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【初心者必見】8月の荒川上流(秩父・長瀞)釣り完全ガイド!おすすめ釣り場と始め方を徹底解説

蝉の声が響き渡り、木々の緑が深まる8月。都会の喧騒を離れ、清らかな水の流れに涼を求めるなら、埼玉県の奥座敷、秩父・長瀞エリアを流れる荒川上流ほど素晴らしい場所はありません。川面にきらめく太陽の光、ひんやりとした水の感触、そして竿先に伝わる生命の躍動。釣りは単なる趣味ではなく、秩父の雄大な自然と一体になれる、最高の夏の体験です。

しかし、いざ「釣りを始めよう」と思っても、「何から準備すればいいの?」「どこに行けば釣れるの?」と、分からないことだらけで一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

ご安心ください。この記事は、そんな釣り初心者のあなたのために作られた、まさに「完全ガイド」です。安全に楽しむための準備から、釣りの楽しさを確実に味わえるおすすめの釣り場、そして美しく力強い渓流魚をその手にするための具体的な釣り方まで、専門家が一つひとつ丁寧に、分かりやすく解説します。この記事を読み終える頃には、きっとあなたは自信を持って、荒川での素晴らしい一日に向けて出発の準備を始めていることでしょう。さあ、きらめくヤマメや野性味あふれるイワナ、力強いニジマスたちとの出会いを求めて、冒険の扉を開きましょう。

まずは準備から!荒川上流の釣りで知っておくべき基本

素晴らしい釣り体験は、しっかりとした準備から始まります。特に夏の渓流は、楽しさと同時に注意すべき点もいくつか存在します。ここでは、服装や安全装備、そして必ず守るべきルールである「遊漁券」について、基本中の基本を解説します。

服装と安全装備:夏の渓流を快適・安全に楽しむために

真夏の渓流は涼しいイメージがありますが、日差しを遮るものがない場所も多く、適切な服装選びが快適さと安全に直結します。

  • 服装の基本: 日焼けや虫刺され、植物による擦り傷から肌を守るため、基本は「長袖・長ズボン」です。汗をかいてもすぐに乾く「速乾性」の素材を選びましょう。綿のTシャツは濡れると乾きにくく、体を冷やしてしまうため避けるのが賢明です。帽子は日差しを防ぐため、つばの広いタイプがおすすめです。
  • 足元の装備: 川の中を歩くことを考えると、足元は最も重要な装備です。
    • ウェーディングシューズ + スパッツ: 夏の渓流で最も快適かつ安全な組み合わせです。靴底がフェルトやラバーでできており、濡れた岩の上でも滑りにくい専用の靴です。これにゲーターやスパッツを合わせることで、砂利の侵入を防ぎ、足元を保護します。
    • ウェーダー: 胸まである防水のズボンで、濡れることなく川の中心まで立ち込めます。しかし、8月の気候では非常に蒸れて暑く、万が一転倒して中に水が入ると非常に危険なため、初心者の方にはあまりおすすめできません。
  • 必須の小物:
    • 偏光サングラス: 水面のギラつきを抑え、水中を見やすくしてくれます。魚の姿や川底の地形を把握できるだけでなく、飛んでくる仕掛けや木の枝から目を守る役割もあり、まさに必需品です。
    • 水分と食料: 夏場の水分補給は命に関わります。「少し多いかな」と思うくらいの飲み物を持っていきましょう。
    • 虫除けスプレー、日焼け止め、救急セット: 快適に過ごし、万が一に備えるための基本アイテムです。

そして、服装以上に重要なのが、夏の山の天候に対する心構えです。8月の山間部では、午前中は晴れていても午後から急に積乱雲が発達し、激しい雷雨に見舞われることが少なくありません。天気予報を確認する際は、都市部の予報だけでなく、より詳細な「山の天気予報」を必ずチェックしてください。川の水が急に濁り始めたり、木の葉や枝が普段より多く流れてきたりしたら、それは上流で大雨が降っているサインかもしれません。これは川の水位が急激に上昇する「増水」の前触れであり、非常に危険です。実際に、過去には台風の接近に伴う増水で釣り場が営業を休止した例もあります。少しでも異変を感じたら、決して無理をせず、すぐに川から上がって安全な場所に避難してください。

