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ヒラメ釣りの完全ガイド!初心者でも釣れる時期・場所・ルアー・釣り方を徹底解説

広大なサーフ(砂浜)で力強くロッドを振り、ルアーを遥か沖へとキャストする。そのルアーに「ガツン!」という衝撃的なアタリが伝わり、力強いファイトの末に姿を現すのは、高級魚として知られる美しいヒラメ。この感動的な体験と、釣り上げた後の絶品の味は、多くのアングラーを魅了してやみません。

しかし、「ヒラメ釣りは難しそう」「何から揃えればいいかわからない」と、最初の一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。

ご安心ください。この記事は、そんなヒラメ釣りに挑戦したいと願うすべての初心者のための「完全ガイド」です。ヒラメの生態という基礎知識から、必要な道具の選び方、釣れるポイントの見つけ方、そしてルアーフィッシングと泳がせ釣りという二大釣法の具体的なテクニックまで、あらゆる情報を網羅しました。

この記事を最後まで読めば、あなたも自信を持ってヒラメ釣りの世界に飛び込み、憧れの一匹をその手にすることができるはずです。さあ、一緒にヒラメ釣りの奥深い世界を探求していきましょう。

Contents
  1. まずはヒラメを知ろう!生態と釣りの基本
  2. 初心者が揃えるべきヒラメ釣りの道具(タックル)
  3. ヒラメはどこにいる?三大人気ポイントと狙い目
  4. ヒラメの釣り方①:ルアーフィッシングの基本をマスター
  5. ヒラメの釣り方②:大物との出会い!泳がせ釣りの魅力
  6. 釣った後のお楽しみ!ヒラメの締め方と持ち帰り方
  7. まとめ:ヒラメ釣りの世界へようこそ

まずはヒラメを知ろう!生態と釣りの基本

釣りの世界では「相手を知ることが釣果への一番の近道」と言われます。ヒラメがどのような魚で、いつ、どこで、何を食べているのかを理解することが、あなたの釣りを格段にレベルアップさせてくれます。

ヒラメってどんな魚?砂に潜むハンターの生態

ヒラメは、カレイとよく似た平たい体をしていますが、その生態は全く異なります。彼らは、砂や泥の海底に巧みに体を隠し、上を通りかかる獲物を待ち伏せする、優れた「アンブッシュ・プレデター(待ち伏せ型の捕食者)」です。

ヒラメの体の特徴は、両目が体の左側に集まっていること。これにより、砂に潜った状態でも効率的に真上を監視することができます。そして、獲物であるイワシやアジなどの小魚が油断して頭上を通りかかった瞬間、海底から爆発的な瞬発力で飛び出し、鋭い歯で一撃のもとに捕らえます。平たい見た目からは想像もつかないかもしれませんが、ヒラメは非常に遊泳力が高く、時には海底から数メートルもジャンプして獲物を襲うほどです。

この「下から上を狙う」という基本的な捕食行動こそが、ヒラメ釣りのすべての戦略の根幹をなします。

ここで、初心者の方が最初に身につけるべき最も重要な思考法は、「ヒラメのように考える」ことです。自分が釣りたい場所で竿を出すのではなく、「もし自分がヒラメだったら、どこでエサを待つか?」と想像するのです。ヒラメが求めるのは、第一に「身を隠せる場所(砂地や地形変化)」、第二に「効率よくエサが流れてくる場所」です。彼らは無駄なエネルギーを使いたくないため、エサを延々と追い回すことは稀です。したがって、釣り人である私たちは、ベイトフィッシュ(エサとなる小魚)が自然と集まったり、通り道になったりする場所を見つけ出す必要があるのです。この視点を持つだけで、あなたのポイント選びの精度は劇的に向上します。

