近年、釣りの世界で大きな注目を集めているのが「アユイング」と呼ばれるアユのルアー釣りです。日本の伝統的な釣り「友釣り」は、専門的な道具や活きたオトリアユが必要で、初心者には少し敷居が高いイメージがありました。しかし、アユイングはもっと手軽で、身軽に始められる新しいスタイルです。ルアーを操り、清流の女王・アユの縄張り本能を刺激して掛けるというゲーム性の高さが、多くのアングラーを魅了しています。
この記事では、これからアユイングを始めたいと考えている初心者の方に向けて、必要なタックルからポイント選び、具体的な釣り方のコツまで、網羅的に解説します。この完全ガイドを読めば、自信を持って川に立ち、美しいアユとの出会いを果たすことができるでしょう。
まずは基本から!アユのルアー釣り(アユイング)とは?
友釣りとの違いとアユイングの魅力
日本の伝統釣法である「友釣り」は、生きた「オトリアユ」を使い、他のアユの縄張りに侵入させることで、追い払おうと体当たりしてくるアユを「掛け針」で釣る方法です。
これに対しアユイングは、オトリアユの代わりにアユを模した専用ルアーを用いる釣り方です。基本的な原理は友釣りと同じく、アユの強い縄張り意識を利用します。ルアーをキャストし、縄張りを持つアユを挑発して攻撃させ、掛けるのです。
この方法の最大の魅力は、その「手軽さ」と「身軽さ」にあります。友釣りに必要なオトリ缶や引き舟といった大掛かりな装備がなくても始められるため、初心者でも気軽に挑戦できます。また、ルアーロッドならではの機動力で、ポイントを次々と探っていくラン&ガンスタイルの釣りも可能で、そのゲーム性の高さが多くの人を惹きつけています。
アユの習性を知れば釣果アップ!縄張り意識のメカニズム
アユは「香魚」とも呼ばれる美しい魚で、その一生はわずか1年であることから「年魚」とも称されます。川で生まれた稚アユは一度海や湖へ下り、春になると川を遡上します。成長するにつれて食性が変わり、川の石に付着した良質なコケ(珪藻類)を主食とするようになります。
このコケが、アユの行動を理解する上で最も重要な鍵となります。良質なコケが生える石は、アユにとって最高のレストランです。そのため、アユはその場所を自分の「縄張り」とし、他のアユが侵入してくると、体当たりをして激しく追い払おうとします。
ここで理解すべき根本的な考え方があります。一般的なルアーフィッシングが魚の「捕食本能」を刺激し、ルアーをエサだと思わせて釣るのに対し、アユイングはアユの「縄張り防衛本能」を刺激し、ルアーを「敵」だと思わせて怒らせる釣りだということです。この違いを理解することが、上達への最初の、そして最も重要な一歩です。ルアーを速く動かして逃げる小魚を演出するのではなく、縄張り内でしつこくコケを食べるライバルを演じ、アユをじらして怒らせることが釣果に繋がるのです。
アユイングの始め方:シーズンとルール

ベストシーズンはいつ?時間帯も重要
アユイングを楽しめる期間は、全国の多くの河川で6月頃に解禁し、10月から11月頃に禁漁となるのが一般的です。特にアユの縄張り意識が最も高まる7月から8月の真夏が、最盛期と言えるでしょう。
そして、アユイングには他の釣りと大きく異なる特徴があります。それは「釣れる時間帯」です。多くの釣りで「朝マズメ・夕マズメ」がゴールデンタイムとされるのに対し、アユは水温が上昇する日中に活性が上がります。特にカンカン照りの晴れた日中は、アユの縄張り意識が強くなり、ルアーへの反応が良くなる絶好のチャンスです。朝早く起きる必要がないため、のんびりと釣行計画を立てられるのも魅力の一つです。ただし、シーズン初期や水温が低い日は午前9時から10時頃、真夏は日差しが和らぐ午後4時以降に活性が上がることもあります。
必ず守ろう!釣り場のルールとマナー
アユイングを楽しむためには、必ず守らなければならないルールとマナーがあります。これらを守ることが、この素晴らしい釣りを未来に残すことに繋がります。
- 遊漁券の購入: アユが釣れる河川のほとんどは、地元の漁業協同組合(漁協)が管理しています。釣りをする前には、必ず管轄漁協が発行する「遊漁券(入川券)」を購入してください。遊漁券は、現地の釣具店やコンビニエンスストア、おとり店などで購入できます。
