雷魚(ライギョ)釣りは、その独特の生態と強烈なファイトから多くのアングラーを魅了する釣りです。特に、カエルを模したフロッグルアーを使ったトップウォーターゲームは、水面が炸裂するエキサイティングなバイトシーンが醍醐味と言えるでしょう。しかし、専門的なタックルや知識が必要とされることもあり、初心者には少し敷居が高いと感じられるかもしれません。
この記事では、そんな雷魚釣りを川で始めてみたいという初心者の方に向けて、雷魚の基本情報から、必要なタックル、ポイントの選び方、具体的な釣り方、そして安全に楽しむための注意点まで、網羅的に解説します。これを読めば、あなたも川の雷魚釣りの第一歩を踏み出せるはずです。
雷魚(ライギョ)ってどんな魚?生態と魅力

まずは、ターゲットである雷魚について基本的な知識を押さえておきましょう。
雷魚の基本生態
雷魚は、スズキ目タイワンドジョウ科に属する淡水魚で、カムルチーとも呼ばれます。全長は70~80cm、時にはそれ以上に成長する大型魚です。体は細長く、ヘビのような頭部が特徴的です。
生息環境としては、湖沼や河川の流れの緩やかな場所、特に水草が豊富な止水域を好みます。食性は肉食で、小魚やカエル類などを捕食します。
特筆すべきは、空気呼吸ができる能力を持っている点です。エラ呼吸だけでなく、上鰓器官(じょうさいきかん)という特殊な器官で空気中の酸素を直接取り込むことができるため、溶存酸素の少ない汚れた水や無酸素状態に近い水域でも生存可能です。このため、夏の高水温時などには、水面に顔を出して「バフッ」という音を立てて呼吸する姿が見られることもあります。
雷魚釣りの魅力とは?
雷魚釣りが多くのアングラーを引きつけてやまない魅力は、何と言ってもその強烈なパワーとエキサイティングなバイトシーンにあります。
- パワフルなファイト: 雷魚はヒットすると、突発的かつ強烈な引きを見せます。水草などのカバーに潜り込もうとする力も強く、スリリングなやり取りが楽しめます。
- 迫力のトップウォーターゲーム: 主にフロッグルアーを使った水面での釣りが中心となり、ルアーに襲いかかる瞬間が丸見えです。静寂を破って水面が爆発するようなバイトは、一度味わうと病みつきになるほどの迫力です。
- 独特の風貌と存在感: ヘビを思わせる厳つい顔つきや、美しいまだら模様など、その独特な姿も魅力の一つです。
- 戦略性と達成感: 雷魚は警戒心も強く、簡単に釣れる魚ではありません。ポイント選びからルアーアクション、アワセのタイミングまで、戦略を練って手にした一匹は格別の達成感をもたらします。
川の雷魚釣りに必要なタックル(道具)

川で雷魚を狙うには、そのパワーと生息環境に適した専用のタックルが不可欠です。ここでは、初心者の方が揃えるべき基本的な道具について解説します。
なぜ専用タックルが必要なのか?
