梅雨入り前の爽やかな気候と豊かな自然が魅力の6月。この時期、利根川の上流域は新緑に包まれ、雪解け水も落ち着きを見せ、絶好の釣りシーズンを迎えます。川底の石も磨かれ、魚たちの活性も上がり、ヤマメやイワナ、ニジマスといった渓流魚から、夏の風物詩であるアユまで、多様なターゲットを狙うことができるのが大きな魅力です。本記事では、6月の利根川上流域で楽しめる釣りの種類、具体的なポイント、初心者にもわかりやすい釣り方、そして安全に楽しむためのルールやマナーに至るまで、網羅的にご紹介します。しっかりと準備をして、素晴らしい釣りの思い出を作りましょう。
6月の利根川上流域:新緑と雪解け水が織りなす絶好の釣りシーズン

6月の利根川上流域は、生命力あふれる新緑が目に眩しく、心地よい風が吹き抜ける季節です。春先の雪解けによる増水も一段落し、水量が安定してくるため、釣りがしやすくなる時期と言えるでしょう。水温も適度に上昇し、川に棲む魚たちの活性が高まります。特にヤマメやサクラマス(戻りヤマメ)にとっては、まさにベストシーズンの一つです 。また、イワナやニジマスも活発にエサを追い求め、アユ釣りも本格的にシーズンインします 。
この時期の利根川上流は、本流のダイナミックな流れから、支流の静寂な渓相まで、多様な顔を見せてくれます。釣り人にとっては、それぞれのスタイルや狙いたい魚種に合わせてフィールドを選べる、贅沢な環境が広がっています。初心者の方でも、比較的アクセスしやすいポイントから、少し足を延ばして自然豊かな源流域まで、レベルに応じた楽しみ方が可能です。
6月の利根川上流で狙える!魅力的なターゲットたち

利根川上流域では、6月になると様々な種類の魚を釣ることができます。それぞれの魚には特有の魅力があり、釣り人を惹きつけます。
清流の女王「ヤマメ」と幻の「サクラマス(戻りヤマメ)」
ヤマメは、その美しいパーマーク(小判型の模様)から「清流の女王」とも呼ばれる人気の渓流魚です。流れの速い瀬や淵、岩陰などに潜んでいます。6月は水生昆虫などの活動も活発になるため、ヤマメも積極的にエサを捕食します。
そして、ヤマメの中でも特に釣り人の憧れの的となるのが、サクラマス(戻りヤマメ)です。これは、一度海に下って大きく成長し、産卵のために川を遡上してくるヤマメのこと。その力強い引きと美しい銀色の魚体は、多くの釣り人を魅了します。利根川では、4月下旬から6月がサクラマスのベストシーズンとされ、時には50cmを超える大物も記録されています 。特に6月は、水温が上昇しきる前の好機であり、「利根マス」とも呼ばれる大型の戻りヤマメを狙う釣り人で賑わいます 。
源流の猛者「イワナ」
イワナは、ヤマメよりもさらに上流の冷たい水を好む渓流魚です 。岩陰や倒木の下、滝壺などに潜み、貪欲にエサを捕食します。その精悍な顔つきと力強い引きは、源流釣りの醍醐味の一つと言えるでしょう。6月はイワナも高活性になりますが、警戒心が強いため、静かにポイントへ近づき、丁寧に攻めることが釣果への鍵となります。特に雨後で少し濁りが入った時などは、警戒心が薄れ釣りやすくなることがあります。
パワフルファイター「ニジマス」
ニジマスは、その名の通り虹色の美しい体側と、力強いファイトが魅力の魚です。利根川水系では、放流された個体も多く、比較的釣りやすいターゲットの一つと言えます。6月も活発にエサを追い、ルアーやエサによく反応します。特に大型のニジマスは、サクラマスと見間違えるほどの引きを見せることもあり、油断できません。
夏の風物詩「アユ」
アユは、日本の夏の釣りを代表する魚です。川底の石についた良質なコケを主食とし、縄張り意識が非常に強いのが特徴です。利根川では、6月頃からアユ釣りのシーズンが始まり、多くの釣り人で賑わいます。友釣りだけでなく、近年では手軽なアユルアー(アユイング)も人気を集めています。
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【初心者向け】ヤマメ・イワナ・ニジマスの見分け方
渓流で釣れる代表的な魚であるヤマメ、イワナ、ニジマスは、慣れないうちは見分けがつきにくいかもしれません。それぞれの特徴を覚えておくと、釣れた魚をより深く楽しむことができます。
魚種 | 主な体色と模様 | その他特徴 |