- 河川ごとの規則を確認: 最も重要な注意点として、すべての川でアユのルアー釣りが許可されているわけではありません。漁協の遊漁規則で「リール竿の使用禁止」や「ルアー釣り禁止」と定められている場所では、アユイングはできません。釣行前には必ず、目的の川の漁協のウェブサイトや電話で規則を確認しましょう。
- 他の釣り人への配慮: 川には友釣り師など、他の釣り人もいます。特に友釣り師の竿は9mと非常に長く、仕掛けも広範囲に及ぶため、トラブルを避けるために十分な距離(最低でも20m以上)を保つことが絶対的なマナーです。人の近くを移動する際は、川岸を大きく迂回するか、どうしても近くを通る場合は「通ります」と一声かける心遣いが大切です。
- 環境への配慮: 使い終わった仕掛けのパッケージや、交換した古い釣り針、ラインの切れ端などのゴミは、必ず持ち帰りましょう。美しい川と釣りの環境を、皆で守っていく意識が求められます。
初心者向けタックル選びの完全ガイド

ロッドの選び方:専用ロッドと代用できる竿
アユイングには専用ロッドが最適です。長さは8フィートから10フィート(約2.4m~3m)程度が主流で、ルアーを流れの中で安定させ、アユの繊細なアタリを感じ取るための柔らかい穂先(ティップ)と、流れの中で魚をコントロールするためのしっかりとした根本部分(バット)を併せ持っているのが特徴です。
もちろん、最初から専用品を揃える必要はありません。穂先が柔らかめのトラウトロッドやエギングロッド、バスロッドなどでも代用可能です。ただし、シーバスロッドなど硬すぎる竿は、アユの口や体に掛かった針が外れやすくなる「身切れ」という現象を起こしやすいため、避けた方が無難です。
リールとラインシステム:最適な組み合わせ
- リール: 2000番から2500番サイズのスピニングリールが標準的で、ロッドとのバランスを考えて選びましょう。一部の上級者は、片手での操作性に優れるベイトリールを好む場合もありますが、まずはスピニングリールから始めるのが簡単です。
- メインライン: PEラインの0.4号から0.8号が推奨されます。細いPEラインは水の抵抗を受けにくく、感度も高いため、流れの中でのルアー操作に適しています。
- リーダー: PEラインの先には、衝撃を吸収し、根ズレからラインを守るためにフロロカーボン製のリーダーを結びます。太さは3ポンドから6ポンド(0.8号~1.5号)、長さは75cmから1mほどが目安です。
ルアーの種類と選び方:ミノー・シャッド・バイブ
ダイワ、パームス、DUOといったメーカーから、アユイング専用に開発されたルアーが多数販売されており、これらを選ぶのが最も確実です。専用ルアーは、アユを怒らせるための独特のアクションや、根掛かりを回避しやすい浮力、掛け針を装着しやすい構造など、釣果に直結する工夫が凝らされています。
- ミノー: 最も基本的なタイプ。リップが小さいものは浅い瀬(ザラ瀬)向き、リップが大きいシャッドタイプは少し水深のある場所で活躍します。根掛かりを回避しやすいフローティング(浮く)タイプから始めると良いでしょう。
- バイブレーション: ミノーでは底を取れないような、流れが速い場所や水深のある場所で有効です。
- カラー: ルアーの色は、アユにアピールするというよりも、釣り人がルアーの位置を把握するために重要です。背中がチャート(蛍光イエロー)やオレンジなどの派手な色のルアーは、水中でどこを泳いでいるか視認しやすく、ルアーの深度コントロールが格段にしやすくなります。まずはナチュラルなアユカラーと、視認性の良い派手なカラーの2種類を揃えておくと良いでしょう。
釣果を左右する「掛け針」:イカリとチラシ
アユイングにおいて、タックルの中で最も重要と言っても過言ではないのが「掛け針」です。アユはルアーを口で食べるわけではなく、体当たりをしてきます。その一瞬の接触で、硬いウロコに覆われた魚体に針を貫通させなければなりません。そのため、針先の鋭さが釣果を決定的に左右します。少しでも岩に当たれば針先は鈍るため、こまめに爪の表面に針先を立てて滑らないかチェックし、少しでも甘くなっていたら迷わず交換する習慣をつけましょう。1日に10本以上交換することも珍しくありません。