雷魚は、ハスやヒシモなどの水生植物が密生した「ヘビーカバー」と呼ばれる場所に潜んでいることが多く、ヒットした際にはこれらのカバーから強引に引きずり出す必要があります。また、雷魚自体の引きも非常に強烈です。
そのため、バス釣り用などのライトなタックルでは、ロッドが折れたりラインが切れたりする可能性が高く、魚をキャッチすることが困難です。専用のヘビータックルは、魚とのファイトを有利に進めるだけでなく、魚をカバーに巻かれることなく速やかにランディングするためにも重要であり、結果として魚へのダメージを軽減することにも繋がります。
ロッド:パワーと長さの選び方
雷魚釣りに使用するロッドは、パワーと粘り強さが求められます。
- パワー: ヘビー(H)からエクストラヘビー(XH)クラスのパワーを持つ専用ロッドが基本です。これにより、分厚いカバーから雷魚を引き離し、主導権を握ったファイトが可能になります。
- 長さ: 川での釣りでは、ある程度の遠投性能や操作性を考慮し、7フィート(約2.1m)から8フィート(約2.4m)前後のものが主流です。特に開けた場所や対岸のカバーを狙う際には、この程度の長さが飛距離とパワーのバランスに優れています。水路などの小規模なポイントでは6フィート台のロッドも使われますが、汎用性やパワーを考えると、初心者が最初に選ぶ川用の雷魚ロッドとしては7フィート以上が無難でしょう。
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リール:ベイトリールの選択基準
ロッド同様、リールにも頑丈さとパワーが求められます。
- タイプ: 基本的にベイトリールを使用します。太いラインを扱いやすく、パワーファイトに向いています。
- サイズ・剛性: 中型から大型の、剛性の高いベイトリールを選びましょう。雷魚の強烈な引きに耐えられる頑丈なボディと強力なギアが搭載されたモデルが理想です。
- ラインキャパシティ: 後述する太いPEラインを十分に巻けるラインキャパシティが必要です。目安として、PEラインの8号を100m程度巻けるものが良いでしょう。
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ライン:太さと素材の選択
ラインは魚とアングラーを繋ぐ生命線であり、雷魚釣りにおいては特に重要です。
- 素材: PEラインが必須です。PEラインは直線強度が高く、伸びが少ないため、フッキングパワーを確実に伝え、カバーから魚を引き出すのに有利です。
- 太さ: PEラインの6号から10号程度が使用されます。初心者のうちは、ライントラブルやラインブレイクのリスクを減らすためにも、8号程度の太めのラインから始めるのがおすすめです。雷魚の歯は鋭く、また水草などの障害物に擦れることも多いため、ある程度の太さがないと簡単に切られてしまいます。
主役ルアー「フロッグ」の基本
雷魚釣りの代名詞とも言えるルアーが、中空ボディを持つカエル型のルアー「フロッグ」です。
- 基本構造: フロッグルアーは、柔らかい樹脂製の中空ボディでフックポイントが隠れるように設計されており、これにより水草などのカバーの上を引いても根掛かりしにくいのが最大の特徴です(ウィードレス性能)。この性能により、雷魚が潜むヘビーカバーをダイレクトに攻めることができます。
- 主な種類:
- スタンダードタイプ(ロングノーズタイプ): 鼻先が尖ったオーソドックスな形状で、カバーのすり抜け性能に優れています。水面を左右にスケーティングさせる「ドッグウォーク」アクションが得意です。
- ポッパータイプ: ルアーの先端がカップ状になっており、アクションを加えると「ポコッ」という音や水飛沫(スプラッシュ)を出してアピールします。広範囲の魚に気づかせたい場合や、水面が多少波立っている状況で有効です。
- ブレード付きなど: テール部分にブレードやその他のアピールパーツが装着されたタイプもあります。これらは光の反射や波動でさらに魚にアピールします。
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初心者でもできるフロッグチューニング入門
市販の雷魚用フロッグの多くは、購入後に一手間加える「チューニング」を施すことで、より高いパフォーマンスを発揮します。このチューニング作業も雷魚釣りの楽しみの一つであり、アングラーの創意工夫が活かせる部分です。
