11月、関東の海はアジ釣りの「セカンドシーズン」とも呼ぶべき絶好機を迎えます。夏に防波堤を賑わせた5cmから10cmほどの「豆アジ」や「小アジ」の季節は終わりを告げ、アベレージサイズが格段にアップ。堤防からでも20cmを超える「中アジ」がコンスタントに狙えるようになり、時には30cm超の「尺アジ」クラスが回遊してくる、エキサイティングなシーズンの到来です。
この記事は、関東エリアの堤防・漁港に特化し、11月に良型のアジを釣り上げるための戦略を「サビキ釣り(エサ)」と「アジング(ルアー)」の両面から徹底的に解説します。最新の釣果データと生態学的な根拠に基づき、なぜ11月が「サイズアップ」のチャンスなのか、そしてその貴重な一匹を獲るための具体的な戦術と、推奨される関東の釣り場を網羅します。
11月の関東で「良型アジ」が釣れる理由:なぜ今がチャンスなのか

夏にあれほどいた豆アジがなぜ減り、良型が釣れ始めるのでしょうか。その答えは「水温」とアジの「回遊パターン」にあります。
秋にアジがサイズアップするメカニズム:水温と回遊パターン
アジは年間を通じて回遊する魚ですが、7月から11月にかけては、エサを求めて外洋から湾内、さらには湾奥の河口付近まで入ってきます。夏の間、湾奥で豊富なプランクトンを捕食して成長した群れと、秋になり新たに湾内へ入ってくる成魚の群れが、この時期に合流し始めます。
ここで重要なのが「水温」です。アジの適水温は $16\sim20^\circ\text{C}$ とされています。11月に入り、放射冷却などで表層の水温が低下し始めると、アジの群れは湾全体に散らばるのではなく、むしろ逆の現象が起こります。
彼らは、適水温である $16\sim20^\circ\text{C}$ を維持できる「水温の安定した場所」を探し始めます。具体的には、外洋の暖かい潮の影響を受けやすい湾口部、あるいは水深があり水温が変化しにくい大規模な港湾部、堤防の先端、温排水の周辺などです。
つまり、11月のアジは「水温低下で釣れなくなる」のではなく、「釣れる場所が“集約・濃縮”される」 のです。これにより、夏場は群れが散っていて狙い撃ちが難しかった良型のアジが、特定の堤防や漁港に集結し、陸っぱりからでも狙いやすくなるのです。
11月に狙えるアジのサイズ:20cm超は現実的な目標
では、11月の関東では具体的にどれくらいのサイズが期待できるのでしょうか。
まず、20cmクラスの中アジは非常に現実的なターゲットです。例えば、神奈川県の「本牧海づり施設」における2023年11月20日の釣果報告では、サイズは18cm、中心は15~20cmであったと記録されています。これは、アベレージサイズが夏から確実にワンランクアップしていることを示しています。
さらに、場所を選べば30cm超、夢の40cmクラスも射程に入ります。千葉県・内房エリアの2025年11月の釣果情報を見ると、非常に興味深いデータが確認できます。
- 金谷漁港の報告(11月11日): 最大22cm
- 勝山漁港の報告(11月8日): 30~42cm
同じ11月の内房エリアで、なぜこれほど極端なサイズの差が生まれるのでしょうか。これは、11月の関東が2種類のアジを同時に狙える時期であることを示唆しています。
- 湾奥・港湾部の「中アジ」:本牧や金谷漁港のような湾内に居つく20cm前後の群れ。
- 湾口部の「大アジ」:勝山漁港のような外洋に面したエリアに接岸する、回遊性の高い大型の群れ(通称セグロアジ)。
11月の関東では、本牧のような都市近郊の釣り場で20cmクラスを堅実に釣る戦略も、勝山のような外洋に近いエリアで40cmクラスの「ギガアジ」のロマンを追う戦略も、アングラー自身が選ぶことができるのです。
【サビキ釣り編】手堅く良型を釣る「堤防サビキ」完全攻略

初心者やファミリーフィッシング、あるいは手堅くお土産を確保したいアングラーにとって、サビキ釣りは最強の武器です。しかし、11月の良型アジを釣るためには、夏の豆アジ釣りとは異なる「専門的な戦術」が求められます。
11月のアジは「トリックサビキ」が最強?