必須の「遊漁券」:ルールを守って釣りを楽しもう

荒川上流で釣りをするためには、必ず「遊漁券(ゆうぎょけん)」と呼ばれる許可証を購入する必要があります。これは、川を管理している「秩父漁業協同組合(秩父漁協)」が発行しているもので、釣り人が支払うこの料金が、ヤマメやイワナなどの放流事業や、川の環境を維持するための大切な資金となっています。つまり、遊漁券を購入することは、単なるルールではなく、私たちが楽しむ釣り場という素晴らしい環境を未来に残すための協力でもあるのです。

購入は決して難しくありません。秩父エリアにあるセブン-イレブンなどのコンビニエンスストアや、釣具店、キャンプ場などで手軽に購入できます。釣り場へ向かう途中で忘れずに立ち寄りましょう。

初心者の方がまず知っておくべきなのは、1日限りの「日釣券(にっちょうけん)」です。年券など様々な種類がありますが、日帰りで楽しむならこの一択で問題ありません。注意点として、釣り場で監視員の方から直接購入する「現場売」は、事前に店舗で購入するよりも割高になります。計画的に準備することで、余計な出費を抑えることができます。

券の種類対象魚種料金(店売)料金(現場売)備考
日釣券アユ・ワカサギを除く魚種2,500円5,000円初心者の日帰り釣行なら、まずこれを買えば間違いありません。

料金は2025年度のものを参考にしています。最新の情報は秩父漁協の公式サイト等でご確認ください。

釣りの楽しさを実感!初心者におすすめの管理釣り場3選

「自然の川はまだ少しハードルが高いかも…」と感じる初心者の方に、まず訪れてほしいのが「管理釣り場」です。管理釣り場は、魚が確実に放流されており、足場も安全に整備されているため、釣りの「楽しい!」という部分を凝縮して体験できる最高の入門ステージです。ここでは、目的やレベルに合わせて選べる、荒川上流エリアの特におすすめな3つの施設をご紹介します。このステップを踏むことで、道具の扱いや魚とのやり取りに慣れ、自信を持って次のステップへ進むことができるでしょう。

長瀞フィッシングセンター:手ぶらOK!家族で楽しめる「絶対釣れる」安心の釣り場

とにかく「釣れた!」という成功体験をしたい、特に小さなお子様連れで楽しみたい、という方に最もおすすめなのが「長瀞フィッシングセンター」です。この施設の最大の魅力は、初心者や家族連れに徹底的に寄り添った料金システムと設備にあります。

竿やエサ(うどん)は無料でレンタルでき、料金は釣った魚の分だけ支払う「買い取り制」です(ニジマス1匹500円)。もし一匹も釣れなくても、小学生以下のお子様は一切料金がかからないという、まさに究極の安心設計です。

釣り場は目的別に分かれており、5秒で釣れる「いけす」から、10分ほどで釣果が期待できるメインの「つりぼり」、そして少し難易度の高い「渓流」エリアまで、レベルに合わせて挑戦できます。まずは「つりぼり」で魚の引きを存分に味わい、自信がついたら渓流エリアで雰囲気を楽しむ、といったステップアップが施設内で完結します。手ぶらで訪れて、釣りの醍醐味を気軽に、そして確実に味わえる、まさに初心者のための楽園です。

あしがくぼ渓谷国際釣場:自然の川で本格的な雰囲気を手軽に味わう

「釣り堀もいいけど、やっぱり本物の川で釣ってみたい」。そんな気持ちに応えてくれるのが「あしがくぼ渓谷国際釣場」です。この施設は、横瀬川という自然の川をそのまま利用しており、管理釣り場の安心感と、本格的な渓流釣りの雰囲気を両立させているのが特徴です。