- シーリング(浸水対策): フロッグのフックホール(フックが出ている穴)やラインアイ(ラインを結ぶ部分)の隙間から水が浸入すると、フロッグの浮力やアクションが悪化します。これを防ぐため、専用のシーリング剤(ウレタン系接着剤など)でこれらの隙間を埋める作業が必要です。また、雷魚がバイトした際にボディ内の空気が抜けるように、お尻部分などに小さな空気穴を開けることもあります。
- ウェイト調整: フロッグ内部のウェイト(オモリ)の位置や重さを調整することで、浮き姿勢(例:水平に近い「横浮き」や、お尻が沈んだ「縦浮き」)やアクションのキレを変えることができます。初心者のうちは、まずフロッグがしっかりと浮き、投げやすいようにバランスを取ることが目標です。
- チューニング不要のモデルも: 最近では、パッケージから出してすぐに使えるチューニング済みのフロッグや、チューニングがほとんど不要なモデルも販売されています(例:スミス社のグロッサORGなど)。最初のうちは、このようなモデルを選ぶのも良いでしょう。
必須アクセサリー
快適かつ安全に雷魚釣りを楽しむために、以下のアクセサリーも揃えておきましょう。
- ロングノーズプライヤー: 雷魚の口は硬く、歯も鋭いため、安全にフックを外すために先端の長いプライヤーは必須です。
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- マウスオープナー: 雷魚の顎の力は非常に強いため、フックを外す際に口を安全に開けておくための道具です。
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- ランディングネット: 大型の雷魚を安全かつ確実に取り込むために、柄が長く丈夫なランディングネットを用意しましょう。特に足場の高い場所やヘビーカバーでのやり取りでは重宝します。
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- 水汲みバケツ: 釣れた雷魚を一時的に濡らしておくためや、リリース前に水をかけて魚体を保護するために役立ちます。
初心者向け 川の雷魚タックル推奨例
アイテム (Item) | 推奨スペック (Recommended Specs) | 備考 (Notes) |
ロッド (Rod) | 長さ: 7~8フィート (2.1~2.4m)前後<br>パワー: ヘビー(H)~エクストラヘビー(XH)クラス | カバーから強引に引きずり出すパワーが必要 |
リール (Reel) | タイプ: ベイトリール<br>サイズ: 中型~大型の頑丈なモデル | PE8号100m程度巻けるラインキャパシティ |
ライン (Line) | 素材: PEライン<br>太さ: 6号~10号 (初心者は8号程度から) | 歯や障害物によるラインブレイクを防ぐ |
ルアー (Lures) | 種類: 中空フロッグ (スタンダード、ポッパータイプなど)<br>チューニング: シーリング、ウェイト調整 (必要に応じて) | カバー回避性能が高い。最初はチューニング済みか簡単なものから |
必須ツール (Essential Tools) | ロングノーズプライヤー、マウスオープナー、ランディングネット、(水汲みバケツ) | 安全なフック外しとランディングのために必須 |
川のどこにいる?雷魚ポイントの見つけ方

タックルが揃ったら、次は雷魚が潜んでいそうなポイントを探すことが重要です。川の雷魚釣りでは、やみくもにキャストするのではなく、魚の付き場を「読む」ことが釣果への近道となります。これには、地図での下調べと、現場での鋭い観察眼(視覚と聴覚)を組み合わせることが効果的です。
有望な河川のタイプ
全ての川に雷魚がいるわけではありません。初心者の方が雷魚を見つけやすいのは、以下のような特徴を持つ河川です。
- 小~中規模河川とそれに繋がる用水路: 大規模な河川や湖沼はポイントが絞りにくく経験者向きですが、比較的小規模な河川や、水田地帯を流れる用水路などはポイントが分かりやすく、初心者でも雷魚の魚影を確認しやすいでしょう。特に、本流河川と水門などを介さずに直接繋がっている用水路は、雷魚が自由に行き来できるため、大型が潜んでいることもあります。このような用水路は、一見すると狭く浅くても、驚くようなサイズの雷魚が釣れることがあるので侮れません。
- 流れの緩やかなエリア: 雷魚は基本的に流れの速い場所よりも、中流域から下流域にかけての流れが緩やかな場所や、ワンド状になった止水域を好みます。
「カバー」を狙え!水生植物の重要性