ヤマメ | 体側に小判型の模様(パーマーク)が明瞭。背中から体側にかけて黒い斑点がある 。全体的に銀白色で美しい。 | 朱点はない。 |
イワナ | 体側に白や黄色、オレンジ色の斑点が散らばる 。体色は灰色や茶褐色が基調。 | パーマークは不明瞭か、成長と共に見えなくなる。 |
ニジマス | 体側に鮮やかな虹色の縦帯がある。体全体に細かい黒点が散らばる。 | パーマークはない。エラ蓋にも黒点があることが多い。 |
ヤマメ: 体の横にある小判型の模様(パーマーク)がはっきりしているのが最大の特徴です 4。背中側には小さな黒い点々があります。
イワナ: 体には白い斑点が散らばっており、これがイワナを見分けるポイントです。地域によって斑点の色が黄色やオレンジ色を帯びることもあります。
ニジマス: 体の側面にピンクから赤紫色の太い帯模様があり、体全体に黒い小さな斑点が散らばっています。この虹色の帯が名前の由来です。
これらの特徴を覚えておけば、釣れた魚がどの種類か判別しやすくなるでしょう。
初心者にもおすすめ!6月の利根川上流 厳選釣りポイント

利根川上流域には数多くの釣りポイントが存在しますが、ここでは特に6月に実績があり、初心者の方でも比較的アクセスしやすいエリアをご紹介します。ただし、川の状況は天候によって日々変化するため、釣行前には必ず最新情報を確認するようにしましょう。
ヤマメ・サクラマス狙いの実績ポイント
6月はヤマメやサクラマス(戻りヤマメ)の活性が高まる時期です。特に水温が上がりすぎない上流部や、遡上魚が休憩するような場所が狙い目となります。
- 沼田~月夜野エリア(利根漁協管轄): 6月に入ると下流の渋川周辺では水温が上昇し、ヤマメの食いが渋くなることがあります。そのため、比較的水温が低いこのエリアが有望となります。
- 綾戸ダム上流 岩本放水口付近: 実績の高いポイントとして知られています。
- 新鷺石橋: こちらも有望なポイントです。
- 上牧堰堤下流: 遡上魚が溜まりやすいポイントの一つです。 これらのポイントは、遡上してきたサクラマスが一旦足を止めやすい変化に富んだ場所であり、川底の石の入り方や流れの強弱を見極めることが重要です。
- 片品川(利根川支流): 利根川上流の有力な支流で、特に尺ヤマメ(30cmを超える大型ヤマメ)が育ちやすい環境として知られています 。川底は岩盤質で、深い落ち込みや淵が多く、大型魚が潜むには格好の場所です。アクセスはやや大変な場所もありますが、その分魚影の濃さが期待できます。
- 渋川エリア(群馬漁協管轄): 雪代が収まり、水量が安定してくると多くの釣り人が集まる人気エリアです 。
- 坂東橋周辺: 有名なポイントで、特に橋の下流側では思わぬ大物がヒットすることもあります。
- 関越自動車道 関越橋上下: 流れは速い(ガンガン瀬)ですが、底石がしっかりしており、遡上してきた大型魚が付いている可能性があります。複数の筋が複雑に絡み合うため、丁寧に探り歩くことでチャンスが生まれます。 このエリアは、6月後半になると水温が上がりすぎる場合があるため、釣行時期を見極めることが大切です。
これらのエリアでは、特にサクラマスのような遡上魚を狙う場合、「荒瀬の一段上にできた緩やかな流れ」といった、魚が一時的に休息できるような場所を見つけることが重要です。一見すると何でもないような場所でも、大型魚が潜んでいることがあるため、川の地形変化を注意深く観察しましょう。
イワナの潜む渓流・源流域
イワナはヤマメよりもさらに上流の、水が冷たく障害物の多い環境を好みます 。そのため、イワナを狙う場合は、本流から離れた支流や源流域に足を運ぶことになります。
- 利根川の主な支流上流部: 片品川の上流部や、根利川、薄根川といった支流は、イワナ釣りの好ポイントとして知られています 。これらの川は、手付かずの自然が残る場所も多く、魚影の濃さが期待できます。
- 一般的なイワナのポイント: イワナは倒木の下、岩のエグレ、落ち込みの脇の緩やかな流れなどに潜んでいます。ヤマメほど流れの中を積極的に泳ぎ回ることは少ないため、障害物の陰を丁寧に探ることが重要です。特に堰堤の下や滝壺は、大型のイワナが潜む一級ポイントとなることがあります。