ヒラメ釣りのベストシーズンは?釣れる時期と時間帯

ヒラメは一年を通して狙える魚ですが、特に釣れやすい「ハイシーズン」が存在します。季節ごとの特徴を理解し、最適なタイミングで釣行することが釣果への鍵となります。

  • 秋(9月~12月):最高のハイシーズン秋は、ヒラメが冬に備えて体力を蓄えるため、非常に活発にエサを追い求める季節です。同時に、沿岸にはベイトフィッシュが豊富に回遊してくるため、お腹を空かせたヒラメと豊富なエサという、釣り人にとって最高の条件が揃います。数・型ともに期待でき、初心者が最初にヒラメを釣るには最もおすすめの季節です。
  • 春(4月~6月):大型が狙えるシーズン春は、ヒラメが産卵のために浅場に接岸してくる季節です。産卵前後の個体は体力をつけるために荒食いをすることが多く、大型のヒラメがショア(岸)から狙える絶好のチャンスとなります。特に産卵を控えたメスは大型が多く、自己記録の更新も夢ではありません。
  • 冬(1月~3月):厳しいが「座布団」のチャンス水温が低下し、ベイトフィッシュも少なくなる冬は、一般的に厳しいシーズンとされています。しかし、この時期に釣れるヒラメは「寒ビラメ」と呼ばれ、脂が乗って最も美味しいとされています。そして、この低水温の中でも活動できるのは、体力のある超大型の個体に限られる傾向があります。そのため、アタリの数は減るものの、釣れれば80cmを超えるような「座布団ヒラメ」と呼ばれる夢のサイズに出会える可能性を秘めた季節でもあります。
  • 夏(7月~8月):最も厳しいシーズン真夏は高水温の影響でヒラメの活性が下がり、水温の安定した深場へ移動してしまう個体が多くなります。そのため、岸から狙うのは一年で最も難しい季節と言えるでしょう。

釣れる時間帯:「マヅメ」を狙え!

1日の中で最もヒラメが釣れる確率が高いのは、日の出前後の**「朝マヅメ」と、日没前後の「夕マヅメ」**です。この薄暗い時間帯は、ヒラメにとってゴールデンタイムと言えます。

なぜマヅメ時が釣れるのか。それは単に薄暗くてヒラメの警戒心が薄れるからだけではありません。より重要なのは、ベイトフィッシュの行動パターンにあります。特に朝マヅメは、夜の間に岸近くの浅瀬で休んでいた小魚たちが、夜明けと共に沖へと動き出すタイミングです。この無防備な移動の瞬間を、効率を重視するヒラメは見逃しません。つまり、朝マヅメに釣りをすることは、ヒラメの「朝食の時間」を直撃することと同じなのです。この生態系のサイクルを理解することで、「なぜ朝マヅメを狙うべきなのか」という戦略的な理由が見えてきます。

もちろん、日中でも潮が動いているタイミングであればチャンスは十分にあります。しかし、確率を最大限に高めたいのであれば、朝マヅメと夕マヅメは絶対に外せない時間帯です。

釣果を左右する「水温」の秘密

ヒラメの活性と居場所を決定づける、もう一つの重要な要素が「海水温」です。

ヒラメが活発に活動する適水温は、一般的に**$13^\circ\text{C}$から$23^\circ\text{C}$、特に好むのは18∘C±5∘C**の範囲とされています。また、産卵の引き金となる水温は$15^\circ\text{C} \sim 18^\circ\text{C}$です。

この水温という情報は、単なる数字ではありません。初心者にとって、それは「ヒラメの居場所を示す地図」となり得るのです。釣行前に、気象庁や地域の釣り情報サイトで現在の海水温を調べてみましょう。例えば、真夏にサーフの水温が$25^\circ\text{C}$を超えていたとします。この情報から、「ヒラメは岸際の浅い場所にはいない可能性が高い」と予測できます。そうなれば、あなたの戦略は変わるはずです。広大なサーフを闇雲に歩くのではなく、より水深のある堤防の先端や、冷たい真水が流れ込む河口部など、ヒラメが好みそうな水温のエリアに狙いを絞ることができるのです。

このように、水温を予測の道具として使うことで、無駄な時間を減らし、釣れる可能性の高い場所で集中して竿を出すことができるようになります。

初心者が揃えるべきヒラメ釣りの道具(タックル)

ヒラメ釣りを始めるにあたって、どのような道具を揃えれば良いのでしょうか。ここでは、初心者が最初に揃えるべき基本的なタックル(道具一式)を、その選び方の理由とともに詳しく解説します。