雷魚は非常にカバー(障害物)を好む魚です。身を隠し、獲物を待ち伏せするのに適した水生植物の周りは、一級のポイントとなります。
- 代表的な水生植物:
- 岸際に生えるアシやガマの群生。
- 水面を覆うヒシ、ハス、ジュンサイなどの浮葉植物。
- その他、水中に沈んでいるウィード類(沈水植物)。
- 植物が作る変化: これらの水生植物が、日差しを遮るシェードを作っていたり、流れを緩やかにしていたり、複雑な水中構造を形成している場所は、雷魚にとって絶好の隠れ家であり捕食場所となります。特に、水草が密集しているエリアの切れ目やポケット(隙間)は、重点的に狙ってみましょう。
変化を見逃すな!地形とストラクチャー
水生植物以外にも、川の地形や人工的な構造物が作り出す「変化」は、雷魚が付きやすいポイントとなります。雷魚は、何らかの変化がある場所に定位する傾向があります。
- 川のカーブ: 川が曲がっている場所は、流れの変化や水深の変化が生まれやすく、雷魚が好むポイントです。カーブの外側は深くえぐれていたり、内側は浅く緩やかな流れになっていたりします。
- 合流点: 小さな支流や用水路が本流に合流する場所は、流れが複雑になり、ベイトフィッシュ(小魚)が集まりやすいため、それを狙う雷魚も集まります。
- 橋の下: 橋脚や橋桁は格好のストラクチャーとなり、日陰も提供するため、雷魚が付きやすいポイントです。
- 水門: 用水路などに見られる水門の周辺は、水の流れが変化し、魚が溜まりやすい場所です。
- ワンド状の場所: 川岸が陸地側に窪んで入り江のようになっている場所(ワンド)は、流れが緩やかで水生植物も生えやすく、雷魚の好む環境です。
雷魚のサイン:呼吸音と姿
ポイントに着いたら、まずは水面を注意深く観察し、雷魚の存在を示すサインを探しましょう。
- 呼吸音: 雷魚は定期的に水面で空気呼吸をします。その際に「バフッ」という独特の音を立てることがあり、これはある程度の距離があっても聞こえるため、雷魚の存在を知る大きな手がかりとなります。この音を頼りにポイントを絞り込むのも有効です。
- 目視: 晴れた日中などには、雷魚が水面近くでじっと浮いている(ボケーっと浮いている、と表現されることもあります)姿を見かけることがあります。また、フロッグルアーを追ってきた際に水草が「モワッ」と動いたり、水面に波紋が立ったりするのも雷魚のサインです。
- 捕食音: 時折、雷魚が水面で獲物を捕食する際の派手な音や水しぶきが見られることもあります。
水深と水温のチェック
雷魚の活性は水温に大きく左右されます。
- 水深: 用水路などでは、水深20~30cmといった非常に浅い場所でも大型の雷魚が釣れることがあります。浅い場所ほど雷魚はルアーに素直に反応しやすい傾向があります。
- 水温: 雷魚は水温が10℃を超えると活動を始め、14℃~22℃程度が適水温とされ、20℃を超えるとさらに活発に捕食活動を行うようになります。春先の3月後半~4月中旬頃は、日中に水温が上昇しやすい浅場が狙い目となります。
実践!川の雷魚釣りテクニック講座

ポイントを見つけたら、いよいよ実釣開始です。ここでは、川の雷魚を釣るための基本的なアプローチ方法やルアーアクション、アワセのコツなどを解説します。
アプローチの基本:静かに、慎重に
雷魚は警戒心が強い魚なので、ポイントへのアプローチは慎重に行う必要があります。
- 静かな接近: 足音や物音を極力立てないように静かにポイントに近づきましょう。水面に自分の影を落とさないように注意することも大切です。
- アプローチ方法の選択:
- ラン&ガン: 有望なポイントを次々と移動しながら効率よく探っていくスタイルです。活性の高い魚を素早く見つけ出すのに有効です。
- 待ちの釣り: 特に有望と思われるポイントや、雷魚の気配(呼吸音など)が感じられる場所では、静かに身を隠して魚が回遊してくるのを待つスタイルも効果的です。 どちらのアプローチを選ぶかは、その日の状況や魚の活性によって判断します。魚が広範囲に散っている場合や反応が薄い場合はラン&ガン、特定の時間帯(マズメ時など)や魚影が濃い場所では待ちの釣りが有効になることがあります。
フロッグアクションの極意
フロッグルアーのアクションは、雷魚にスイッチを入れるための重要な要素です。単に動かすだけでなく、状況に合わせて様々なアクションを使い分けることで釣果が大きく変わります。