11月の良型狙いにおいて、最も推奨される仕掛けが「トリックサビキ」です。
通常のサビキ仕掛けは、針にビニール(スキン)や魚の皮(ハゲ皮)といった「疑似餌」が付いています。一方、トリックサビキは、針には何も付いておらず、専用の器具を使って針一本一本に直接コマセ(アミエビ)を付けて使用します。
なぜ、手間のかかるトリックサビキが11月に最強なのでしょうか。その理由は、20cmを超えるアジの「警戒心」 にあります。
夏の豆アジは好奇心旺盛で、疑似餌にも果敢にアタックしてきます。しかし、成長してスレた(警戒心が強くなった)中アジや大アジは、疑似餌を簡単に見切ることがあります。その点、トリックサビキは針に「本物のエサ」が付いているため、匂いと味でアジにアピールできます。
実際に、前述した11月の本牧海づり施設での釣果報告(15~20cm)でも、使用された仕掛けは「トリック」であったと明記されています。これは、現場で確実に釣果が出ている証拠です。
さらに、トリックサビキは餌の「美味しそうなニオイ」で魚を寄せるため、夜釣りでも絶大な効果を発揮します。夜光タイプの針を選べば、暗い水中でもアピール力が増し、釣果アップが期待できます。
良型アジを逃さない! サビキ仕掛けの選び方
11月の釣行では、仕掛け(特に針の号数)の選択が釣果を大きく左右します。
表1:【11月のアジ攻略】サビキ仕掛け・推奨スペック
| ターゲットサイズ | 推奨される針の号数 | 推奨仕掛けタイプ | 専門家のメモ |
| 15cm以下(豆アジ) | 3~5号 | 通常サビキ(スキン・ハゲ皮) | 11月でも場所により混在。お土産確保用。 |
| 15~25cm(中アジ) | 7~8号 | トリックサビキ | 本命。 20cm超の硬い口に対応し、バラシを防ぐ。警戒心の高い個体に有効。 |
| 25cm以上(大アジ) | 8~10号 | 飛ばしサビキ / トリック | 報告された40cm級。ハリスも太いものを選ぶ。 |
ここで最も重要なのは、本命の20cmクラスに対して「7~8号」 を選択することです。
一部の情報では15~25cmに4~6号を推奨していますが、11月のアジはサイズが良く、口周りも硬くなっています。小さな針(4~6号)では、アワセた際にしっかりとフッキングしなかったり、掛かったとしてもファイト中に針が伸びたり、口が切れたりしてバラシ(逃がすこと)てしまうリスクが非常に高くなります。
7~8号という大きめの針を使うことで、20cmクラスの硬い口にも確実にフッキングさせ、不意に来る30cm超の大物にも対応できます。
また、11月のアジは水温の安定した深場にいることが多いため、足元で釣れない状況も多々あります。その場合、ウキを付けて沖の深場を狙う「飛ばしサビキ(遠投サビキ)」や、オモリを付けて海底付近を狙う「ブッコミサビキ」が必須の戦術となります。遠投タイプ(針が3本など少ないもの)の仕掛けも準備しておきましょう。
釣果が爆発的に変わる「コマセ(撒き餌)」の黄金比
サビキ釣りで釣果を出すには、コマセ(撒き餌)が不可欠です。その配合と使い方にも、11月ならではのコツがあります。
基本となるのは「冷凍のアミエビ(ブロック)」です。チューブタイプの手軽なものもありますが、ブロックタイプは鮮度と匂いが格段に良く、アジの集魚効果が最も高いです。
そして、このアミエビに「集魚剤(パウダー)」を加えることが、釣果を飛躍させる鍵となります。集魚剤(例:マルキューのアジパワーや夜釣りパワー白など)は、匂いや濁りを強化するだけでなく、アミエビから出る「汁」を吸収する重要な役割を持っています。
アミエビを解凍しただけのビシャビシャの状態でコマセカゴに詰め、特に「飛ばしサビキ」で遠投しようとすると、キャストした瞬間にコマセがカゴから飛び散ってしまい、狙ったタナ(水深)まで届きません。