ロッド(竿)の選び方:サーフの基本は遠投性能

広大なサーフでヒラメを狙う上で、最も重要なのがルアーを遠くまで投げる「遠投性能」です。そのため、ロッドは長めのものを選ぶのが基本となります。

  • 長さ:基準となるのは**10ft(フィート、約3m)**です。初心者は、扱いやすさも考慮して9ft6in~10ft6in(約2.9m~3.2m)の中から選ぶと良いでしょう。堤防など、後ろにスペースが少ない場所での釣りがメインになる場合は、取り回しの良い9ft前後のロッドも選択肢になります。
  • 硬さ(パワー):**M(ミディアム)またはMH(ミディアムヘビー)**が最適です。ワームや軽量なプラグを主体に使うならM、重いメタルジグをフルキャストしたいならMHが向いています。
  • 種類:最初の一本としては、ヒラメ専用に設計された**「サーフ用ロッド」か、汎用性の高い「シーバス用ロッド」**がおすすめです。これらのロッドは、ヒラメ釣りに求められる性能をバランス良く備えています。

【初心者におすすめ】ヒラメ用ロッド3選

モデル名スペック例推奨ルアー重量特徴・コメント
シマノ ネッサBBS108M+ (10ft8in, M+パワー)8-42g (ジグMAX48g)有名メーカーの本格的なヒラメ専用入門ロッド。性能と価格のバランスが非常に高く、最初の一本として最適。
ダイワ ラテオR110MH (11ft, MHパワー)12-60gヒラメだけでなく、不意に回遊してくる青物にも対応できるパワーを持つ。コストパフォーマンスに優れた万能ロッド。
メジャークラフト クロステージ サーフCRX-1062SURF (10ft6in)10-45g圧倒的なコストパフォーマンスで人気のモデル。大きな投資をせずにサーフフィッシングを始めたい方にぴったり。

リールの選び方:4000番のハイギアが万能

ロッドと並んで重要なのがリールです。サーフのヒラメ釣りでは、4000番サイズのスピニングリールが最もバランスが良く、初心者におすすめの万能な選択肢となります。

  • サイズ(番手):シマノなら4000番、ダイワならLT4000番が標準です。このサイズは、10ftクラスのロッドとの重量バランスが良く、十分な糸巻き量とパワーを備えています。
  • ギア比:**HG(ハイギア)またはXG(エキストラハイギア)**を強く推奨します。

ここで初心者の方が抱きやすい疑問が、「ゆっくり巻くのが基本なのに、なぜ速く巻けるリールが必要なの?」という点です。ハイギアの真価は「速く巻く」ことではなく、「制御する」ことにあります。サーフでは、打ち寄せる波によってライン(釣り糸)には常に「糸ふけ」と呼ばれるたるみが生じます。このたるみを放置すると、ヒラメの繊細なアタリを感じ取ることができません。ハイギアリールは、ハンドルを一回転させるだけで多くのラインを巻き取れるため、この糸ふけを瞬時に回収し、常にルアーとの間にテンションを保つことができます。この「ルアーとの一体感」こそが、感度を高め、釣果に直結するのです。

ラインシステムの基本:PEラインとリーダーの太さと長さ

ヒラメのルアーフィッシングでは、感度と強度に優れた「PEライン」をメインラインに、その先端に根ズレ(摩擦)に強い「フロロカーボンリーダー」を結ぶのが現代のスタンダードです。

  • メインライン(PEライン)
    • 太さ1.0号~1.2号が飛距離と強度のバランスが取れており、初心者には最適です。
    • 長さ:遠投したり、傷んだ先端をカットしたりすることを考え、200m巻いておくと安心です。
    • 種類8本編みのものが、より滑らかで飛距離が出やすいです。
  • リーダー(フロロカーボンライン)
    • 太さ:**20lb(ポンド)~30lb(5号~7号)**が標準です。フロロカーボンは水中での光の屈折率が水に近く、魚から見えにくい上に、砂やヒラメの鋭い歯による摩擦に強いという特徴があります。
    • 長さ1m~1.5mが一般的です。