- 針の種類: 主に「イカリ針」(3本または4本)と「チラシ針」があります。チラシ針は複数の針が少し離れて配置されており、根掛かりしにくく、初心者でもアユを掛けやすいというメリットがあります。
- ハリスの長さ: ルアーと針を繋ぐ糸(ハリス)の長さは7cmから10cmが基本ですが、アユの活性に応じて調整します。活性が高い時は短く、低い時は長くすると効果的な場合があります。ただし、川によってはハリス長に規定があるため、事前の確認が必要です。
安全・快適に楽しむための服装と装備
- 足元(最重要安全装備): 川底はコケで非常に滑りやすいため、靴選びは安全に直結します。必ずフェルトソールまたはフェルトスパイクソールのウェーディングシューズや鮎タビを着用してください。ゴム底の長靴や一般的なスパイクブーツは大変危険です。
- 服装: 水温が低い時期はウェーダー、夏場はラッシュガードにショートパンツ、ゲーターを組み合わせる「ウェットウェーディング」スタイルが快適です。
- 安全装備: 流れは見た目以上に強いことがあるため、万が一に備えてライフジャケットの着用を強く推奨します。
- 必須アクセサリー:
- 偏光サングラス: 水面のギラつきを抑え、水中の石やアユの姿を見るために不可欠です。
- タモ(玉網): 釣れたアユを確実に取り込むために必要です。目の細かいものが針の絡みも少なくおすすめです。
- 鮎ベルト: タモを差したり、小物をぶら下げたりと、両手を自由にするために便利です。
- クーラーボックス: 釣れたアユを美味しく持ち帰るために必要です。氷と水を入れた「氷締め」で鮮度を保ちましょう。
初心者のためのアユイングタックル推奨リスト
カテゴリ | 推奨スペック | 備考 |
ロッド | 8’6″~9’6″ (2.6~2.9m) アユイング専用 or トラウトロッド (MLクラス) | 穂先が柔らかく、バットがしっかりしたものを。 |
リール | スピニングリール 2000~2500番 | ドラグ性能が良いものを選びましょう。 |
メインライン | PEライン 0.6号 | 視認性の良いカラーがおすすめ。 |
リーダー | フロロカーボン 1.5号 (6lb) | 長さは1m前後。 |
ルアー | 9-11cm フローティングミノー | まずはギラギラしたナチュラル系と、背中が派手なチャート系を。 |
フック | 3本イカリ (7.0号) or チラシバリ | 予備を最低10セットは用意。 |
シューズ | フェルトソール or フェルトスパイク | 最重要安全装備! |
その他 | 偏光グラス、タモ、鮎ベルト、ライフジャケット | 安全第一で楽しみましょう。 |
ここを狙え!アユイングのポイント選び

「アユは石を釣れ」の格言を理解する
昔からアユ釣りには「アユは石を釣れ」という格言があります。これは、ただ漠然と川にルアーを投げるのではなく、アユが縄張りを作る「良い石」を見つけ出し、そこを狙うことが釣果への近道であるという意味です。
- 磨かれた石: アユが頻繁にコケを食べている石は、表面が磨かれてピカピカに見えます。これが第一の目印です。
- 石の色: 黒っぽいや茶色っぽい石には良質なコケが付着しています。逆に、白っぽい石や泥をかぶった石はアユがいない可能性が高いです。
- ハミ跡: 石の表面に、アユがコケを食べた跡である「ハミ跡」が見つかれば、そこは一級のポイントです。
初心者が狙うべきは「瀬」
初心者が最初に狙うべきポイントは、流れが速く、水面が白波立っている「瀬」と呼ばれる場所です。
- 瀬が良い理由: 瀬は流れがよいため、新鮮で良質なコケが育ちやすく、それを求める縄張り意識の強い、攻撃的なアユが多く集まります。また、適度な流れがルアーを自然に動かしてくれるため、操作も比較的簡単です。
- 最適な水深: まずは自分の膝下くらいまでの、水深20cmから60cm程度の場所から始めましょう。この水深はアユが付きやすく、安全性が高く、万が一根掛かりしても回収しやすいというメリットがあります。