場内は「マスの時間釣り」「イワナ釣り」など、目的別にエリアが区切られています。上流側は足場が良く整備されているため家族連れでも安心、下流側は大きな岩が点在し、より自然に近い環境で渓流釣りの気分を盛り上げてくれます。

ここではエサ釣りのほか、ルアーフィッシングやフライフィッシングも楽しむことができます。自分が釣りをしている隣で、他の釣り人が華麗にルアーを投げる姿を見るのも、良い刺激になるでしょう。そして、釣った魚を施設内の食堂で塩焼きにして食べられる(1匹100円)のも大きな魅力。自分で釣り上げたばかりの新鮮な魚の味は、きっと忘れられない思い出になります。都心から約2時間というアクセスの良さも嬉しいポイントです。

トラウトオン!入川:荒川源流の秘境で最高のロケーションを体験

管理釣り場でありながら、”本物”の自然環境を求めるなら「トラウトオン!入川」が最高の選択肢です。その名の通り、ここは荒川のまさに源流域に位置し、「秘境」と呼ぶにふさわしい圧倒的なロケーションを誇ります。

全長1000メートルにも及ぶ広大な釣り専用区画は、隣の釣り人を気にすることなく、ゆったりと釣りを楽しめる贅沢な空間です。水の透明度は抜群で、その清流で育った魚は臭みがなく美味しいと評判です。

この施設の特筆すべき点は、本格的な釣りへのステップアップを強く意識していることです。通常のエサ釣りエリアに加え、上流部にはルアー・フライフィッシング専用のフィールドが常設されており、より専門的な釣りに挑戦したいという気持ちに応えてくれます。また、この釣り場の駐車場を拠点に、さらに上流の自然渓流へと分け入っていくことも可能です。管理釣り場の利便性と安全性を享受しつつ、限りなく自然に近い環境で釣りを体験できる、まさに本格渓流釣りへの架け橋となる施設です。

ステップアップ!自然の渓流でヤマメ・イワナに挑戦

管理釣り場で釣りの基本と楽しさを覚えたら、いよいよ次のステージ、自然の渓流へと足を踏み入れてみましょう。ここでのターゲットは、人の手で管理されていない、警戒心に富んだ野生の魚たち。パーマークと呼ばれる美しい模様を持つ「渓流の女王」ヤマメや、岩陰に潜む神秘的なイワナです。簡単には釣れないからこそ、出会えた時の感動は計り知れません。

渓流釣りの魅力と心構え

自然渓流での釣りは、管理釣り場とは全く異なるアプローチが求められます。それは、魚を探し、その習性を読み、気配を消して近づく「狩り」にも似た奥深さです。ヒレの先までピンと張り、厳しい自然を生き抜いてきた魚体の美しさは、まさに格別です。

最も重要な心構えは「静かに、慎重に」行動すること。野生の魚は非常に臆病で、人の足音や影が水面に落ちるだけで、一瞬で岩陰に隠れてしまいます。川に近づく際は、できるだけ低い姿勢を保ち、物音を立てないようにゆっくりと歩きましょう。成功の鍵は、魚に自分の存在を気づかれる前に、こちらが先に魚を見つけることです。

狙うポイントの見つけ方:魚はどこに隠れている?