このラインとリーダーは、ただ繋げば良いというものではありません。これは一つの「システム」として考える必要があります。PEラインは感度と飛距離を、リーダーはステルス性(見えにくさ)と耐摩耗性を担当する、役割分担されたチームなのです。そして、このシステムを機能させる上で重要なのが、「最も弱い部分」を意図的に作ることです。一般的に「リーダーの号数はPEラインの号数の3~4倍」という目安がありますが、これは両者の強度を近づけるための知恵です。もしリーダーがPEラインより極端に強いと、根掛かりした際にPEラインの途中から切れてしまい、多くのラインを失うことになります。強度をバランスさせることで、万が一の際にはルアーの結び目付近で切れるようにし、被害を最小限に抑えることができるのです。

安全と快適のために!その他の必須装備

ロッドとリール以外にも、安全かつ快適に釣りを楽しむために不可欠な装備があります。

  • ウェーダーとライフジャケット:サーフで釣りをするなら必須。波しぶきから身を守り、万が一の落水に備えます。
  • プライヤー:ヒラメの鋭い歯が並ぶ口から、安全にフックを外すための必需品です。
  • フィッシュグリップ:魚を安全に掴むための道具。歯やフックから手を守ります。
  • タモ網(ランディングネット):堤防など足場の高い場所では絶対に必要です。釣れた魚を安全に取り込むために用意しましょう。
  • ヘッドライト:マヅメ時の薄暗い時間帯に活動するための必需品です。
  • 帽子・偏光サングラス:日差しから身を守るだけでなく、偏光サングラスは水面のギラつきを抑え、水中の変化を見つけやすくしてくれます。

ヒラメはどこにいる?三大人気ポイントと狙い目

ヒラメを釣るためには、ヒラメがいる場所、すなわち「ポイント」を見つけ出す能力が何よりも重要です。ここでは、代表的な3つのフィールドタイプと、それぞれの狙い目を解説します。

【王道】サーフ(砂浜):広大なフィールドの攻略法

サーフはヒラメ釣りの最も代表的なフィールドです。一見すると、どこまでも同じような砂浜が続いているように見えますが、その中にはヒラメが好んで潜む「変化」が隠されています。この変化を見つけ出すことが、サーフ攻略の鍵です。

  • 離岸流(りがんりゅう):サーフで最も有望な一級ポイント。岸から沖に向かって流れる強い流れのことで、ベイトフィッシュが流されてくる「エサの通り道」です。波が立っていない筋状の場所や、周りより海の色が濃く見える場所が目印です。狙うべきは流れのど真ん中ではなく、流れの両脇。ヒラメは流れの脇で待ち伏せしています。
  • カケアガリ:海底が急に深くなっている場所、いわば「海底の崖」です。沖から来た波が、このカケアガリにぶつかって急に盛り上がり、白く砕けます。その波が立ち始める場所がカケアガリのサインです。ヒラメはその崖の下に潜んで獲物を待ち構えています。
  • 馬の背:岸と平行に伸びる、海底の浅い部分(砂の盛り上がり)です。沖の馬の背で波が砕け、岸との間は穏やかになっているのが特徴。この馬の背の前後左右すべてがヒラメの付き場となる、複合的な好ポイントです。
  • 流れ込み:川や水路が海に流れ込んでいる場所。規模の大小に関わらず、淡水と共に栄養分やベイトが集まるため、超一級ポイントとなります。
  • 波打ち際:最も見落とされがちですが、非常に重要なポイント。ヒラメは驚くほど岸近くにいることがあり、目の前でヒットすることも珍しくありません。ルアーを足元まで丁寧に引いてくることを常に意識しましょう。

初心者のうちは、これらの地形変化を「見る」だけで判断するのは難しいかもしれません。そこで、あなたの「ルアー」を水中での目や手として使いましょう。ルアーをキャストし、リールを巻いてくる時の「引き抵抗」に集中します。急に重くなったら、そこは流れが効いている証拠(離岸流かもしれません)。逆に軽くなれば、流れの弱い場所です。また、重めのメタルジグを投げて着底するまでの時間を数える「カウントダウン」も有効です。左に投げて「5秒」で着底し、正面に投げたら「3秒」で着底したなら、あなたは水深の差、つまりカケアガリを発見したのです。このように、ルアーからの情報を能動的に集めることで、目には見えない海底の地図を頭の中に描いていくことができます。