集魚剤を加え、「アミエビの汁気が無くなる程度」、あるいは「少し粉っぽい」と感じるくらいまで混ぜ込むことで、コマセが適度にまとまります。これにより、遠投してもカゴから中身がこぼれず、狙った水深で効率よくコマセを撒くことが可能になり、深場にいる良型アジの群れを足止めできるのです。
コマセの量の目安としては、3時間程度の釣りならアミエビ800g(20切ブロック)、6時間なら2kg(8切ブロック)程度を準備すると良いでしょう。また、コマセを混ぜるための蓋付きの「コマセバケツ」や、手を汚さずにコマセをカゴに詰められる「ワンタッチスプーン」があると非常に便利です。
【アジング編】ゲーム性高く良型を狙う「堤防アジング」戦術

ルアーでアジを狙う「アジング」は、そのゲーム性の高さから絶大な人気を誇ります。11月の良型アジは引きも強く、アジングのターゲットとして申し分ありません。テクニカルな11月のアジングを制するための戦術を解説します。
11月のアジング:ジグヘッド重量の「正解」
アジングの基本は、ジグヘッド(オモリと針が一体化したもの)にワーム(ソフトルアー)を装着した「ジグ単」リグです。このジグヘッドの重さ選択が、釣果の9割を決めると言っても過言ではありません。
アジングのスタンダードは「1g(グラム)前後」のジグヘッドです。
軽いジグヘッドが適している理由は2つあります。
- スローフォール:アジは上からゆっくり落ちてくるものに反応しやすいため、軽いジグヘッドで「じわーっ」と沈ませる(フォールさせる)ことで、アジがいるレンジ(層)に長くワームを見せることができ、バイト(アタリ)が増えます。
- 吸い込みやすさ:アジはエサを「吸い込んで」捕食します。リグが軽いほどアジが吸い込みやすくなり、フッキング(針掛かり)の確率が上がります。
しかし、11月の関東では、この「1g前後」という基本ルールだけでは対応できない状況が必ず発生します。それが、「2g~3g」といった重いジグヘッドの必要性です。
前述の通り、11月のアジは水温の安定した「深場」に集まります。水深が10m以上あるようなポイントのボトム(底)付近を探る場合、1gのジグヘッドでは軽すぎて底が取れなかったり、潮に流されて狙ったポイントを通過してしまいます。
11月のアジングでは、以下のような状況で2g~3gの重いジグヘッドが必須となります。
- 水温が安定している**「水深が深い場所」のボトム(底)付近**を探りたい時
- 晩秋特有の**「強風」**の中で、リグを沈ませたい時
- 潮の流れが速い**「激流ポイント」**で、リグを流されすぎないようにする時
- 表層の豆アジを避け、その下の良型アジの層へ素早くリグを届けたい時
逆に、アジの活性が低く、何をしても食わない「渋い」状況下では、「0.2gや0.4g」といった超軽量ジグヘッドが「チート級」とも言われるほどの威力を発揮します。水に馴染むようにフワフワと漂わせることで、警戒心の高いアジの捕食スイッチを入れることができます。
表2:【11月のアジング】状況別 ジグヘッド重量 使い分けガイド
| 重量(目安) | 状況 | 目的とメカニズム |
| 0.2g~0.8g(軽量) | 無風 / 渋い / 表層 | スローフォール。アジの捕食スイッチを入れる。「チート級」の威力。 |
| 1.0g~1.5g(標準) | スタンダード | 基本の重さ。 適度な操作性と、アジが吸い込みやすいスローフォールを両立。 |
| 2.0g~3.0g+(重量) | 強風 / 激流 / 深場 | 11月の鍵。 水温が安定した深場にリグを沈めるため。豆アジの層を突破する。 |
ワームカラーとアクションの最適解
夜釣りがメインとなるアジングでは、ワームのカラーローテーションも重要です。クリア系、グロー系(面発光)、ラメ系など様々なカラーがありますが、11月の夜釣りで特に試してほしいのが「点発光(てんはっこう)カラー」です。