源流域への釣行は、ある程度の体力と経験が必要となる場合があります。しかし、その先には素晴らしい景色と、手つかずの自然の中で育った美しいイワナとの出会いが待っています。アクセスが容易ではない場所ほど、魚からのプレッシャーも低く、思わぬ釣果に恵まれることもあります。
ニジマスが期待できるエリア
ニジマスは環境への適応力が高く、利根川水系では本流から支流まで広く生息しています。特に放流が行われているエリアでは、魚影が濃く、初心者でも比較的釣りやすい魚種です。
- 利根川本流の特定区間: 群馬漁協管轄の利根川本流では、冬季にニジマス釣場が設定される区間があります(例:上毛大橋~中央大橋間)。シーズンオフとなる6月でも、釣れ残った個体や、さらに上流から下ってきたニジマスが釣れることがあります。特に、管理棟周辺や放流ポイントの近辺は魚の密度が高い傾向にあります。
- 吾妻川合流点より上流の利根川本流: このエリアでも大型のニジマスが数多く生息しており、時にサクラマス狙いの仕掛けにヒットすることもあります。流れが強く、底石が点在するような場所は好ポイントです。
- 各漁協の放流情報: 各漁協では定期的にニジマスの放流を行っている場合があります。釣行前に漁協のウェブサイトなどで放流情報を確認すると良いでしょう 。
ニジマスは引きが強く、釣り応えのあるターゲットです。ヤマメやイワナがなかなか釣れない時の「お助け役」としても期待できるでしょう。釣りやすい場所に放流されていることも多いため、まずはニジマス釣りから渓流釣りを始めてみるのも良い選択です。
アユ釣りが楽しめる主な河川
6月はアユ釣りのシーズンが開幕する地域も多く、利根川水系でもアユの姿が見られるようになります。アユは縄張りを持つため、その習性を利用した釣りが展開されます。
- 利根川本流(群馬漁協・利根漁協など): 利根川本流は広大で、アユの好ポイントが点在しています。特に群馬漁協管轄内では、友釣り専用区が設けられているエリアもあります(例:新坂東橋下流端から中央大橋下流端まで)。各漁協の管轄区域やルールを確認して釣りを楽しみましょう。6月上旬に解禁される漁協もあり、その場合は解禁当初から良型のアユが期待できます。
- 神流川(南甘漁協・上野村漁協): 利根川の支流である烏川に合流する神流川は、県内でも有数のアユ釣り場として知られています 。特に上流部は水質が良く、美しいアユが釣れると評判です。神流町役場に近い森戸橋~生利大橋のエリアや、名勝「丸岩」周辺などが人気のポイントです 。
アユ釣りは、伝統的な友釣りのほか、近年ではルアーを使った「アユイング」も手軽で人気があります。初心者の方は、まずはアユイングから挑戦してみるのも良いでしょう。アユのポイントは、良質なコケが付着するような、流れのある石が多い場所が基本です。
初心者でも安心!基本の釣り方と仕掛けをマスターしよう
釣りたい魚や場所が決まったら、次は釣り方です。ここでは、渓流釣りで代表的なエサ釣り、ルアーフィッシング、テンカラ釣り、そしてアユルアーについて、初心者向けに基本を解説します。
渓流釣りの基本装備と服装
どんな釣り方を選ぶにしても、まずは基本となる装備と服装を整えることが大切です。安全かつ快適に釣りを楽しむために、以下のものを準備しましょう。
- 釣竿(さお): 釣り方や場所によって適切なものが異なります。エサ釣りなら5.3m~7m程度の渓流竿、ルアーやテンカラなら専用の竿を選びます 。
- リール: ルアーフィッシングや一部のエサ釣りで使用します。
- 釣り糸(ライン): 釣竿やリール、対象魚に合わせて太さや種類を選びます。
- ハリ・オモリ・仕掛け小物: 釣り方に応じたものを用意します。
- エサまたはルアー: 狙う魚や状況に合わせて選びます。
- 服装:
- 長袖シャツ・長ズボン: 虫刺されや怪我、日焼け防止の基本です 。
- 帽子: 日差しや木の枝から頭部を守ります。熱中症対策にもなります 。
- 偏光サングラス: 水面のギラつきを抑え、水中の様子や魚影を見やすくします。目の保護にも役立ちます 。
- 手袋(フィッシンググローブ): 岩場での怪我防止や日焼け対策、防寒にもなります 。
- ウェーダーまたはゲーター: 川の中に入って釣りをする場合に必要です。ウェーダーは胸まである長靴状のもので、ゲーターはネオプレン素材の足カバーで、濡れることを前提とした夏向けの装備です 。靴底は滑りにくいフェルト底などがおすすめです。
