鮒釣りの魅力と奥深さ:はじめの一歩

日本の風光明媚な水辺で古くから親しまれてきた鮒(フナ)釣りは、釣りの楽しさと奥深さを教えてくれる、初心者にとって最適な入門となるでしょう。「釣りはフナに始まり、フナに終わる」という言葉があるように、この釣りは釣りの基本的な技術を学ぶ出発点であると同時に、生涯を通じて探求できる多様性と深みを持っています。この言葉は、フナ釣りが提供する学びの道のりが、単に技術を習得するだけに留まらないことを示唆しています。フナという魚は日本全国の多様な水域に生息し、その環境への適応力の高さから、釣り人にとっては常に身近な存在です。そのため、初心者にとっては最初の成功体験を得やすく、経験を積んだ釣り人にとっても、季節や場所、対象とするフナの種類によって異なる戦略や技術が求められるため、飽きることのない魅力があります。
この記事では、フナ釣りの世界への第一歩を踏み出す方々のために、代表的なフナの種類、手軽に揃えられる道具、基本的な釣り方、そして釣果を伸ばすための秘訣まで、分かりやすく丁寧に解説していきます。フナ釣りは、高価な道具を必要とせず、近所の小川や池、用水路などで気軽に始められる点も大きな魅力です。この記事を通じて、フナ釣りの楽しさに触れ、豊かな自然の中で過ごす素晴らしい時間を体験するためのお手伝いができれば幸いです。
まずは知っておこう!日本の代表的なフナの種類

フナ釣りを楽しむ上で、まず対象となるフナの種類について知っておくことは大切です。フナの分類は専門的に見ると複雑な側面もありますが、釣り人が一般的に意識するのは、主に「マブナ」と総称される種類と、独特の魅力を持つ「ヘラブナ」です。初心者にとっては、これらの大まかな違いを理解しておけば十分でしょう。
マブナ(真鮒) – 日本の身近なフナたち
「マブナ」とは、釣り人の間で広く使われる呼称で、特定の生物学的な種を指すのではなく、ヘラブナ(ゲンゴロウブナ)と区別するために、ごく普通に見られるフナ類を総称する言葉です。このマブナには、いくつかの代表的な種類が含まれます。
- ギンブナ(銀鮒)ギンブナは、日本全国の池や沼、川の流れの緩やかな場所などに広く生息しており、フナ釣りで最もよく出会う種類の一つと言えるでしょう。体色は背中側が褐色やオリーブ色で、腹側は銀白色をしています。成魚の大きさは一般的に10cmから30cm程度です。特筆すべきはギンブナの繁殖方法で、その多くはメスであり、他のコイ科魚類の精子を借りて受精の刺激だけを受け、母親と全く同じ遺伝情報を持つクローンとして発生する「雌性発生」という珍しい生態を持っています。このユニークな繁殖戦略が、ギンブナが広範囲に分布し、個体数を維持している大きな理由の一つと考えられます。この生物学的な特徴が、ギンブナを非常に一般的な存在にし、初心者が最初にフナを釣る際の主要な対象となる背景にあります。
- キンブナ(金鮒)キンブナは、ギンブナに比べてやや小型で、全長15cmほどのものが一般的です。その名の通り、体全体が黄色みを帯びているのが特徴で、体高もギンブナより低い傾向があります。関東地方や東北地方に比較的多く生息しているとされています。ギンブナとの見分け方としては、体色の違いと、やや細長い体型がポイントになります。
ヘラブナ(へら鮒) – 専門の釣り師も魅了するフナ
ヘラブナは、琵琶湖固有種であるゲンゴロウブナを原種とし、釣りの対象魚として品種改良されたものを指すことが多いです。その独特の体型と強い引きで、専門の釣り師たちを魅了し続ける人気のターゲットです。
最大の特徴は、マブナ類と比較して著しく体高が高く、扁平で円盤に近い体型をしている点です。大型のものは40cmを超えることもあります。
食性もマブナ類とは異なり、主に植物プランクトンを捕食しています。この食性の違いが、ヘラブナを専門に狙う際の独特な釣り方やエサの発展に繋がっています。
ヘラブナ釣りは、専用の仕掛け(バランスの取れた底釣り仕掛けなど)や、練り込まれた配合エサ、繊細な誘いのテクニックなどが求められる、やや専門性の高い釣りとして知られています。
フナの見分け方のポイント(初心者向け)
フナの種類を正確に見分けることは、個体差や地域差などもあり、熟練した釣り人でも難しい場合があります。初心者の方は、まず以下の簡単なポイントに注目してみましょう。
- 体型: 体が比較的細長いか、ある程度の体高がある(マブナの可能性)か、それとも明らかに体高が高く扁平で円盤に近い(ヘラブナの可能性)か。
- 体色: 全体的に銀白色か暗褐色(ギンブナの可能性)、あるいは黄色みを帯びている(キンブナの可能性)か。
多くの初心者にとって、最初に釣れるフナはマブナ類であることが多いでしょう。基本的な釣り方で気軽に楽しめるマブナから始め、釣りの経験を積む中で、より専門的な知識や技術が求められるヘラブナ釣りに挑戦していくというステップアップも、フナ釣りの奥深さの一つです。フナという魚種の中で、初心者向けの対象から、より高度な技術を要する対象へと自然な形でステップアップできるこの構造は、「フナに終わる」という言葉が示すように、釣り人が生涯を通じてフナ釣りに魅了され続ける理由の一つと言えるでしょう。
フナの種類比較
種類 | 主な特徴 | 平均サイズ | 見分けるポイント(初心者向け) |
マブナ(ギンブナ) | 体は側扁し、銀白色から暗褐色。 | 10~30cm | 一般的なフナの体型、銀色がかった体色。 |
マブナ(キンブナ) | 体はギンブナより体高が低い傾向、黄色みを帯びる。 | 約15cm | 小さめで金色がかった体色、ギンブナより体高が低い。 |
ヘラブナ(ゲンゴロウブナ) | 体高が著しく高く、円盤に近い体型。 | 40cmを超えることも | 明らかに平たい体型、他のフナより大型になることが多い。 |
鮒釣り初心者のための道具選び