これは、ワーム全体が光るグローとは異なり、ワームのボディに練り込まれた粒子が点で発光するものです。なぜこれが釣れるのかというと、アジが捕食している**「夜光虫(プランクトン)」を模倣**しているためです。
アジが夜光虫を偏食しているパターンにハマると、他のどのカラーにも反応しない状況でも、点発光カラーだけが「圧倒的な効果」を発揮することがあります。
アクションについては、11月(冬)の夜釣りではアジの活性が低い場合も想定されるため、基本は「スローリトリーブ(ゆっくりただ巻き)」が有効です。ただし、一定のスピードで巻くだけでは見切られるため、時折リールを巻くのを止めたり(フォール)、軽く竿先を弾くような「不規則な動き(ジャークや方向転換)」を織り交ぜることで、アジに刺激を与え、リアクションバイトを誘発します。
また、ワームの付け方にも一工夫あります。「ワームの頭を少し露出させる」ようにジグヘッドにセットすることで、ロッドアクションを加えた際にジグヘッドの動きがワームにダイレクトに伝わり、「ヘッドの動きが際立つ」ようになります。
11月の「釣れない」を回避する思考法
11月のアジングで失敗しないために最も重要なのは、やはり「場所選び」です。釣れるポイントの条件は明確で、以下の2点を満たす場所を探すことが重要です。
- 潮通しが良いこと
- 水深がそこそこあること
これらは、11月の良型アジが「水温の安定した(=水深のある)」「エサが流れてくる(=潮通しが良い)」場所に集約されるという生態と完全に一致します。
11月の良型アジング攻略とは、「(潮通しの良い)深場の安定した水温の層にいる、高活性だがセレクティブな群れを、いかに(2g~3gの重いジグヘッドで)直撃し、(トリックサビキや点発光ワームで)口を使わせるか」 というゲームなのです。
その「正解」の場所にたどり着く一番の近道は、地元の釣具店のスタッフに最新の釣果情報を聞くことです。
20cm超実績あり!11月の関東「アジ」狙い目堤防・漁港

ここでは、リサーチに基づき、11月に良型アジの実績が確認されている関東の主要エリアと釣り場を紹介します。
【茨城県エリア】
茨城県は関東の中でもアジ釣りが非常に盛んなエリアです。歴史的に釣果実績が高く、魚影が濃い主要な港として、以下の港が挙げられます。
- 大津漁港
- 那珂湊港(釣果情報8000件以上)
- 久慈漁港
- 日立港
- 波崎新港
これらの大規模な港は、11月のアジが集まる「水深」と「潮通し」の条件を満たす優良ポイントです。
【千葉県エリア】
千葉県は東京湾側の「内房」と太平洋側の「外房」で、狙えるアジの特性が異なります。11月に実績が報告されているのは内房エリアです。
- 金谷漁港、上総湊港:湾奥に近く、20cmクラスの中アジ(最大22cm)の実績があります。
- 勝山漁港:湾口部に近く、外洋からの回遊魚が入りやすい立地です。11月に「30~42cm」という驚異的な大アジの釣果が報告されています。
サイズを堅実に狙うか、一発大物を狙うかで釣り場を選択するのが良いでしょう。
【神奈川県エリア】
神奈川県は東京湾、相模湾ともに優良なポイントが多数存在します。
- 本牧海づり施設(横浜・本牧):11月の「鉄板」ポイントです。2023年11月20日時点で水温 $18^\circ\text{C}$ と、アジの適水温を維持しており、15~20cmのアジが釣れています。特に日が落ち始める「16:00過ぎ」の時合いが狙い目です。
- 西湘サーフ(湘南・西湘):サーフ(砂浜)からですが、「ブッコミサビキ(投げサビキ)」でアジが狙えます。2025年11月3日(大潮)の夜19時台に釣果が報告されています。
釣果を左右する「時合い」と「潮回り」の見極め方

アジは一日中釣れ続く魚ではありません。釣果を出すためには、アジの捕食スイッチが入る「タイミング」を狙うことが不可欠です。
最高の「時合い」はいつか?