- ドッグウォーク: ロッドティップをリズミカルにチョンチョンと操作し、ラインスラック(糸フケ)を弾くようにして、フロッグを水面で左右に首を振らせるアクションです。逃げ惑うベイトフィッシュを演出し、広範囲の魚にアピールします。移動距離を抑えつつ、一点でネチネチと誘うのがコツです。
- トゥイッチ&ポーズ: 短く鋭いロッド操作(トゥイッチ)でフロッグをダートさせ、その後ピタッと止める(ポーズ)アクションの繰り返しです。雷魚は追尾してきたフロッグが止まった瞬間にバイトしてくることが多いため、「食わせの間」を作るポーズは非常に重要です。雷魚がフロッグを追ってきたら、一定の距離を保ちながらトゥイッチで煽り、興奮したタイミングでポーズを入れると効果的です。
- シェイク: ロッドティップを細かく震わせ、フロッグをその場でモゾモゾと動かすアクションです。ピンスポットでじっくり誘いたい時や、プレッシャーの高い状況、食い渋る雷魚に対して有効です。
- ズル引き(ストレートリトリーブ): フロッグを水面や水草の上をただ真っ直ぐ引いてくるシンプルなアクションです。かつてはこれがメインのアクションだった時代もあります。特に濃いカバーの上を引く際や、活性の高い魚が広範囲に散っている場合に手早く探るのに有効なことがあります。
サイトフィッシングのコツ
水面で呼吸していたり、浅場でじっとしていたりする雷魚を目で確認できた場合は、サイトフィッシング(見釣り)のチャンスです。
- キャスト: 雷魚の少し先、または進行方向のやや奥にフロッグを静かにキャストします。直接魚の上に落とすと驚かせてしまうことがあるので注意が必要です。
- アプローチ: フロッグを雷魚の視界に入るようにリトリーブし、反応を見ます。興味を示して近づいてきたら、上記のアクションを駆使してバイトに持ち込みます。時には、ほんの少し動かしただけで激しくアタックしてくることもあります。
アワセのタイミングと方法:「鬼フッキング」の重要性
雷魚釣りにおいて、フッキング(アワセ)は最も重要かつ難しいテクニックの一つです。
- バイトの瞬間: フロッグに雷魚がアタックすると、水面が割れるような派手なバイトが出ます。この時、慌ててすぐにアワセを入れるのは禁物です。
- 「一呼吸」の間: バイトがあったら、一瞬待つ、あるいは「一呼吸おく」くらいのタイミングでラインスラックを巻き取り、雷魚がフロッグをしっかりと咥え込む時間を与えます。これは、フロッグが大きく、フックがボディに隠れているため、早アワセだとすっぽ抜けやすいからです。この「間」が、フッキング成功率を大きく左右します。
- 鬼フッキング: 雷魚がフロッグを反転させたり、重みがロッドに乗ったのを感じたら、ロッド全体を使って力強く、そして大きくアワセを入れます。これを「鬼フッキング」と呼ぶこともあります。雷魚の口は硬く、分厚いフロッグのボディ越しに太軸フックを貫通させるためには、この強烈なフッキングが必要不可欠です。理想は、フロッグを飲み込ませず、口先(唇付近)にフッキングさせることです。
ファイトの注意点:主導権を渡さない
フッキングが決まったら、いよいよ雷魚とのファイト開始です。
- テンションの維持: ファイト中は常にラインテンションを保ち、ロッドの曲がりを利用して魚の動きをコントロールします。ラインが緩むとフックが外れる原因となるため、特に初心者は注意が必要です。
- カバーからの引き離し: 雷魚は水草などのカバーに潜り込もうとします。ヘビーなタックルを信じて、強引にでもカバーから引き離し、主導権を渡さないようにしましょう。
- 強烈な引きと首振り: 雷魚は強烈なダッシュや、エラ洗いのような激しい首振りをします。これらに対応できるよう、ロッド操作とリリーングでいなしながら寄せることが大切です。
釣れる時間帯と季節
雷魚の活性は季節や時間帯によって変化します。
- 季節:
- 一般的に、春先から秋口までがシーズンです。具体的には、水温が上昇し始める3月後半~4月中旬頃から釣れ始め、9月~10月頃まで楽しめます。
- 雷魚は水温が10℃~15℃を超えると活動を開始し、20℃以上になると活発にエサを追うようになります。
- 時間帯:
- 春(3月~4月): 日中の水温が上昇する昼から夕マズメ(日が暮れる少し前の時間帯)が狙い目です。
- 夏: 一年で最も雷魚が活発になる時期ですが、日中は暑さで活性が下がることもあります。比較的涼しい朝マズメ(日の出前後の時間帯)は、水温も適度で雷魚の捕食活動も活発になるため、絶好のチャンスです。特に大型の雷魚は午前6時までにキャッチされることが多いというデータもあります。夕マズメも有望です。