【初心者におすすめ】堤防:魚が集まる一級ポイント

堤防は、初心者にとって非常に魅力的なポイントです。なぜなら、堤防という人工構造物自体が、ベイトフィッシュの隠れ家となり、それを狙うヒラメなどのフィッシュイーターを自然と集めてくれるからです。「どこを狙えばいいか分からない」というサーフでの悩みが、堤防では大幅に軽減されます。

  • 先端:堤防の先端部分は潮通しが最も良く、魚たちの回遊ルートになりやすい場所です。
  • ミオ筋:船の通り道として掘られた深い溝のこと。その溝の斜面(カケアガリ)は、ヒラメにとって絶好の待ち伏せポイントになります。
  • 基礎石・テトラポッド周り:堤防の足元にある石やテトラポッドは、小魚の格好の隠れ家。当然、それを狙うヒラメも近くに潜んでいます。
  • サーフに隣接した堤防:砂浜に隣接している堤防は、ヒラメがサーフと堤防を行き来するため、特に有望です。

ただし、堤防での釣りには注意点があります。それは、サーフとはルアー戦略が異なるという点です。足場が高く、水深もある堤防から、サーフで多用するような浮き上がるタイプのミノーを投げても、ヒラメがいる海底付近までルアーを届けることはできません。堤防では、しっかりと底まで沈み、その水深をキープできるメタルジグジグヘッド+ワーム重めのシンキングペンシルが主役となります。

【ベイトが豊富】河口:淡水と海水が交わる場所

川の水と海水が混じり合う「汽水域」である河口は、川が運んでくる栄養分が豊富で、それを目当てにプランクトンや小魚が集まる、生命感あふれるポイントです。

  • 潮目:川の流れと海の潮がぶつかり、水面にできる筋状の模様。ここはエサが溜まりやすく、ヒラメのフィーディングスポット(捕食場所)になります。
  • 流芯との境目:川の中で最も流れの速い部分(流芯)の脇にある、流れの緩やかな場所。魚は体力を消耗しないよう、ここに定位して流れてくるエサを待ち構えています。
  • 橋脚:橋の柱は流れを遮り、その後ろに流れのヨレを生み出します。これも絶好の待ち伏せポイントです。

河口での基本的な攻め方は、川の上流側(アップストリーム)にキャストし、ルアーを流れに乗せて自然に下流へドリフトさせながら巻いてくる方法が有効です。

【上級者向け】磯:根掛かりに注意して大物を狙う

ヒラメは「砂地の魚」というイメージが強いですが、岩礁帯(磯)にも生息しています。特に、磯の中に砂地が点在するような「砂交じりの磯」は、大型のヒラメが居着いている可能性が高いポイントです。

これらの場所は、サーフとは異なる種類のベイト(小型の根魚など)が豊富で、ヒラメにとって格好の餌場となります。ただし、最大の難点は「根掛かり」です。海底の岩にルアーが引っかかり、失くしてしまうリスクが非常に高いため、ルアーの選択や操作には細心の注意が必要です。根掛かりを軽減するために、トレブルフック(3本針)ではなくシングルフック(1本針)を使うなどの工夫も有効です。

ヒラメの釣り方①:ルアーフィッシングの基本をマスター

ポイントを選んだら、いよいよ実釣です。ここでは、ヒラメ釣りの主流であるルアーフィッシングの基本を、ルアーの選び方から動かし方まで、順を追って解説します。

4大ルアーの種類と使い分け

ヒラメ釣りで使うルアーは、大きく分けて4種類あります。それぞれの役割を理解し、状況に応じて使い分けることが釣果への近道です。

  • メタルジグ:**「サーチ(探す)」**のルアー。金属製で重く、最も遠投性能に優れています。まずはメタルジグを遠投して広範囲を探り、その日にヒラメの活性が高いエリアを見つけ出すのに使います。風が強い日や水深がある場所でも活躍します。
  • ミノー:**「アピール(誘う)」**のルアー。小魚そっくりの見た目と動きで、ヒラメに強くアピールします。魚の活性が高い時や、浅い場所を効率よく探るのに向いています。
  • ジグヘッド+ワーム:**「喰わせ」**のルアー。ハードルアーに反応しない、スレた(警戒心の強い)ヒラメや低活性のヒラメに対して絶大な効果を発揮する切り札です。柔らかい素材ならではの自然な動きで、思わず口を使わせてしまいます。
  • シンキングペンシル:**「ナチュラル」**なルアー。ミノーのような強い動きではなく、弱々しく泳ぐ小魚を演出します。飛距離も出るため、遠くのポイントにいるスレた魚に口を使わせたい時に有効です。