魚が釣れやすい時間帯を「時合い(じあい)」と呼びます。これは海の状況が変化するタイミングで発生し、アジの場合は特に「マヅメ時」(日の出・日の入り前後)に集中します。
11月は日が短く、水温も下がりやすいため、日中よりも朝・夕のマヅメ時、特に水温が下がりきる前の「夕マヅメ」が最大のチャンスタイムとなります。
本牧海づり施設の実績でも、「お昼はアタリはほとんどなく、たまに通りすがりのアジが掛かる程度」だったのが、「日が落ちてきた16:00過ぎから」急に釣れ始めたと報告されています。
釣行日を選ぶなら「大潮・中潮」
釣行日を選ぶ際は、潮見表(タイドグラフ)を確認し、「大潮」や「中潮」の日を選ぶのがセオリーです。これらの日は潮の干満差が大きく、潮が良く動く(流れが速くなる)ため、プランクトンが活発に流れ、アジの活性が上がるとされています。
1日の中では、潮が止まっている「満潮」「干潮」の潮止まりではなく、潮が動き出す「満潮・干潮の前後2時間」が最も釣れやすい時間帯の目安となります。
ただし、ここで一つ「大潮の罠」とも言うべき注意点があります。
大潮(特に満月)の日は、潮が動くという絶好の条件である一方、月が明るすぎて「月夜(つきよ)」になってしまうことがあります。西湘サーフで大潮の夜に4匹しか釣れなかったアングラーは、「月夜は余り良くないのかな?良い思いをしたことがありません」とコメントしています。
アジは警戒心が強いため、月が煌々と照らす明るい夜は、かえって群れが散ってしまったり、ルアーや仕掛けを見切ったりする要因になり得ます。
したがって、11月の良型アジを狙う最高の条件は、「大潮・中潮」かつ「月が出ていない(新月、曇り、雨)」、または「月が沈んだ後の時間帯」となります。
釣った良型アジを最高に美味しく持ち帰る技術

11月に釣れる良型のアジは脂が乗っており、食味も最高です。しかし、その鮮度と味は「締め方」と「持ち帰り方」で天と地ほどの差が出ます。釣りの満足度を最大化するため、専門家が実践する鮮度保持技術を紹介します。
鮮度を保つ「締め方」と「血抜き」
20cmクラスのアジが数釣れる場合、最も効率的で推奨されるのが「氷締め」です。
ここで初心者が最も陥る失敗が、クーラーボックスに「真水(淡水)の氷」と「真水」を入れて氷水を作ることです。これにアジを入れると、浸透圧の関係でアジの身が水を吸ってしまい、水っぽくブヨブヨの、味の抜けた身になってしまいます。
必ず「海水」で氷水(塩氷)を作るか、それが無理なら氷に塩を大量に投入して「塩氷水」を作ってください。この塩氷水に釣れたアジを投入して締めます。
もし30cmを超える大型(尺アジ)が釣れた場合は、「サバ折り」(エラの下に指を入れ、首を折る)や、調理バサミでエラを切って「血抜き」を行うと、より完璧です。血抜きをすることで身の劣化や生臭さを防ぎ、美しい白身を保つことができます。
専門家が推奨する「持ち帰り方」
魚を締めた後、次のステップが最も重要です。
多くの釣り人は、釣ったアジをクーラーボックスの「氷水の中に浸けたまま」持ち帰ります。これは間違いです。