- フィッシングベストまたはリュック: 仕掛けや小物類を収納し、両手を空けておくために便利です 。
- タモ網(ランディングネット):釣れた魚を安全に取り込むために必要です 。
これらの装備は、釣具店やアウトドア用品店で揃えることができます。特にユニクロやワークマンなどでは、機能的で手頃な価格のウェアも見つかるでしょう 。最初は高価なものを揃える必要はありませんが、安全性に関わるウェーダーや靴、雨具などはしっかりしたものを選ぶと安心です。釣りのスタイルや頻度に合わせて、徐々に自分に合ったものを見つけていくと良いでしょう。
川魚との知恵比べ!エサ釣りの魅力とテクニック
エサ釣りは、自然の川虫やミミズなどを使って魚を誘う、最も基本的な渓流釣りの一つです。魚の食性や習性を読み解きながら釣る奥深さがあり、初心者からベテランまで幅広く楽しまれています。
- タックル(道具立て):
- 竿(さお): 全長5.3m~7.1m程度の渓流竿(ノベ竿)が一般的です。初心者は6m前後で、仕舞寸法が短い「小継ぎ」タイプが扱いやすいでしょう。竿には適合ハリス(使用できる糸の太さの目安)が表示されており、「0.2号~0.6号」程度のものが入門に適しています。
- 仕掛け: 竿の先端に結ぶ「天井糸」、水中に入る「水中糸」、ハリを結ぶ「ハリス」の3つのパートに分けるのが基本です。これに「目印」と「オモリ」を取り付けます。
- 天井糸: 水中糸よりやや太めの色付きナイロン糸(例:0.4~0.6号)を2~3m。
- 水中糸: 透明なナイロンまたはフロロカーボン糸(例:0.2~0.3号)を竿の長さ程度。
- ハリス: 水中糸より一段階細い糸(例:0.15~0.25号)を30cm~1m程度。ハリ付きのハリスも市販されています。
- ハリ: 使うエサの大きさに合わせます。小さな川虫なら渓流バリの1~4号、ミミズなど大きめのエサなら5~7号が目安です 。サクラマスを狙う場合は、より大きく丈夫な丸セイゴ9~11号なども使われます。
- オモリ: ガン玉と呼ばれる小さなオモリを流れの速さや水深に応じて使い分けます。3号~4B(Bが大きいほど重い)あたりを数種類用意しておくと良いでしょう 。
- 目印: 蛍光色の毛糸などを3~4個、水中糸に取り付けます。仕掛けの位置やアタリ(魚がエサに食いついた反応)を見るために重要です。
- 代表的な餌と付け方:
- クロカワムシ(黒川虫): カワゲラの幼虫で、利根川水系では現地調達も可能で、非常に効果的なエサとされています 。石の裏などに付着しています。ハリには頭部から刺し、自然に流れるようにします。
- ミミズ: 万能エサで、入手も容易です。1匹をチョン掛けしたり、数匹を房掛けにしたりします 。
- ブドウムシ(ブドウ虫): ガの幼虫で、栄養価が高く魚の食いが良いエサです。
- キンパク・ヒラタ: カゲロウの幼虫で、これも良いエサです 。 エサは、魚に違和感を与えないように、できるだけ自然な形でハリに付けることが大切です。
- ポイントへの流し方とアタリの取り方:
- エサ釣りは、ウキを使わずに仕掛けを流れに乗せて自然に流し、目印の動きでアタリを取る「ミャク釣り」が基本です 。
- 狙うポイントの少し上流に仕掛けを投入し、エサが魚のいそうな場所(岩陰、流れのヨレ、深みなど)を自然に通過するように竿を操作します。
- 目印が不自然に止まったり、沈んだり、横に走ったりしたら、それがアタリです。素早く、しかし竿の弾力を活かして合わせ(ハリを魚の口に掛ける動作)を入れます。
- イワナの場合: 障害物の奥や流れの緩い場所に潜んでいることが多いので、仕掛けをゆっくりと沈め、じっくりとエサを見せるように流します 。あまりエサを追いかけないので、ピンポイントで口元へ届けるイメージです。
- ヤマメの場合: 比較的流れのある場所にも出てきます。瀬の中や反転流、石裏などを狙います。
- サクラマスの場合: 遡上魚は、急流を登った後の緩やかな流れや、障害物の陰で休息していることがあります 。そのような場所を重点的に探ります。
エサ釣りは、川の状況や魚の活性に合わせてオモリの重さや流し方を微妙に調整する繊細さが求められますが、それが釣れた時の喜びを一層大きくしてくれます。特にクロカワムシのような現地の川虫は魚の食いが抜群に良いことが多いので、採取方法を覚えておくと釣果アップに繋がるでしょう。
