秋が深まり、北風が肌寒さを感じさせる11月。多くの釣り物がシーズンを終える中、海の中では熱いドラマの幕が開きます。それが「グレ(メジナ)」釣りです。特に11月から12月にかけては、グレ釣りの「本番(ほんばん)」と呼ばれるゴールデンシーズン。夏場は深場に潜んでいた良型のグレが、エサを求めて私たちの足元、身近な「堤防」のすぐ近くまで接岸します。
この記事は、日本のエサ釣りにおいて非常に大きな需要を持つ「フカセ釣り」という釣法に、初めて挑戦する方、あるいはステップアップを目指すアングラーに向けた「完全ガイド」です。フカセ釣りは、コマセ(撒き餌)を撒き、その中に付けエサを同調させて流し込む、非常に奥深く、戦略的な釣りです。
「フカセ釣りって難しそう…」「道具は何を揃えればいいの?」「仕掛けの作り方は?」「どうやって釣るの?」といった入門者が抱える全ての疑問に、専門家が徹底的に答えます。この記事を最後まで読めば、堤防フカセ釣りの全てが理解でき、この冬、エキサイティングなグレの引きを体験するための準備が整うはずです。
なぜ11月〜12月が「グレ釣り本番」なのか?

フカセ釣りのターゲットとして人気のグレ(口太グレ)は、非常に賢く、警戒心の強い魚です。しかし、特定の条件が揃うと、その警戒心が食欲に上回り、爆発的な釣果が期待できる時期があります。それが、まさに11月から12月なのです。なぜこの時期が「本番」と呼ばれるのか、その明確な理由を解説します。
グレの「適水温」という明確な根拠
最大の理由は「水温」です。口太グレが最も活発に活動し、盛んにエサを追う水温は、一般的に15℃から20℃とされています。
夏場の高水温期(25℃以上)は、グレにとって快適とは言えず、体力を消耗しないよう、水温が安定した深場や沖の岩礁帯(カケアガリ)に落ちてしまいます。食欲も減退し、堤防から狙うのは非常に困難です。
しかし、11月に入り秋が深まると、北西の季節風が吹き始め、海水は徐々にかき混ぜられながら冷却されていきます。そして11月下旬から12月にかけて、海水温がまさにこの「適水温」ゾーン(15℃〜20℃)に突入します。これにより、グレの活性は年間を通じて最も高まるのです。
堤防から狙える「荒食い」のメカニZム
水温の低下は、グレの行動に2つの大きな変化をもたらします。
第一に、グレは快適な「適水温」を求め、夏の間隠れていた深場から、浅場(シャロー)へと移動します。これが、夏場は釣れなかった身近な「堤防」のすぐ近くが、一級のポイントに変わる瞬間です。
第二に、グレは生物としての本能に従い、行動を開始します。彼らは、これから迎える「越冬」と、その後に控える「産卵期」(地域によりますが早春が多い)に備え、体力を蓄える必要があります。そのため、適水温と相まって食欲が爆発し、積極的にエサを追い始めます。これが「荒食い」と呼ばれる現象です。
したがって、11月〜12月は、「①魚が最も元気で(適水温)」、「②浅場(堤防)に」、「③エサを求めてたくさん集まる(荒食い)」という、堤防フカセ釣りにとって完璧な条件が整う「本番」なのです。
堤防フカセ入門:最低限揃えるべき「基本タックル」
フカセ釣りは、繊細なアタリを取り、細い糸で大物と渡り合うため、道具(タックル)のバランスが非常に重要です。ここでは「堤防」という場所での釣りに最適化された、初心者向けの基本タックルを紹介します。
磯竿(いそざお)
フカセ釣り専用の竿を「磯竿」と呼びます。リールから出る糸をスムーズに送り出すためのガイド(糸通し)が多く付いているのが特徴です。
- 長さ: 磯(岩場)では5.3mが基準とされることが多いですが、「防波堤」では4.5m程度が圧倒的に使いやすいと推奨されています。足場が良く、障害物も少ない堤防において、5.3mは長すぎて風に煽られたり、重さで疲労したりと、取り回しが悪くなります。4.5mは、堤防での操作性と、フカセ釣りに必要な仕掛けの操作性を両立する最適な長さです。
- 号数(硬さ): 1号〜2号が基準です。入門者には、しなやかで食い込みが良く、不意の大物にも対応できる「1号〜1.5号」を推奨します。