良い川・悪い川の見分け方
良いポイントは、こぶし大から頭大の石がゴロゴロと入っている瀬があり、水中の石にハミ跡が見えるような川です。水面でアユがキラッと光ったり、跳ねたりする姿が見えれば、そこにアユがいる何よりの証拠です。
逆に、川底が砂地や泥だったり、藻が多く生い茂っていたりする場所、流れがよどんだプール状の場所は、アユイングには不向きです。また、大雨による増水でコケが流されてしまった直後や、渇水でコケが腐ってしまっているような状況も釣果は期待しにくいです。
実践!アユイングの基本的な釣り方

立ち位置とキャストの基本
- 立ち位置: 狙う石や流れ(ポイント)を決めたら、その少し上流側に立ちます。
- キャスト: 立ち位置から見て、斜め下流方向へルアーを投げ入れます。飛距離は必要なく、5mから20m程度の正確な「ちょい投げ」が基本です。遠投よりも、狙ったポイントに正確にルアーを送り込むことを意識しましょう。
流れを制するルアー操作術:ドリフトとステイ
アユイングのルアー操作は、「流れの速さ」「ルアーの性能」「竿の角度」という三つの要素のバランスを取る作業です。ルアーが底に届かない、あるいは底を叩きすぎる場合は、リールを巻く速さだけでなく、この三つの要素を見直すことが重要です。例えば、ルアーが浮いてしまうなら、流れの緩やかな場所に移動するか、重いルアーに交換するか、竿先を下げてラインが受ける水の抵抗を減らす、といった調整を行います。
- ドリフト: キャスト後、リールは巻かずに、ラインを張りすぎず緩めすぎずの状態に保ちます。すると、ルアーは流れに乗って弧を描くように対岸方向へ流れていきます。この時、竿先を下げて、ルアーが底の石を「コツ、コツ」と軽く叩く感触を維持するのが理想です。
- ステイ(止め): ルアーが狙いの石の前など、ここぞというポイントに到達したら、リールを巻くのを止め、その場でルアーを留めます。流れを受けてルアーはその場でヒラヒラと泳ぎ続けます。これが縄張りを持つアユを最も刺激する瞬間で、アタリの多くはこの時に集中します。時には10分以上も同じ場所で見せ続けることで、警戒心の強いアユを怒らせることができます。
アタリとアワセ、取り込みのコツ
- アタリ: 根掛かりとは違う、生命感のある「グググッ」という引き込みや、ルアーがピタッと止められるような感触がアタリです。
- アワセ(フッキング): ここが最大の注意点です。アタリがあっても、バス釣りのように鋭く竿をあおってはいけません。アユの体に掛かった針が外れてしまう「身切れ」の最大の原因になります。アタリがあったら、竿先がグーッと絞り込まれるのを待ってから、ゆっくりと竿に重みを乗せるように合わせます。リールのドラグは、糸がジリジリと出るくらい緩めに設定しておくのがコツです。
- 取り込み:
- アユが掛かったら、竿を立てずに水面と平行に近い角度を保ちます。魚を水面で暴れさせないためです。
- 流れに逆らって強引に巻くのではなく、アユをいなしながら、流れの緩い岸際へ誘導します。
- 魚が足元まで寄ってきたら、最後はタモですくい取ってフィニッシュです。
根掛かり対策と外し方
アユイングは底を狙うため、根掛かりはつきものです。しかし、簡単なコツで多くは外せます。根掛かりしたら、まず強く引っぱってはいけません。一番効果的なのは、リールのベールを起こしてラインをフリーにし、意図的に糸フケを出すことです。すると、流れがルアーを川下側から押してくれ、逆方向に力がかかることでフックが外れることがよくあります。
どうしても釣れない…初心者が陥りがちな原因と対策
一生懸命やっているのに釣れない…そんな時は、いくつかの基本的な原因が考えられます。以下のチェックリストで確認してみましょう。
ポイントは合ってる?もう一度確認しよう
全くアタリがない場合、そもそもアユがいない場所で竿を出している可能性があります。もう一度、川を観察してみましょう。石は黒っぽく磨かれていますか? 流れは適度にありますか? もしそうでなければ、思い切って場所を移動する勇気も大切です。釣れない場所で粘るよりも、足を使って良いポイントを探す方が、結果的に釣果への近道となります。
ルアーが底に届いていない?