ルアーフィッシング入門
ルアーフィッシングは、小魚や昆虫を模した疑似餌(ルアー)を使って魚を釣る方法です。エサ釣りのようにエサを用意する必要がなく、手軽に始められるのが魅力です。また、様々な種類のルアーを使い分け、アクション(動かし方)を工夫することで釣果を伸ばすゲーム性の高さも人気です 。
- タックル(道具立て):
- ロッド(竿): 一般的には6フィート(約1.8m)~7フィート(約2.1m)程度の、硬さがライト(L)~ウルトラライト(UL)クラスのスピニングロッドが渓流では扱いやすいでしょう。
- リール: 1000番~2000番サイズの小型スピニングリールが適しています。
- ライン(釣り糸): ナイロンラインの4ポンド~6ポンド、またはPEラインの0.4号~0.8号にショックリーダー(フロロカーボン製の先糸)を接続して使用します。
- ルアーの種類:
- スプーン: 金属製のシンプルな形状のルアーで、ただ巻き(リールを巻くだけ)でもよく泳ぎ、初心者にも扱いやすいです。利根川本流のヤマメ狙いでは5g~16gのものが使われることもあります 。様々な重さや色があるので、状況に合わせて選びます。
- ミノー: 小魚を模した形状のルアーです。水中でヒラヒラと泳ぎ、魚にアピールします。特にヤマメやサクラマスに効果的で、8cm程度のシンキングミノー(沈むタイプ)が実績があります。ニジマス狙いでは、チェリーブラッド70MDのようなミノーも使われます。
- スピナー: ボディにブレード(回転する金属板)が付いており、リールを巻くとブレードが回転して魚を誘います。アピール力が高く、活性の高い魚に有効です。ARスピナーなどがニジマスに効果的だったという報告もあります 。
- ルアーの選び方と基本的な操作方法:
- ルアーの選び方: まずは、その川にいる小魚や水生昆虫の大きさに近いサイズのルアーを選びましょう。色は、水色や天候によって反応の良いものが変わります。基本的には、シルバーやゴールドといったナチュラル系と、チャートリュース(蛍光黄緑)やピンクといったアピール系の両方を用意しておくと対応しやすいです。
- 基本的な操作方法:
- キャスト(投げる)は、狙うポイントのやや上流か、対岸に向けて行います。
- ルアーが着水したら、糸フケを取り、リールを巻いてルアーを泳がせます。ただ巻きだけでなく、時折ロッドを軽くあおってルアーに不規則な動き(トゥイッチ)を加えたり、巻くのを止めたり(ポーズ)するのも効果的です。
- イワナを狙う場合は、岩陰や深みにルアーを送り込み、ゆっくりと底付近を引いてくるのが有効な場合があります 。ニジマスには、ミノーを流れに乗せて自然に漂わせるドリフトも効果的です 。
ルアーフィッシングは、ポイントを移動しながら積極的に魚を探していく「攻めの釣り」です。様々なルアーを試し、自分なりのヒットパターンを見つけるのも楽しみの一つです。
手軽さが魅力!テンカラ釣りのすすめ
テンカラ釣りは、竿、糸、毛バリ(けばり)という非常にシンプルな道具立てで楽しむ、日本古来の伝統釣法です 。リールを使わず、竿のしなりと糸の重みを利用して軽い毛バリをポイントへ振り込みます。
- シンプルな道具立て:
- テンカラ竿: 専用のノベ竿で、3m~4.5m程度の長さが一般的です。釣り場の規模に合わせて選びます 。
- ライン(糸): テンカラ専用のラインを使用します。主なものに、テーパーライン(徐々に細くなる)、レベルライン(均一な太さのフロロカーボン糸)、ストレートライン(編み糸)があります。初心者は巻きグセがつきにくく扱いやすいストレートラインや、適度な重みで振り込みやすいレベルラインから始めるのがおすすめです 。
- ハリス(先糸): ラインの先に結ぶ細い糸で、フロロカーボンの0.8号~1号程度を1m前後接続します 。
- 毛バリ: 水生昆虫や陸生昆虫を模したハリです。様々な種類がありますが、最初は数種類の基本的なパターンを用意すれば十分です 。
- 釣り方:
- 竿を振り、ラインの重みを利用して毛バリをポイントにキャストします。
- 毛バリが着水したら、自然に流したり、軽く誘いをかけたりして魚を誘います。