スピニングリール
仕掛けを流す(フカセる)ため、糸(ライン)の放出性能が重要です。
- 大きさ: 2500〜3000番程度が基準です。竿とのバランスを考えると、2500番が最適でしょう。
- 種類: フカセ釣りには「レバーブレーキリール(LBリール)」という専用リールが存在します。これは、魚の急な突っ込みに対して、レバー操作一つで瞬時に糸を逆回転させ、細いハリス(後述)が切られるのを防ぐ上級者向けの装備です。しかし、入門時は操作が難しく高価なため、必須ではありません。まずは、ドラグ機能(糸が一定の力で引っ張られると自動で放出される機能)が付いた通常のスピニングリールで、魚とのやり取りを覚えることから始めましょう。
道糸(みちいと)
リールに巻くメインのライン(釣り糸)です。
- 種類: 「ナイロンライン」を強く推奨します。PEラインを使うアングラーもいますが、PEラインは比重が軽く浮きやすいため、風や波の影響を受けやすく、フカセ釣りの「仕掛けを沈めて流す」操作が非常に難しくなります。
- 特性: ナイロンラインは「しなやかで仕掛けが送り込みやすく、適度な伸びが魚とのやり取りをサポートする」特性を持っています。この「しなやかさ」と「適度な比重」が、風の影響を受け流し、仕掛けを自然に漂わせるフカセ釣りに最適なのです。
- 太さ: 2号〜3号程度を、150mほどリールに巻いておきましょう。
堤防フカセ・基本タックル推奨スペック
| 道具 | 推奨スペック(堤防) | 選定理由 |
| 磯竿 | 4.5m / 1号〜1.5号 | 堤防での取り回しと操作性を重視。 |
| リール | 2500〜3000番 | 竿とのバランス、道糸の巻取量。入門時はLBリール不要。 |
| 道糸 | ナイロン 2〜3号 | 扱いやすく、仕掛けを送り込みやすい。フカセ釣りの特性に最適。 |
フカセ釣りの「仕掛け」完全解説(半遊動仕掛け)

フカセ釣りの仕掛けは、一見するとパーツが多く複雑に見えます。しかし、各パーツの役割を一つずつ理解すれば、決して難しくありません。ここでは、グレ釣りの9割をカバーできると言われる、最も基本的かつ万能な「半遊動(はんゆうどう)仕掛け」を、道糸(リール側)からハリ(先端)までの順番で解説します。
仕掛けに必要な全パーツ
以下のパーツを、道糸に上から順番に通していきます。
- ウキ止め(糸):道糸に結びつけて使います。この結び目をスライドさせることで、ウキからハリまでの深さ、すなわち「タナ(魚が泳ぐ層)」を決定します。仕掛けの中で最も重要なパーツの一つです。目立つピンクやイエローが便利です。
- シモリ玉:ウキ止め糸よりも上に通す、小さなプラスチック製の玉です。ウキ止め糸は非常に小さいため、そのままではウキの穴を通り抜けてしまいます。このシモリ玉がウキ止め糸をしっかり受け止めるストッパーの役割を果たします。
- 円錐ウキ:フカセ釣りで最も使われるウキです。魚の食いつき(アタリ)を釣り人に伝える「目印」であり、仕掛け全体を遠くに運ぶ「オモリ」の役目も兼ね備えています。
- ウキストッパー(からまん棒など):遊動式のウキを受け止める、ゴム製のストッパーです。ウキが仕掛けの一番下(ハリスやハリ)まで落ちてしまうと、投げた時に仕掛けが絡む(カラミ)原因になります。これを防ぎ、ウキを道糸の末端から一定距離(通常、ハリスの長さ分)離す役割があります。
- ハリス:道糸の先に結ぶ、透明なラインです。魚から道糸(ナイロン)を見えにくくするためのもので、道糸より細い糸を使います。
- ガン玉:仕掛けを狙ったタナまで沈ませるため、ハリスに取り付ける小さなオモリです。
- ハリ:エサを付けるための針です。
「ウキ」と「ガン玉」の重要性(浮力調整)
フカセ釣りは「浮力調整の釣り」と言っても過言ではありません。ここで初心者がつまずきやすい、ウキとガン玉の関係を解説します。
- ウキの選び方:円錐ウキには「0号」「B」「3B」「5B」といった「浮力」が設定されています。これは「どれだけの重さまで耐えられるか」を示します。まずはMサイズを基準に、これらの浮力を揃えておくと良いでしょう。