- 秋: 水温が適度に下がり、冬に備えて雷魚が荒食いする時期でもあります。朝夕のマズメ時を中心に狙ってみましょう。
安全第一!川の雷魚釣りの注意点とマナー

雷魚釣りは魅力的な釣りですが、安全管理とマナーの遵守が非常に重要です。特に、雷魚の個体数保護や釣り場の環境保全に対する意識が高まっています。
雷魚の安全な取り扱い
釣れた雷魚は、魚体へのダメージを最小限に抑え、速やかにリリースすることが基本です。そのための適切な取り扱い方法を覚えましょう。
- 専用ツールの使用: 雷魚の歯は鋭く、顎の力も強いため、フックを外す際は必ずロングノーズプライヤーとマウスオープナーを使用してください。素手で外そうとすると大怪我をする危険性があります。
- 丁寧な扱い: 魚体を地面に直接置いたり、アスファルトの上に放置したりするのは避けましょう。できれば水中でフックを外すか、濡らした草の上や専用のアンフッキングマットの上で作業します。魚の体表の粘膜(ヌメリ)は、魚を細菌などから守るバリアの役割を果たしているので、なるべく剥がさないように注意が必要です。最近では、魚を地面から極力浮かせずにリリースまで完了するのがトレンドです。
- バーブレスフックの推奨: フックの「カエシ」(バーブ)を潰したバーブレスフックを使用すると、魚へのダメージを軽減でき、フックも外しやすくなります。
- 濡れた手で触る: 魚に触れる際は、手を水で濡らしてからにしましょう。乾いた手で触ると、魚の粘膜を傷つけてしまいます。
キャッチ&リリースのお願い
雷魚は一部地域で個体数の減少が懸念されており、多くの雷魚アングラーはキャッチ&リリースを実践しています。釣った雷魚は、未来のフィールドと楽しみのために、優しくリリースしましょう。
- リリースの方法: フックを外したら、雷魚を優しく水に戻します。すぐに泳ぎださない場合は、下顎を支えるようにして水中で姿勢を保ち、自力で泳ぎだすのを待ちます。濡れたタオルなどで目隠しをすると大人しくなることがあります。
釣り禁止エリアの確認方法
釣りをする前には、その場所が釣り禁止でないか必ず確認しましょう。知らずに禁止エリアで釣りをしてしまうと、トラブルの原因となります。
- 現地の看板: 釣り場には「釣り禁止」「立入禁止」などの看板が設置されている場合があります。必ず確認し、指示に従いましょう。
- インターネット・アプリ: 自治体のウェブサイトや、釣り場情報を提供するウェブサイト、釣り専用アプリ(例:ANGLERSなど)で、釣りが可能な場所か、禁止エリアかを確認できます。これらの情報は、釣り場探しを安全かつスムーズに行う上で非常に役立ちます。
- 釣具店: 現地の釣具店は、その地域の釣り場情報に詳しいことが多いので、尋ねてみるのも良い方法です。
- 漁業協同組合: 河川によっては漁業権が設定されており、漁業協同組合が管理している場合があります。遊漁ルールを確認しましょう。
フィールドでのマナーと自然への配慮
誰もが気持ちよく釣りを楽しむために、そして貴重な自然環境を守るために、以下のマナーを心がけましょう。
- ゴミは持ち帰る: ラインの切れ端、ルアーのパッケージ、飲食物のゴミなど、自分が出したゴミは必ず全て持ち帰りましょう。
- 駐車場所に注意: 農道や私有地への無断駐車は厳禁です。他の通行の妨げにならない、決められた場所に駐車しましょう。
- 他の人への配慮: 先行者がいる場合は挨拶をし、十分な距離をとって釣りをしましょう。大勢で押しかけてプレッシャーをかけると魚が釣れなくなることもあります。釣り人同士のコミュニケーションも大切です。
- 自然環境の保護: 岸辺の植物をむやみに踏み荒らしたり、水辺を汚したりしないように注意しましょう。
まとめ
川の雷魚釣りは、独特の生態を持つパワフルな魚を相手にする、非常にエキサイティングな釣りです。ヘビーカバーに潜む雷魚をフロッグルアーで誘い出し、水面を炸裂させるバイトの瞬間は、一度体験すると忘れられない感動を与えてくれます。
初心者の方にとっては、専用タックルの準備やポイントの見極め、独特のテクニックなど、覚えることも多く、最初は難しく感じるかもしれません。しかし、この記事で紹介した基本を一つ一つ押さえていけば、必ず雷魚との出会いは訪れるはずです。
大切なのは、雷魚という魚と、その生息環境である自然への敬意を忘れず、安全に配慮しながら釣りを楽しむことです。この記事が、あなたの川の雷魚釣りへの第一歩を後押しできれば幸いです。ぜひ、チャレンジして、雷魚釣りの奥深い魅力を堪能してください。そして、素晴らしい一匹との出会いを!