- 魚が毛バリに食いつくと、手元やラインにアタリが伝わってきます。
- 初心者にとっての魅力:
- 道具がシンプルで初期投資が比較的少ない。
- リール操作がないため、キャストの基本を覚えればすぐに釣りを始められる。
- 魚とのダイレクトなやり取りが楽しめる。
- 特に、障害物の多い小渓流や、ピンポイントを狙う釣りに適しています。
テンカラ釣りは、そのシンプルさゆえに奥が深く、自然との一体感をより強く感じられる釣り方です。装備も軽量なので、山歩きを兼ねた釣行にも向いています 。
アユ釣りに挑戦:鮎ルアー(アユイング)を楽しもう
アユ釣りと言えば、生きたオトリ鮎を使う「友釣り」が有名ですが、近年ではルアーを使った「アユイング」や「鮎ルアー」と呼ばれる釣法が手軽さから人気を集めています。これは、アユの縄張り意識を利用し、ルアーを侵入者と見なさせて攻撃させる釣り方です。
- アユルアーとは: アユの形や動きを模した専用のルアーを使用します。ルアーの後方には、縄張りを主張するアユを掛けるためのイカリ針やチラシ針が付いています。
- タックルとアユルアーの選び方:
- ロッド(竿): アユルアー専用ロッドが最適ですが、7フィート~9フィート程度のライトアクションのシーバスロッドやエギングロッドでも代用可能です。
- リール: 2000番~2500番程度の小型スピニングリール。
- ライン(釣り糸): PEラインの0.6号~0.8号に、フロロカーボンのリーダー1.5号~2号を1mほど接続するのが一般的です。
- ルアー: 様々なメーカーから専用のアユルアーが販売されています。重さや潜行深度、カラーなどを、川の規模や水深、アユの活性に合わせて選びます。
- 基本的な釣り方とコツ9:
- 「鮎は石を釣れ」: アユは良質なコケが生えた石に縄張りを作ります。そのため、川底に石がゴロゴロしているような場所や、ある程度流れがあって白波が立っているような瀬が好ポイントです 。
- ルアーを底にコンタクトさせることが重要: アユは底付近の縄張りを意識しているため、ルアーをしっかりと底まで沈め、石にコツコツと当たるくらい(ボトムノック)を意識して操作します 。ルアーが浮き上がってしまう場合は、シンカー(オモリ)を追加して調整します。
- 基本的な操作:
- 立ち位置から下流、またはやや斜め下流にキャストします 。
- 着水後、ルアーを流れに乗せてドリフトさせたり、ゆっくりとリールを巻いて(スローリトリーブ)縄張りを持つアユがいそうな石の周りを通過させます 。
- アタリがなければ、ルアーを少しずつ上流へ移動させながらポイントをずらしたり、竿の角度を変えてルアーを左右にスライドさせて誘います 。
- アユがルアーにアタックしてくると、明確なアタリが出ます。しっかりと合わせて取り込みましょう。
アユルアーは、友釣りのようにオトリ鮎を用意する必要がなく、タックルも比較的シンプルなので、初心者でも気軽にアユ釣りの楽しさを味わうことができます。6月はシーズン初期にあたり、フレッシュなアユの強い引きを堪能できるでしょう。
安全で楽しい釣りのために:遊漁券・ルール・マナーを確認しよう

釣りは自然の中で楽しむレジャーですが、そこにはルールやマナー、そして安全への配慮が不可欠です。これらを守ることで、自分自身も周囲の人も気持ちよく釣りを楽しむことができ、貴重な釣り場環境を未来へ繋ぐことにもなります。
釣りの必需品!遊漁券の購入方法と種類
日本の多くの河川で釣りをするためには、「遊漁券(入漁券)」の購入が必要です。これは、漁業協同組合(漁協)が管理する河川で、魚を採捕する権利を得るためのもので、その収益は稚魚の放流や河川環境の整備などに充てられています 。利根川上流域も複数の漁協によって管理されており、釣りをするエリアを管轄する漁協の遊漁券を事前に購入する必要があります。これが少し複雑に感じるかもしれませんが、釣り場を守り育てるための大切な仕組みです。
- 利根漁業協同組合(利根漁協):
- 種類: 1日券と年券があります。対象魚種によって料金が異なり、「全魚種」と「アユを除く魚種」などがあります。
- 価格例(店売り1日券): アユを除く魚種は2,000円、全魚種(竿釣り等)は3,500円(2024年時点、詳細は要確認)。