【初心者向け】最初に揃えたい鉄板ルアー4選

種類モデル名推奨ウェイト初心者へのおすすめ理由
メタルジグメジャークラフト ジグパラサーフ30g~40g圧倒的な飛距離と手頃な価格が魅力。ただ巻くだけで釣れるため操作が簡単で、ヒラメ以外の魚もよく釣れる万能選手。
ミノーシマノ 熱砂 サイレントアサシン 129S24g「何でも釣れる」と名高い伝説的ミノー。ただ巻きでの安定した泳ぎと、クラス最高の飛距離を両立している。
ジグヘッド+ワームDUO ビーチウォーカー ハウルセット21g or 27gジグヘッドとワームがセットになっており、開封してすぐに使える手軽さが魅力。喰わせ能力が非常に高く、タフな状況での切り札になる。
シンキングペンシルDUO ビーチウォーカー ウェッジ 95S30gメタルジグのように飛び、ミノーのように泳ぐ、良いとこ取りのルアー。操作が簡単で、広範囲をナチュラルに探れる。

釣果が変わる!ルアーカラーの選び方とローテーション術

ルアーのカラーは、時に釣果を大きく左右する重要な要素です。基本戦略は、状況に応じて「アピール系」と「ナチュラル系」を使い分けることです。

  • 光量が少ない時間帯(朝・夕マヅメ、曇天時):ヒラメにルアーの存在を気づかせることが最優先。ゴールド系ピンク/レッド系(通称アカキン)といった、派手なアピール系カラーが絶大な効果を発揮します。
  • 光量が多い時間帯(日中、晴天時):ルアーがはっきりと見えるため、派手すぎる色は逆効果になることも。イワシやアジなどのベイトフィッシュを模したシルバー系ブルー系などのナチュラル系カラーが有効です。
  • 水が濁っている時:水の濁りでルアーが見えにくいため、シルエットがはっきり出るチャート(蛍光イエロー)やブラック、または光を放つ**グロー(夜光)**が効果的です。

ただし、カラー選びに絶対の正解はありません。「最も釣れるカラーは、自分が最も信頼して投げ続けるカラーだ」という格言もあるほどです。まずはこの基本の使い分けを覚え、そこから自分なりの「釣れるカラー」を見つけていくのが楽しみの一つです。周りの釣り人がピンク系を投げて釣れていない時に、あえてナチュラル系のシルバーを投げてみるなど、状況に応じた「変化」を加えることも釣果を伸ばす秘訣です。

これだけは覚えたい!基本アクション3選

複雑なロッド操作は必要ありません。ヒラメは、以下の3つの基本的なアクションをマスターすれば十分に釣ることができます。

  1. ただ巻き:最もシンプルで、最も基本となるアクション。ルアーをキャストし、着底させたら、一定のスピードでリールを巻くだけです。ルアー自体が持つ泳ぐ力でヒラメを誘います。
  2. ストップ&ゴー:ただ巻きの途中に「止め」を入れるアクション。リールを5~7回巻いたら、1~2秒リールを巻くのを止め、ルアーを沈ませます。そしてまた巻き始める、この繰り返しです。下から上を見ているヒラメにとって、この「止まって落ちる」瞬間が、絶好のバイトチャンス(食わせの間)になります。
  3. リフト&フォール:メタルジグやワームで特に有効なアクション。ルアーが着底したら、竿先をスッと持ち上げてルアーを跳ね上げ、その後、竿先を下げながらラインのテンションを保ったまま(テンションフォール)再び着底させます。アタリの多くは、このルアーがヒラヒラと落ちていくフォール中に集中します。