一見するとどこにでも魚がいそうに見える渓流ですが、実は魚たちが好む場所には共通点があります。それは「エサが豊富で、流れが緩やかで、敵から隠れられる場所」です。この3つの条件が揃う一級ポイントを見つけることが、釣果への一番の近道です。

  • エサが集まる場所: 川の食べ物(水生昆虫など)は上流から流れてきます。流れが合流するY字のポイントや、水面にゴミや泡が筋のように流れている「泡の筋」は、エサが集中するサインです。
  • 魚が休める場所: 魚も一日中強い流れの中で泳いでいるわけではありません。流れの速い「流心」の脇にある、流れが少し緩やかになっている場所(流心脇の緩流帯)や、大きな岩の真後ろにできる流れの淀みは、魚たちが体力を温存する絶好の休憩所です。
  • 魚が隠れられる場所: 魚は鳥などの天敵から身を守るため、常に隠れ家を意識しています。川がえぐれて深くなっている「淵(ふち)」、岸がえぐれた下の空間(アンダーカットバンク)、そして大きな岩の陰や、木々が川に覆いかぶさってできた日陰は、彼らにとって最高の隠れ家(セーフティゾーン)となります。

これらの「エサ」「休憩」「安全」の3要素が複合した場所こそ、大物が潜む可能性が高い特級ポイントなのです。

おすすめのエリア:大滝地区と主な支流

荒川上流の中でも、特にヤマメやイワナを狙うのにおすすめなのが、秩父市のさらに奥に位置する「大滝地区」です。このエリアは岩盤が多く、淵が連続するダイナミックな景観が広がります。特に、支流である大血川(おおちがわ)の合流点から、上流の落合ダムまでの区間が中核エリアとされています。

ただし、このエリアに挑戦する際は一つ大きな注意点があります。それは、どこからでも川に降りられるわけではない、ということです。事前に地図をよく確認し、安全に入渓できる場所と、駐車スペースを把握しておくことが不可欠です。駐車の際は、地域の住民の方々の迷惑にならないよう、絶対に私有地や道の往来を妨げる場所には停めないでください。

また、荒川本流だけでなく、魅力的な支流も数多く存在します。

  • 中津川: キャッチ&リリース区間が設けられており、資源保護を意識した釣りが楽しめます。
  • 小森川・薄川: 比較的流れが穏やかで開けているため、釣りがしやすいエリアです。
  • 大洞川・滝川: より険しい渓谷相で上級者向けですが、6月以降、水温が上がってくると、鮮やかなオレンジの斑点が美しい、野性味あふれるイワナとの出会いが期待できます。

【完全図解】初心者向け「渓流エサ釣り」の始め方

自然の渓流で野生の魚を狙うにあたり、初心者が最も結果を出しやすく、かつ川の流れを読むといった基本技術を学ぶのに最適な釣り方が、エサを使った「ミャク釣り」です。これは、ウキを使わずに竿先から伝わる微かな感触(脈)や、目印の動きでアタリを取る、日本の伝統的な釣法です。この釣りをマスターすれば、その経験はルアーやテンカラなど、他の釣り方にも必ず活きてきます。

道具を揃えよう:最初の一本におすすめのタックル

まずは基本となる道具(タックル)を揃えましょう。釣具店で「渓流釣り入門セット」として販売されているものを購入するのも、手軽で確実な方法です。

  • 竿: 「渓流竿」と呼ばれるリールのない延べ竿を使います。長さは様々ですが、荒川上流の多くの川幅に対応できる、5.4m前後のものが最初の1本として万能でおすすめです。
  • 道糸: 竿先に結ぶメインの糸です。魚から見えにくく、水の抵抗を受けにくい0.3号~0.5号の太さのナイロンラインかフロロカーボンラインを選びましょう。
  • 目印: 糸に取り付ける、小さなマーカーです。これがウキの代わりとなり、魚がエサに食いついたことを教えてくれます。初心者の方は、糸の切り込みに通すだけで簡単にセットできるタイプが便利です。
  • ガン玉(オモリ): エサを川底近くまで沈めるための小さなオモリです。川の流れの速さに合わせて重さを調整するため、5号(軽い)から3B(重い)まで、いくつかのサイズが入ったセットを用意しておくと万全です。
  • ハリ: 魚の口に掛ける針です。エサの大きさに合わせて、4号~7号程度のサイズをいくつか揃えておきましょう。