- 購入方法: 管轄エリア内の釣具店、コンビニエンスストア(セブンイレブン、ファミリーマート、ミニストップ、ローソンなど)、オンライン(FISH PASS、セブンチケットなど)、または現場の監視員から購入できます(現場売りは割増料金の場合あり)。
- 群馬漁業協同組合(群馬漁協):
- 種類: 日釣券(「雑魚券」と「全魚券」など)があります。群馬漁協の管轄内では中学生以下は無料です 。
- 価格例(日釣券): 雑魚券(アユを除く全魚種)は高校生以上1,500円、全魚券は高校生以上2,000円(2025年6月時点のオンライン販売例、詳細は要確認)。
- 購入方法: 全国のセブンイレブン、ローソン、ミニストップ、ファミリーマートなどのコンビニエンスストア、JTB、フィッシュパス、セブンチケットなどでオンライン購入が可能です 。
- 阪東漁業協同組合(阪東漁協):
- 種類: 日券(全魚種対象など)があります。
- 価格例(日券): 全魚種3,000円(オンライン販売例、詳細は要確認)。
- 購入方法: 遊漁証取扱所、オンライン(フィッシュパスなど)、または現場の監視員から購入できます(現場売りは割増料金あり) 。
遊漁券購入のポイント:
- 釣行エリアの確認: まず、自分が釣りをする場所がどの漁協の管轄なのかを事前に確認することが最も重要です。各漁協のウェブサイトには管轄マップが掲載されていることが多いです 。
- オンライン購入の活用: 早朝からの釣行や、近くに取扱店がない場合に備え、コンビニ発券やフィッシュパスなどのオンラインシステムを利用すると便利です。
- 遊漁券は必ず携帯: 釣り中は遊漁券を必ず携帯し、漁協の監視員から提示を求められた際にはすぐに見せられるようにしておきましょう。
遊漁券のシステムは、初心者には少しややこしく感じられるかもしれませんが、事前にしっかりと調べて正しい遊漁券を購入することが、ルールを守った楽しい釣りの第一歩です。
自然を満喫するための安全対策
渓流釣りは美しい自然の中で行う魅力的なアクティビティですが、同時に様々な危険も潜んでいます。安全対策を怠らず、常に慎重な行動を心がけることが、楽しい一日を過ごすための大前提です。
- 天候の確認は必須: 釣行前日だけでなく、当日も天気予報を必ず確認しましょう。特に山間部の天気は変わりやすいため、雨雲レーダーなども活用すると良いでしょう。大雨や落雷の予報が出ている場合は、釣行を中止または延期する勇気も必要です 。
- 増水・鉄砲水の危険性: 上流域で雨が降ると、下流では短時間で急激に川の水位が上昇する「鉄砲水」が発生することがあります 。水が濁り始めたり、木の葉やゴミが流れてきたりしたら、増水の兆候です。速やかに高台へ避難してください。
- 川での歩行(渡渉)の注意点:
- 川底の石は苔で滑りやすく、また浮石も多いため、転倒には十分注意が必要です。ウェーディングスタッフ(杖)を使用すると安定性が増します 。
- 川の中を歩く際は、すり足で慎重に進みましょう 。
- 流れの速い場所や水深が膝を超えるような場所は、無理に渡ろうとせず、安全なルートを選びましょう 。
- 事前にGoogleマップなどで川の地理を把握しておくことも役立ちます 。
- 野生動物への対策:
- 熊: 利根川上流域にも熊が生息しています。熊鈴を携帯し、自分の存在を知らせるようにしましょう。万が一に備え、熊撃退スプレーを携帯することも検討できますが、使用には注意が必要です 。
- 蜂・ブヨ・アブ・マダニ: 長袖長ズボンを着用し、肌の露出をできるだけ避けましょう。虫除けスプレーも有効です。蜂の巣を見かけたら、刺激せずに静かにその場を離れてください 。マダニ対策として、ズボンの裾を靴下に入れるなどの工夫も有効です。
- その他の注意点:
- 単独釣行は慎重に: 特に初心者のうちは、できる限り経験者と同行するか、複数人で行動するようにしましょう 。
- 連絡手段の確保: 携帯電話が通じにくい場所も多いため、事前に家族や友人に釣行計画を伝えておきましょう。
- 応急処置セットの携帯: 万が一の怪我に備え、簡単な応急処置セットを携帯しておくと安心です。
- 落石・滑落: 急峻な崖の下や、雨後・雪解け時期の斜面近くでは落石の危険性があります。滑りやすい場所では滑落にも注意し、無理のない行動を心がけましょう 。