釣果アップの秘訣:キャストの方向と立ち位置

サーフで釣りをしていると、つい真正面にまっすぐ投げたくなりますが、プロはキャストの角度を巧みに変えています。

例えば、目の前に離岸流やカケアガリといったポイントを見つけたとします。その真正面に立ってポイントに直接投げ込むのではなく、少し横にずれて立ち、ポイントに対して斜めにキャストするのです。こうすることで、ルアーがポイント(ストライクゾーン)の中を横切る時間が長くなり、ヒラメにアピールできる時間も格段に増えます。これは、エサとなる小魚が流れに沿って泳ぐ姿をより自然に演出することにも繋がり、ヒラメの警戒心を解く効果も期待できます。

ヒラメの釣り方②:大物との出会い!泳がせ釣りの魅力

ルアーフィッシングと並んで人気なのが、アジやイワシなどの生きた小魚をエサにする「泳がせ釣り」です。生き餌が発する自然な波動と動きは、ルアーには反応しないヒラメにも強烈にアピールします。特に船や堤防からの釣りで効果的な釣法です。

泳がせ釣りとは?仕掛けの基本を解説

泳がせ釣りは、オモリで仕掛けを海底に沈め、その上につけたハリス(針がついた糸)に生き餌を付けて、ヒラメを誘う釣り方です。

  • 仕掛け:基本となるのは**「胴突き仕掛け」**と呼ばれるタイプです。仕掛けの一番下にオモリがあり、その上に枝状にハリスが出ているのが特徴です。
  • :ヒラメの泳がせ釣りで特徴的なのが、**「親針(おやばり)」「孫針(まごばり)」**という2本の針を使う点です。これは、大きなエサのどこにヒラメが食いついてもフッキング(針掛かり)するようにするための工夫です。
  • 初心者の方へ:仕掛けの自作は難しいため、まずは釣具店で市販されている**「ヒラメ用泳がせ釣り仕掛け」**を購入するのが最も確実で簡単です。

釣果を左右する!生き餌(アジ・イワシ)の付け方

泳がせ釣りの釣果は、エサがどれだけ元気に、自然に泳いでくれるかにかかっています。エサを弱らせない、丁寧な付け方をマスターしましょう。

  1. エサの持ち方:まず手を海水で濡らします。乾いた手で触ると魚のウロコやヌメリが取れて弱ってしまいます。イワシの場合は、両目を指でそっと覆うように持つと暴れにくくなります。
  2. 親針の付け方:親針は、エサの魚が自由に泳ぎ、呼吸ができるように、鼻の穴(鼻掛け)か、硬い上顎に貫通させます。
  3. 孫針の付け方:孫針は、ヒラメが食いつきやすい胴体部分に掛けます。背ビレの後ろあたりか、肛門の後ろあたりに、皮一枚をすくうように浅く刺します。深く刺しすぎるとエサが弱る原因になるので注意が必要です。

「ヒラメ40」の謎:アタリの見極めとアワセのタイミング

泳がせ釣りで最も難しく、そして最もエキサイティングなのが、アタリ(魚が食いついたサイン)を見極めてアワセる(フッキングさせる)タイミングです。ここで焦って早くアワセてしまう「早アワセ」は、失敗の最大の原因です。

ヒラメのアタリは、大きく分けて2段階でやってきます。

  1. 前アタリ(まえあたり):竿先が「コツコツ」「コンコン」と小さく震えたり、お辞儀したりします。これは、ヒラメがエサにじゃれついたり、噛みついたものの、まだ飲み込んではいない状態です。この段階でアワセても、ほぼ100%すっぽ抜けてしまいます。絶対にアワセてはいけません
  2. 本アタリ(ほんあたり):前アタリの後、一瞬の間をおいて、竿先が「グーッ」「ギューン」と大きく、力強く引き込まれます。これが、ヒラメがエサを完全に飲み込み、反転して泳ぎ去ろうとするサインです。この瞬間こそが、アワセるべき絶好のタイミングです。

昔から「ヒラメ40」という言葉があり、これは「前アタリがあってから40秒待ってアワセろ」という教えです。しかし、これはあくまで目安。重要なのは秒数を数えることではなく、**「水中で何が起きているかを想像する」**ことです。