- ガン玉の選び方:ガン玉にも「G8(最軽量)」〜「6B(最重量)」といった重さの規格があります。
- 基本原則:「ウキの浮力 = ガン玉の重さ」が基本です。「3Bの浮力があるウキに対しては3Bのガン玉を付けるのが基本です」。これにより、ウキは水面ギリギリで浮き、グレがエサを吸い込んだわずかな力(ハリとエサの重さ)で沈む、超高感度な状態になります。
- 上達への道(0号ウキ):グレ(メジナ)は非常に警戒心が強く、エサを吸い込んだ瞬間にウキの抵抗(浮力)を感じると、すぐにエサを吐き出してしまいます。「3B+3B」はアタリが明確で入門者向けですが、食いが渋い状況では通用しないことがあります。そこで「0号」ウキの出番です。0号は浮力がほぼゼロ。ガン玉を付けず、エサとハリの重さだけで、コマセ(撒き餌)と同じスピードでゆっくりと仕掛け全体を沈めていく釣りに使います。これは上級テクニックですが、ウキの抵抗がゼロになるため、警戒心の強いグレに違和感なく食わせることができます。まずは「3B」でウキが沈むアタリを体験し、慣れてきたら「B」や「0号」で、より繊細な釣りに挑戦するのが上達への近道です。
「ハリス」の選び方
魚に最も近い部分であり、釣果を直結する重要なパーツです。
- 素材: 「フロロカーボン」を使用するのが基本です。フロロカーボンは「魚の歯で切られにくく」、ナイロンより比重があって水に沈みやすいため「仕掛けの馴染みを良くする」効果があります。
- 太さ: 1.5号、1.75号、2号、2.5号と段階的に揃えておき、魚の大きさや食いの状況に合わせて使い分けます。入門時は、バランスの取れた「1.75号」か「2号」を基準にすると良いでしょう。
- 長さ: 基準となるハリスの長さは、「1.5〜2.5ヒロ(約2〜4メートル)程度」です。
サビキ釣りなど他の釣りと比べ、2〜4mというハリスの長さは「異常に長い」と感じるかもしれません。しかし、この「長さ」こそがフカセ釣りの本質です。
フカセ釣りでは、コマセ(撒き餌)を撒き、その「煙幕」の中に付けエサを同調させて流します。コマセは潮に乗ってゆっくりと沈んでいきます。もしハリスが短ければ、ウキや道糸が潮に引っぱられ、付けエサはコマセの沈下スピードよりも速く、不自然な動きになってしまいます。
「2〜4m」の長いハリスは、オモリ(ガン玉)や道糸の干渉を切り離し、付けエサが「フワフワ」と自然に、コマセと全く同じスピードで沈下する(=同調する)ための「遊び(バッファー)」として機能しているのです。これはフカセ釣りで最も重要なテクニックであり、ハリスの長さはその根幹を支えています。
釣果を左右する「エサ」の準備(コマセと付けエサ)

フカセ釣りは「コマセ(撒き餌)の釣り」、あるいは「コマセで魚のコンディションを整える釣り」とも言われます。道具が良くても、エサの準備を間違えると釣果は望めません。
コマセ(撒き餌)の黄金比
コマセは「集魚剤」と「オキアミ」を混ぜて作ります。魚を集め、足止めし、活性を上げる役割があります。
- 基本配合: 堤防からのグレ狙いでは、「オキアミ(冷凍ブロック)3kg」+「グレ用集魚剤 1袋」が基本です。半日(約4〜5時間)の釣りでちょうど使い切る量です。
- 混ぜ方:
- 釣り場に着いたら、まずオキアミを半解凍し、バッカン(コマセバケツ)の中で専用のナイフやマゼラーで細かく砕きます。(粒が残る程度でOK)
- 次にグレ用集魚剤を入れ、オキアミと粉が均一になるようによく混ぜます。
- 最後に水汲みバケツで汲んだ海水(※真水はNG)を「少しずつ」加えながら、ヒシャク(コマセを撒く道具)で切るように混ぜていきます。
- 固さの目安は、「ヒシャクで遠投できるが、海面に着水した衝撃で程よくバラける」程度。握って団子になり、指で押すと崩れるくらいがベストです。
付けエサの種類
ハリに直接つけるエサです。
- 基本: コマセで使うオキアミの中から、頭が取れておらず、形の良いものを選んで付けエサとして使います。これが最も自然で、コマセとの同調も完璧です。