- 車上荒らし: 釣り場近くの駐車場では、車上荒らしに注意が必要です。貴重品は車内に放置しないようにしましょう。
これらの安全対策は、釣りを中断させないためだけでなく、自身の命を守るためにも非常に重要です。事前の準備と、釣行中の冷静な判断が、安全で楽しい釣りを実現します。
みんなで守る!釣り場のルールとエチケット
釣り場は、多くの釣り人が共有する貴重な場所です。誰もが気持ちよく釣りを楽しみ、豊かな自然環境を未来に残していくために、ルールとマナーを守ることが求められます。
- 漁業規則の遵守:
- 遊漁期間・時間: 魚種ごとに釣りが許可されている期間や時間が定められています。必ず確認し、遵守しましょう(例:ヤマメ・イワナの禁漁期間など)。
- 全長制限(サイズ制限): 小さな魚は将来の資源を守るためにリリースが義務付けられている場合があります。例えば、利根漁協ではヤマメ・イワナは15cm以下は採捕禁止といった規則があります 。各漁協の規則を確認しましょう。
- 尾数制限: 1日に持ち帰れる魚の数が制限されている場合があります(例:利根漁協ではヤマメ・イワナは合計20尾まで)。
- 禁止区域・禁止漁法: 特定の区域での釣りや、特定の漁法が禁止されている場合があります。これも漁協の規則で定められています。
- キャッチ&リリース区間: 場所によっては、釣った魚を全てリリースすることが義務付けられている「キャッチ&リリース区間」が設定されていることもあります 。
- ゴミは必ず持ち帰る: 釣り場にゴミを残していくことは、環境汚染だけでなく、他の釣り人や地域住民にとっても迷惑です。食べ物や飲み物の容器、タバコの吸い殻、そして切れた釣り糸や使い終わったハリなども含め、全てのゴミは必ず持ち帰りましょう 。
- キャッチ&リリースについて: 釣った魚を持ち帰らない場合(キャッチ&リリース)は、魚へのダメージを最小限に抑えるよう努めましょう。濡れた手で優しく扱い、できるだけ水から出している時間を短くし、速やかにリリースします。バーブレスフック(カエシのないハリ)を使用するのも有効です。
- 先行者への配慮: すでに他の人が釣りをしているポイントに近づく際は、十分な距離を取り、静かに行動しましょう。先行者の邪魔にならないように、声をかけてから入るのがマナーです。一般的に、渓流釣りでは下流から上流に向かって釣り上がるのがマナーとされています 。
- 場所の譲り合い: 良いポイントは限られています。混雑している場合は、お互いに譲り合いの気持ちを持ち、気持ちよく釣りができるように心がけましょう。
- その他:
- 大声で騒いだり、不必要に水面を叩いたりする行為は、魚を警戒させるだけでなく、他の釣り人の迷惑にもなります。
- 河川敷の植物をむやみに踏み荒らしたり、枝を折ったりしないようにしましょう。
- 駐車する際は、他の車両の通行や地域住民の迷惑にならないように配慮しましょう。
これらのルールやマナーは、特別なことではなく、自然を愛し、釣りを楽しむ者としての基本的な心構えです。一人ひとりが意識することで、利根川の素晴らしい釣り環境が守られていきます。
まとめ:準備を整えて、6月の利根川上流で最高の思い出を!

6月の利根川上流域は、新緑の美しさ、多様なターゲット、そして多彩な釣り方を楽しめる、まさに釣り人にとって魅力あふれるフィールドです。ヤマメやイワナといった渓流のスターから、パワフルなニジマス、そして夏の風物詩アユまで、狙える魚種は豊富です。
本記事では、初心者の方でも安心して6月の利根川上流での釣りを楽しめるよう、魚種の特徴から具体的なポイント、基本的な釣り方、そして何よりも大切な安全対策やルール・マナーについて詳しく解説してきました。これらの情報を参考に、しっかりと準備を整えれば、きっと素晴らしい釣りの体験ができるはずです。
大切なのは、自然への敬意を忘れず、安全第一で行動すること。そして、ルールとマナーを守り、他の釣り人や地域の方々への配慮を心がけることです。そうすれば、利根川の豊かな自然は、きっとあなたに最高の笑顔と感動を与えてくれるでしょう。
さあ、最新の川の状況を確認し、遊漁券を手に入れ、安全装備を整えたら、6月の利根川上流へ、忘れられない思い出作りの冒険に出かけましょう!