仕掛けの作り方とエサの付け方

道具が揃ったら、仕掛けを作ります。釣具店で販売されている、糸に目印やハリが既に結ばれている「完成仕掛け」を使えば、この工程を大幅に短縮できます。

  1. 竿の先端(穂先)に道糸を結びます。
  2. 仕掛けの全長が、竿の長さより30cm~50cmほど短くなるように調整します。こうすることで、操作がしやすくなります。
  3. 道糸に、目印を3~4個、見やすい間隔で取り付けます。
  4. ハリから20cm~40cmほど上の位置に、ガン玉を1つ取り付けます。
  5. 糸の先端にハリを結んで完成です。

次にエサを付けます。

  • 購入できるエサ: 釣具店で手軽に買えるイクラやブドウムシは、初心者にとって扱いやすくおすすめです。イクラはハリ先を隠すように2~3粒刺し、ブドウムシはお尻から刺してハリ先を少しだけ出します。
  • 川虫: 最も食いが良いのは、釣り場の石をひっくり返して採取する川虫(キンパク、オニチョロなど)です。これは究極のエサですが、採取に慣れが必要なので、まずは購入できるエサから始めてみましょう。

釣り方の基本「ミャク釣り」:自然に流してアタリを待つ

仕掛けが完成したら、いよいよ実釣です。

  1. 仕掛けを投入する: 狙うポイントの少し上流に、仕掛けを振り込みます。
  2. 自然に流す: これが最も重要です。エサが、あたかも糸に繋がれていないかのように、川の流れに乗って自然に底近くを漂うように演出します。うまく流せているかの判断基準は、「目印の流れる速さ」です。もし、水面に浮いた木の葉と同じ速さで目印が流れていたら、エサが底まで沈んでいません。底の流れは表面より遅いため、正しく流せている仕掛けの目印は、木の葉よりもゆっくりと流れるはずです。ガン玉の重さを調整して、この状態を目指しましょう。
  3. アタリを取る: 竿を構え、目印の動きに全神経を集中します。流れに乗ってスーッと動いていた目印が、「ピタッ」と止まる、「スッ」と水中に引き込まれる、小刻みに震えるなど、不自然な動きを見せたら、それが魚のアタリ(魚信)です。
  4. アワセる: アタリを感じたら、間髪入れずに手首のスナップを効かせて、竿先をクイッと真上に引き上げるようにしてハリを魚の口に掛けます(アワセ)。川虫のような小さなエサなら即アワセ、ミミズのような大きなエサなら一拍置いてからアワセると、成功率が上がります。

この一連の流れをマスターすれば、美しい渓流魚との出会いはもうすぐそこです。

【日本の伝統釣法】シンプルで奥深い「テンカラ」入門

エサ釣りと並んで、ぜひ知っておいてほしいのが「テンカラ」です。これはリールを使わず、竿と糸、そして毛バリ(けばり)だけという、非常にシンプルな道具立てで渓流魚を狙う、日本古来の伝統釣法です。そのミニマルな道具立てと、水面を割って魚が毛バリに飛びかかるエキサイティングな瞬間は、多くの釣り人を魅了してやみません。

テンカラの魅力と道具

テンカラの魅力は、そのシンプルさとゲーム性の高さにあります。軽やかな仕掛けをリズミカルに振り込み、狙ったポイントへ毛バリを吸い込ませるキャスティングの楽しさ。そして、自分の巻いた毛バリに魚が激しくアタックしてくる、視覚的な興奮。まさに、釣りの原点ともいえる面白さが詰まっています。

道具も驚くほどシンプルです。

  • 竿: 「テンカラ竿」という専用の竿を使います。初心者は、木々が覆いかぶさった渓流でも扱いやすい、3.0m~3.3m程度の短めの竿から始めると良いでしょう。
  • ライン: 軽い毛バリを飛ばすため、糸自体に重さがある「レベルライン」という専用ラインを使います。初心者は、見やすくて扱いやすい、オレンジやピンクなどの蛍光色の3号前後がおすすめです。
  • ハリス: レベルラインの先に結ぶ、細く透明な糸です。0.8号程度の太さが標準的です。
  • 毛バリ: 昆虫などを模したハリです。「逆さ毛バリ」などが有名ですが、最初は数種類がセットになったものを購入すれば十分です。