これは初心者が最も陥りやすい失敗です。ルアーが中層をフワフワと漂っている状態では、縄張り意識の強いアユはルアーを敵と認識せず、完全に無視します。手元に、ルアーが底の石を叩く「コツコツ」という感触が伝わってこない場合は、ルアーが底に届いていません。より重いシンキングタイプのルアーに交換するか、ルアーのアイにワンタッチで付けられるチューニングシンカーを追加して、確実に底を狙いましょう。
針は鋭い?交換のタイミング
アタリはあるのに掛からない(ケラレ)、掛かってもすぐに外れてしまう(バラシ)という場合、ほぼ間違いなく針先が鈍っています。前述の通り、アユイングでは針の鋭さが命です。親指の爪に針先を立ててみてください。カリッと止まらずに滑るようなら、その針はもう使えません。すぐに新しいものに交換しましょう。
釣り方を見直そう:誘いと待ちのバランス
良いポイントで、ルアーも底を叩けていて、針も鋭い。それでも釣れない時は、誘い方を見直してみましょう。もしかしたら、ルアーを動かすテンポが速すぎて、アユが怒る前に通り過ぎてしまっているのかもしれません。一つの有望な石の前で、じっくりとルアーを留めてみてください。焦らずに「待ち」の時間を長く取ることで、アユの闘争心に火がつくことがあります。
アユイング釣れない時のお悩み解決チャート
悩み | 考えられる原因 | 対策 |
全くアタリがない | ①ポイントが悪い ②ルアーが底に届いていない | ①石が黒く磨かれている瀬に移動する ②重いルアーやシンカーを使い、底をコツコツ感じるまで沈める |
アタるけど掛からない | 針先が鈍っている | 爪で鋭さをチェックし、すぐに新しい針に交換する |
掛かってもすぐバレる | ①アワセが強すぎる ②やり取りが強引 ③針のタイプが合っていない | ①竿が曲がるのを待ってから、ゆっくり力を加える ②ドラグを緩め、流れに乗せて優しく寄せる ③バラシにくいキープ重視の針やチラシバリを試す |
ステップアップ!状況別攻略テクニック
基本をマスターしたら、さらに釣果を伸ばすための応用テクニックにも挑戦してみましょう。
流れの攻略:瀬、トロ場、チャラ瀬
- 瀬: アユイングのメインステージ。流れの変化点(ヨレ)や大きな石の周り、流れの筋の肩部分(かけあがり)などを丁寧に探るのが基本です。
- トロ場: 流れが緩やかな淵や淀み。ここでは流れの力でルアーが動かないため、リールをゆっくりと巻いてルアーを泳がせる必要があります。瀬で反応がない時に、アユが避難していることがあるため、探ってみる価値はあります。
- チャラ瀬: 足首ほどの水深しかない浅場。見過ごされがちですが、意外とアユが付いている穴場です。魚に警戒されないよう、静かに近づいて狙ってみましょう。
時期による釣り方の違い:初期・真夏・終盤
- 初期(6月頃): アユはまだ小さく、縄張り意識もそれほど強くないため、群れで行動していることが多いです。瀬の中の少し流れが緩やかな場所などを狙うと良いでしょう。
- 真夏(7月~8月): シーズンの最盛期。アユは最も攻撃的になり、流れのど真ん中の一番良い石に陣取っています。自信を持って瀬の中心を攻めてみましょう。
- 終盤(9月~10月): 産卵を意識し始めた「落ちアユ」のシーズン。魚体は大きいですが、縄張り意識は薄れてきます。瀬の中よりも、産卵場所となる砂利底が近い瀬の出口やトロ場などに集まる傾向があります。この時期の大物は引きも強烈なため、タックルも少し強めのものが必要になる場合があります。
まとめ
アユのルアー釣り「アユイング」は、伝統的な友釣りの奥深さを受け継ぎながら、より手軽に、そしてゲーム性高く楽しめる現代的な釣りです。成功への鍵は、アユの「縄張り本能」を深く理解し、それに合わせたアプローチをすることに尽きます。
安全のための足元装備と鋭い掛け針を用意し、川を読んで「良い石」を見つけ出す。そして、流れを利用した「ドリフト」と「ステイ」で、じっくりとアユを挑発する。この基本を忠実に守れば、初心者の方でも必ずや美しいアユをその手にすることができるはずです。
このガイドで得た知識を胸に、安全に注意し、川と仲間への敬意を忘れずに、清流での素晴らしい一日を楽しんでください。最初の一匹が掛かった時の、あの「グググッ」という衝撃は、きっと忘れられない思い出になることでしょう。
アユ釣りについては以下記事も参考にしてください。
【完全ガイド】アユの友釣りを始めよう!初心者向けに釣り方のコツと仕掛けを徹底解説