魚を長時間水に浸けると、①身が水っぽくなる、②旨味成分が水に溶け出してしまう、という二重のデメリットがあります。
また、氷水から出して「氷に直接当てて」持ち帰るのも推奨されません。魚を「冷やしすぎる」と死後硬直が急速に進み、せっかくの食感が損なわれてしまいます。
推奨される手順は以下の通りです。
- 塩氷水でアジをしっかりと締めます(約1時間ほど)。
- アジが締まったら、塩氷水から取り出します。
- アジを「厚手のビニール袋」に入れ、空気を抜いて密閉し、水と空気を遮断します。
- クーラーボックスの底の氷の上に、袋に入れたアジを置きます(=直接氷に当てず、袋越しに冷やす)。
この「水に浸けない」「氷に直接当てない」という2点を守るだけで、持ち帰ったアジの味は劇的に向上します。
11月の良型アジ おすすめ絶品レシピ
11月の脂が乗った良型アジは、どんな料理にしても絶品です。刺身、なめろう、アジフライといった定番はもちろんですが、ここでは特に大型のアジに向いた専門家推奨のレシピを紹介します。
- レシピ1:「炙りたたき」三枚におろした後、あえて皮を引かずにゼイゴ(側線の硬いウロコ)だけを取り除きます。皮目をガスバーナーで炙り、氷水で冷やして締めます。皮目の独特の臭みが消え、皮と身の間の脂が溶け出して強烈な旨味に変わります。薬味の小ネギ、ポン酢、スダチとの相性は抜群です。
- レシピ2:「酢締め(酢橘風味)」三枚におろした身を塩で締めた後、米酢、スダチの皮、刻んだ青唐辛子と一緒に漬け込みます。繊細なアジの脂と、スダチや青唐の爽やかな風味が口の中に広がり、まさに絶品です。
まとめ:万全の準備で11月の良型アジを攻略しよう
11月の関東は、夏の豆アジとは比較にならない20cmクラス、時には30cmを超える良型のアジを堤防から狙える、またとないチャンスの季節です。
釣果の鍵は、水温が安定した「深場」を見つけ、そこへ仕掛けを届ける戦略にあります。
- サビキ派のアングラーは、警戒心の高い良型に効く「トリックサビキ」と、バラシを防ぐ「7~8号」の針を準備してください。コマセには集魚剤を混ぜ、遠投に備えましょう。
- アジング派のアングラーは、「1g前後のジグヘッド」を基本に、深場攻略用の「2~3g」、そして夜光虫パターンの「点発光ワーム」を忍ばせてください。
タイミングは、日が傾く「夕マヅメ」と、「大潮・中潮」の潮が動く時間帯を狙いましょう。ただし、満月の「月夜」は避けるのが賢明です。
そして、釣れた貴重なアジは「氷水に浸けっぱなしにせず」、「袋に入れて」クーラーで持ち帰ることで、専門家レベルの味を家庭で楽しめます。
本牧海づり施設のように、11月後半でも水温18度と高活性を維持しているポイントは多数あります。日が沈むと一気に冷え込むため、防寒対策を万全にし、11月の「サイズアップ」したアジの強烈な引きを堪能してください。
鯵釣りについてより知りたい方は以下のサイトも参考にしてください。
アジ釣り完全ガイド!初心者向け人気釣法3選と仕掛け・釣り方を徹底解説