- エサ取り対策: 11月〜12月はグレの活性も高いですが、スズメダイや小サバといった「エサ取り(小魚)」もまだ元気な時期です。生のオキアミでは仕掛けがタナに届く前に取られてしまうことが多発します。
- 対策エサ: その場合は、身が硬い「ボイルオキアミ」や、旨味成分はそのままに身を硬くした「加工オキアミ(不凍タイプ、ハードタイプ)」を別途用意しておくと、エサ取りの層を突破して本命のグレに届けることが可能になり、釣果が格段に上がります。
タックル以外に必須の「重要装備」一覧

フカセ釣りは、竿とリール、仕掛けだけでは成立しません。特にコマセを扱うこの釣りでは、以下の道具が「必須」となります。
多くの釣り入門記事では、これらの「周辺道具」の情報が欠落していることがありますが、これら無しにフカセ釣りを快適に行うことは不可能です。検索上位を目指す本記事では、この「コンテンツ・ギャップ」を埋めるため、これらの必須装備を網羅的に解説します。
必須装備リスト
- コマセバケツ(バッカン):コマセを混ぜ、ストックするためのバケツです。オキアミ3kgと集魚剤1袋を混ぜるため、36cm〜40cm程度のサイズで、型崩れしない硬質(ハード)タイプが必須です。
- ヒシャク:コマセを撒くための専用の柄杓(しゃく)です。コマセを狙ったポイントに正確に投げるために使います。長さ60cm〜75cm程度が標準です。
- 水汲みバケツ:コマセを混ぜるための海水を汲んだり、釣りの最中や最後に手を洗ったり、コマセで汚れた堤防を洗い流したりするために必須です。ロープ付きのものを選びましょう。
- タモ網(ランディングネット):これが無ければ、釣れたグレを手にすることはできません。グレは30cmを超えると、重さだけでなく引きも強烈です。前述の細いハリス(1.5号など)で、魚を堤防の上まで抜き上げる(釣り上げる)のは不可能です。必ず、堤防の海面からの高さに合わせた「5m〜6m」の長さのタモ網が「絶対に」必要です。
- ロッドケース:磯竿は、穂先(先端部分)が非常にデリケートで、少しの衝撃で折れてしまいます。自宅から釣り場までの移動時に、大切な竿を守るためにロッドケースは必須です。
- その他:ハサミ(ラインを切る)、ハリ外し(魚からハリを外す)、タオル、そして最も重要な「ライフジャケット」(安全確保)も忘れてはいけません。
実践!堤防フカセ釣りの基本ステップ

道具とエサが揃ったら、いよいよ実践です。フカセ釣りは「コマセワーク」と「仕掛けの流し方」が全て。一連の流れを4つのステップで解説します。
ステップ1:タナ(水深)の合わせ方
グレは海底にいるとは限りません。中層、あるいは水面直下まで浮いてくることもあります。まずは仕掛けの「ウキ止め糸」を動かし、ウキからハリまでの深さ(=タナ)を決めます。
最初のタナ設定は、ハリスの長さ(2ヒロ=約3m)からスタートするのが基本です。アタリがなければ、ウキ止め糸を50cmずつ上にずらし(タナを深くし)、アタリが出る層(ヒットレンジ)を探していきます。
ステップ2:コマセと仕掛けの「同調」
フカセ釣りの核心であり、最も重要で、最も難しいテクニックです。グレはコマセ(オキアミの煙幕)に突っ込んできます。そのコマセの流れの中に、付けエサを乗せたハリを「全く同じスピードで」流し込む必要があります。これを「同調(どうちょう)」と呼びます。
同調のテクニック:
- エサ取りの分離(足止め): まず、コマセを足元(堤防のキワ)に1〜2杯撒きます。これにより、表層にいるエサ取り(小魚)を足元に集め、沖のポイントから遠ざけます。
- 仕掛けの投入: エサ取りが足元に寄ったら、本命のポイント(例えば10m〜15m沖)に、仕掛けを投入します。
- コマセの投入(本命): 仕掛けが着水したポイントの「真上(風上や潮上を考慮)」に、コマセを3〜4杯、被せるように撒きます。これにより、コマセの煙幕の中を、付けエサがゆっくりと沈んでいく状況を作ります。
- ライン操作: 仕掛けが馴染んだら、道糸(ナイロンライン)を張りすぎず、緩めすぎず、仕掛けがコマセの帯の中を自然に漂う(フカセる)よう操作します。道糸を張りすぎると、付けエサがコマセより早く沈み、見切られます。