仕掛けの結び方とキャスティング

仕掛けの準備は非常に簡単です。竿の先端にある「リリアン」という紐にレベルラインを結び、レベルラインの先にハリスを、ハリスの先に毛バリを結ぶだけです。初心者向けのセットには、ラインとハリスが既に結ばれているものもあり、さらに手軽に始められます。

テンカラの核心技術が「キャスティング」です。竿のしなりを利用して、ラインの重みで毛バリを前方に飛ばします。時計の針で例えるなら、竿を10時の位置から後ろに振りかぶり、2時の位置でピタッと止めるようなイメージです。まずは開けた川原や芝生の上で、ラインがしなやかに前後に伸びる感覚を掴む練習をすると良いでしょう。

テンカラでのポイントの狙い方とアタリの取り方

テンカラは、水面や水面直下を意識している魚を狙う釣りです。エサ釣りと同様に泡の筋なども良いポイントですが、テンカラならではの狙い目もあります。それは、エサ釣りでは見過ごしがちな、水深の浅い瀬の広がり(ヒラキ)や、落ち込みのすぐ上にある流れが緩やかになる部分(肩)です。魚は意外なほど浅い場所でエサを待っていることがあり、水面を流すテンカラでは格好のターゲットとなります。

アタリの出方は、テンカラ最大の醍醐味です。

  • 水面でのアタリ: 魚が水面に浮上し、「バシャッ!」と水飛沫を上げて毛バリに襲いかかります。最もエキサイティングな瞬間です。
  • 水中でのアタリ: 毛バリが沈んで見えない場合は、蛍光色のレベルラインの先端に集中します。ラインが不自然に止まったり、引き込まれたり、僅かに震えたりしたら、それがアタリのサインです。

アタリがあったら、素早くアワセを入れます。ここで初心者がやりがちなのが、魚が水面に出てくるのが見えた瞬間に、驚いて竿を引いてしまう「びっくりアワセ」です。これでは早すぎてハリが掛かりません。理想は、魚が毛バリをくわえて反転し、水中に戻ろうとする一瞬の「間」を待ってから、手首のスナップを効かせて鋭くアワセることです。この駆け引きこそ、テンカラの奥深い面白さなのです。

まとめ:夏の思い出に、秩父の美しい川で釣りを始めよう

この記事では、8月の荒川上流で釣りを始めるための全てを、順を追って解説してきました。まずは安全とルールを学び、次に管理釣り場で釣りの楽しさと自信を掴み、そして最後は自然の渓流で野生の魚との知恵比べに挑む。このステップを踏めば、きっとあなたの最初の釣り体験は、忘れられない素晴らしいものになるはずです。

釣りは、一度始めると一生楽しめる、奥深い趣味です。最初から大物が釣れなくても、決してがっかりすることはありません。秩父の美しい自然に身を置き、澄んだ水の流れに心を遊ばせる時間そのものが、何よりの宝物なのです。

最後に、この素晴らしい自然を未来に残すために、一つだけお願いがあります。釣った魚、特にヒレが美しい野生のヤマメやイワナは、優しくリリース(キャッチ&リリース)することを心がけてみてください。そして、持ち込んだゴミは必ず全て持ち帰りましょう。釣り人一人ひとりの小さな心がけが、豊かな川を守る大きな力となります。

さあ、準備は整いました。この夏、秩父の美しい川で、あなただけの最高の思い出を作ってください。安全で、素晴らしい釣行となることを心から願っています。

ABOUT ME
Shin
釣歴32年のパパアングラーで子供を連れて行ける釣り場やキャンプ場を日々探して巡っています。役に立つ情報満載でブログをお届けさせていただきます(^^♪
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