑にならないように注意しましょう。また、海水浴客やサーファーがいる場所では釣りを避けるのが鉄則です。
- ゴミは持ち帰る: 使い終わった仕掛けやエサのパックなど、自分が出したゴミは必ず持ち帰りましょう。釣り場をきれいに保つことは、釣り人としての最低限のマナーです。
- リールを砂の上に置かない: これは初心者が見落としがちな、非常に重要な注意点です。リールを直接砂浜に置くと、内部に砂の粒子が入り込み、故障の大きな原因となります。仕掛けを交換する際などは、必ず竿立て(サンドポール)を使い、リールが砂に触れないようにしましょう。この小さな心掛けが、大切な道具を長持ちさせる秘訣です。
釣った後のお楽しみ!シロギスの絶品レシピ

シロギス釣りのもう一つの大きな魅力は、その上品で淡白な味わいです。自分で釣った新鮮な魚を調理して食べる喜びは格別です。ここでは、初心者でも簡単にできるシロギスのさばき方と、定番の絶品レシピをご紹介します。
基本のさばき方(背開き)
天ぷらやフライにする場合、「背開き」というさばき方が一般的です。この方法だと、身が均一な厚さになり、火の通りが均一で見栄えも良く仕上がります。
- ウロコ取り: シロギスのウロコは非常に細かいですが、包丁の背やペットボトルのキャップなどを使って、尾から頭に向かって優しくこすると簡単に取れます。
- 頭と内臓の除去: 胸ビレの後ろから包丁を入れ、頭を落とします。そのまま内臓も引き出し、お腹の中をきれいに水で洗い流します。
- 背開き: 魚のお腹側を下にしてまな板に置き、背中側から中骨に沿って包丁を入れ、尾まで切り込みます。そのまま本を開くように身を広げ、最後に中骨を切り離せば完成です。
定番の「天ぷら」をサクッと揚げるコツ
シロギス料理の王様といえば、やはり天ぷらです。ふわふわの白身とサクサクの衣の組み合わせは絶品です。家庭でもお店のような天ぷらを揚げるためのコツは以下の通りです。
- 開いた身の水分をキッチンペーパーでしっかりと拭き取ります。
- 衣を付ける直前に、身に薄く小麦粉をまぶしておきます。これにより、揚げている最中に衣が剥がれるのを防ぎます。
- 天ぷら衣は、氷水を使って作り、混ぜすぎないことが重要です。少しダマが残っているくらいが、サクッと揚がる秘訣です。
- 油の温度は170℃から180℃を保ちます。一度にたくさんの具材を油に入れると温度が急激に下がってしまうため、少しずつ揚げるようにしましょう。
シンプルが一番「塩焼き」と新鮮なら「お刺身」も
天ぷら以外にも、シロギスを美味しく食べる方法はたくさんあります。
- 塩焼き: 20cmを超えるような良型が釣れたら、ぜひ塩焼きを試してみてください。下処理をした魚に塩を振り、グリルで皮目がパリッとするまで焼くだけ。シロギス本来の上品な旨味を最もシンプルに味わえます。
- お刺身: 非常に新鮮な大型のシロギスが手に入ったなら、お刺身も絶品です。透明感のある白身は、ほんのりとした甘みとプリっとした食感が楽しめます。
- 唐揚げ: 10cm前後の小さな「ピンギス」がたくさん釣れた場合は、唐揚げがおすすめです。頭と内臓だけ取って、片栗粉や唐揚げ粉をまぶして揚げるだけ。骨までサクサクと食べられます。
まとめ
シロギス釣りは、釣りの基本が詰まった、奥深くも非常に間口の広い魅力的な趣味です。この記事で解説したポイントをしっかり押さえれば、初心者の方でもきっと満足のいく釣果を得ることができるでしょう。
最後に、成功への鍵をもう一度おさらいします。
- 季節を選ぶ: まずは魚が岸に近づく夏を狙いましょう。
- 時間を読む: 上げ潮と朝夕のマズメが重なる時間帯が最大のチャンスです。
- シンプルな仕掛け: 慣れないうちは針の数が2~3本の市販仕掛けでトラブルを避けましょう。
- エサは丁寧に: 新鮮なジャリメをまっすぐに付けることが釣果に直結します。
- 海底を探る: **「カケアガリ」**を探す意識を持つだけで、釣果は格段に上がります。
これらの知識を武器に、ぜひ次の週末は竿を片手に砂浜へ出かけてみてください。美しい「砂浜の女王」との出会いが、きっとあなたを待っています。安全に、そしてマナーを守って、素晴らしい釣り体験を楽しんでください。