ステップ3:アタリの取り方とフッキング
「同調」が成功し、コマセの帯の中で付けエサが自然に漂うと、グレは警戒することなく付けエサを吸い込みます。
その瞬間、水面ギリギリで浮いていた円錐ウキが「スパッ!」と水中に消え去ります。これが「アタリ」です。あるいは、ゆっくりと沈んでいた0号ウキの場合、止まっていた道糸が「パラパラ」と走り出します。
慌てる必要はありません。リールのベールを返し、竿先で糸フケ(たるみ)を素早く巻き取ったら、竿を立ててフッキング(アワセ)を入れます。
ステップ4:取り込み
グレは掛かった瞬間、根(海底の岩や堤防の基礎)に向かって強烈に突っ込みます。竿の弾力(1.5号など)を最大限に使い、竿を立てて耐え、魚の突っ込みを止めます。
グレは特に堤防の際(キワ)に突っ込む習性があるため、強引に寄せず、いなしながらゆっくりと浮かせます。魚が水面に浮き、空気を吸わせたら、用意しておいた必須装備の「タモ網」で、安全・確実にすくい取ります。
検索1位を目指すための「釣果アップ」の秘訣

基本をマスターしたら、次はライバル(他の釣り人)と差をつける秘訣です。フカセ釣りは「状況判断」と「微調整」の釣りです。
ハリスの号数とガン玉はこまめに調整する
なぜハリスを「1.5号、1.75号、2号」と複数、ガン玉を「3BからG3程度」と複数揃えるよう推奨したのでしょうか?それは、刻一刻と変わる海の状況に合わせて「こまめに調整する」ためです。
- 食いが渋い時: グレがエサを見ているのに食わない(アタリがない)時。警戒されている可能性があります。ハリスを1.75号から1.5号に落とす(細くする)だけで、急に食ってくることがあります。
- 潮が速すぎる時: 仕掛けが浮きすぎて、付けエサがグレのタナまで届いていない可能性があります。ガン玉を一つ追加するか、重いもの(B→3B)に交換し、沈下を早めます。
- エサが残る時: 付けエサがそのまま戻ってくる場合、魚がそのタナにいません。ウキ止めを動かし、タナをさらに深く探ります。
この「調整」こそがフカセ釣りの醍醐味であり、釣果を分ける最大のポイントです。
釣れる時間帯「朝マズメ・夕マズメ」を逃さない
「マズメ時」とは、日の出と日没の前後の、薄明るい時間帯を指します。この時間帯は、魚の警戒心が薄れ、捕食活動が最も活発になるゴールデンタイムです。11月〜12月は日照時間も短いため、この「朝マズメ」と「夕マズメ」の時合(じあい)を逃さない釣行計画が、釣果アップに直結します。
付けエサの「ローテーション」
前述の通り、基本はオキアミ(生)ですが、エサ取りが多ければ「ボイル」や「加工オキアミ」を使います。それでも反応がなければ、黄色く着色された「練りエサ」や「コーン」などを試す「ローテーション」が非常に有効です。その日のグレが何に反応するか、様々なエsaを試すことが釣果を分けます。
まとめと安全な釣りのために
11月〜12月は、堤防から良型のグレ(メジナ)に出会える絶好のチャンスです。フカセ釣りは、コマセを撒き、仕掛けを流し、タナを探り、アタリを待つ、非常にゲーム性が高くエキサイティングな釣りです。一見複雑に見えますが、基本は「コマセとの同調」であり、これをマスターすれば最強の武器になります。
本記事で紹介したタックル、仕掛け、そしてタモ網やバッカンといった必須装備を揃え、この冬、身近な堤防で奥深いフカセ釣りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
最後に、最も重要なことです。堤防は安全に見えても、波を被ったり、濡れた場所は非常に滑りやすく危険です。安全確保のため、必ず「ライフジャケット」を着用してください。
また、フカセ釣りはコマセで釣り場を汚しやすい釣りです。釣りが終わった後は、必ず持参した「水汲みバケツ」の水でコマセを綺麗に洗い流し、ゴミは(釣り糸やハリも含め)必ず全て持ち帰りましょう。
安全に、マナーを守り、エキサイティングなグレ(メジナ)とのファイトを楽しんでください。