「コツコツ」という前アタリは、ヒラメがあなたのイワシに噛みつき、首を振って弱らせている最中です。まだ口の浅い部分で咥えているだけです。そして、ヒラメは獲物を安全に飲み込むために、向きを変えようとします。その結果、竿先が大きく引きずり込まれる「本アタリ」が出るのです。この一連の物語を頭の中でイメージすることで、焦ることなく、最適なタイミングで力強くアワセを入れることができるようになります。この駆け引きこそが、泳がせ釣りの醍醐味なのです。

釣った後のお楽しみ!ヒラメの締め方と持ち帰り方

苦労して釣り上げたヒラメは、最高の状態で持ち帰り、美味しくいただきたいものです。釣った後の適切な処理が、その味を天国と地獄ほどに分けます。

鋭い歯に注意!安全な取り込みと針の外し方

釣り上げたヒラメは、岸に上がってもまだ暴れることがあります。安全な取り扱いを心がけましょう。

  • 取り込み:足場の高い堤防では必ずタモ網を使います。サーフでは、波のタイミングに合わせて浜にずり上げるのが安全です。ラインを持って抜き上げようとすると、ラインが切れたり、魚が落ちてフックが飛んできたりして危険です。
  • 針の外し方:まずフィッシュグリップでヒラメの下顎をしっかりと掴み、動きを制御します。ヒラメの歯はカミソリのように鋭いため、絶対に素手で口の中に指を入れないでください。必ずロングノーズタイプのプライヤーを使って、安全にフックを外しましょう。

絶品の味を家庭で!美味しいヒラメの持ち帰り方

高級料亭で出てくるようなヒラメの味を家庭で楽しむためには、釣った直後の「血抜き」が最も重要です。

  • 血抜き:魚の生臭さの原因は血液にあります。これを抜くことで、透明感のある極上の白身になります。方法は、エラブタの後ろの付け根部分と、尾の付け根部分の2か所をナイフで深く切り、海水を入れたバケツなどで心臓が動いているうちに血を抜きます。
  • 保管:血抜きが終わったら、クーラーボックスに入れて氷でしっかりと冷やして持ち帰ります。夏場はもちろん、涼しい季節でもクーラーボックスはあった方が鮮度を保てます。もしクーラーボックスがない場合は、濡らした砂にビニール袋に入れたヒラメを埋めておくと、気化熱で温度上昇をある程度防ぐことができます。

まとめ:ヒラメ釣りの世界へようこそ

ここまで、ヒラメ釣りの全てを網羅的に解説してきました。情報量が多くて圧倒されたかもしれませんが、初心者のあなたが最初に心に留めておくべきことは、たった3つです。

  1. ヒラメのように考えよう:広大な海を前にして、どこを狙うべきか迷ったら、「もし自分がヒラメならどこにいるか?」を考えてみましょう。地形や流れの「変化」がある場所が、必ずあなたの味方になってくれます。
  2. 基本をマスターしよう:まずは万能な4000番のリールと10ftのロッドを手に取り、「ただ巻き」「ストップ&ゴー」「リフト&フォール」という3つの基本アクションを練習しましょう。これだけで、釣果は必ずついてきます。
  3. 忍耐強くあろう:良いポイントを見つけるまで歩き回る忍耐力、釣れない時間帯に耐える忍耐力、そして泳がせ釣りで本アタリが来るまでじっと待つ忍耐力。ヒラメ釣りは、この「待つ」ことを楽しめるようになると、一気に面白くなります。

最後に、安全には最大限配慮し、ライフジャケットは必ず着用してください。釣り場では他の釣り人に配慮し、小さなヒラメは未来のために優しくリリースする(再放流する)心も大切です。

さあ、道具を準備して、フィールドへ出かけましょう。この記事が、あなたの素晴らしいヒラメ釣りの第一歩となることを心から願っています。

ABOUT ME
Shin
釣歴32年のパパアングラーで子供を連れて行ける釣り場やキャンプ場を日々探して巡っています。役に立つ情報満載でブログをお届けさせていただきます(^^♪
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