フナ釣りを始めるにあたって、高価な専門道具は必要ありません。シンプルで扱いやすい道具を選べば、気軽に楽しむことができます。
竿(さお)
初心者の方には、「小物釣り用の万能竿」がおすすめです。これらの竿は多様な釣りに対応でき、価格も手頃で扱いやすいのが特徴です。
釣り場の規模にもよりますが、小川や池の岸辺などでは、1メートルから2メートル程度の短い竿が扱いやすいでしょう。フナは足元近くに潜んでいることも多いため、このくらいの長さで十分対応できます。経験を積んで、より広い場所や深い場所を狙うようになれば、3.6メートル程度の長めの竿も選択肢に入ってきます。
【へらぶな ヘラブナ ヘラ釣り へら用品 釣り 道具】へら竿 シマノ 紅月【AKATSUKI】 価格:16,555円~(税込、送料別) (2025/5/16時点) 楽天で購入 |
【へらぶな ヘラブナ ヘラ釣り へら用品 釣り 道具】へら竿 ダイワ 凛・E 口巻 竿掛二本物 価格:19,096円(税込、送料別) (2025/5/16時点) 楽天で購入 |
仕掛け(しかけ):ウキ釣りの基本
フナ釣りでは、「ウキ釣り」が最も一般的で、初心者にも分かりやすい釣り方です。ウキの動きで魚のアタリ(魚がエサに食いついた反応)を視覚的に捉えることができるため、釣りの楽しさを実感しやすいでしょう。
- 道糸(みちいと)ナイロン製のものが一般的で、価格も手頃です。太さは0.8号から1.5号程度がおすすめです。この範囲であれば、フナの引きに対応できる強度と、繊細なアタリを伝える感度のバランスが良いでしょう。
- ウキ(うき)初心者には、小型の「玉ウキ」や「棒ウキ」が扱いやすいでしょう。玉ウキはシンプルで風にも強く、棒ウキはより繊細なアタリを取りやすいという特徴があります。その他、「トウガラシウキ」 や、複数の玉が連なった「シモリウキ」 といった種類もありますが、まずは基本的な玉ウキか棒ウキから始めると良いでしょう。
- オモリ(おもり)ウキの浮力に合わせて、「ガン玉」と呼ばれる小さなオモリを取り付けます。「板オモリ」を小さく切って使うこともあります。オモリは、ウキを適切な姿勢で水面に立たせ、エサを狙ったタナ(水深)まで沈める役割があります。
- ハリス(はりす)道糸の先に結ぶ、針が付いた細い糸のことです。市販の仕掛けセットでは、道糸とハリスが一体になっているものや、あらかじめハリスに針が結ばれている「糸付き針」が便利です。
- 針(はり)フナ釣りには、「袖針(そでばり)」という形状の針が適しています。大きさは5号から7号程度が一般的です。
釣具店では、これらの仕掛けのパーツが全てセットになった「仕掛けセット」も販売されています。最初はこうしたセットを利用するのも、手軽に釣りを始められる良い方法です。複雑な結び方や部品の選択に悩むことなく、すぐに釣りの実践に移れるため、初心者が最初のハードルを感じることなく、キャスティングやアタリの感知、魚とのやり取りといった釣りの本質的な楽しさを体験する上で非常に有効です。
おり釣具 オリジナル 彩賀 ヘラブナ 釣りセット (へら竿 玉網 玉の柄 竿掛け 大砲万力 へら浮き 仕掛け) (ori-780391)|ヘラ竿 9尺 ヘラブナ竿 ヘラウキ 玉柄 竿掛 1本物 万力 セット ハリ 釣り おり 釣具 道具 へらぶな ヘラブナ 竿 釣り 管理池 価格:25,520円(税込、送料無料) (2025/5/16時点) 楽天で購入 |
【エントリーで最大P10倍! 5/9 20:00スタート! 】まるふじ へらまぶな釣りセット 5号 8尺 K-108 (仕掛け) ゆうパケット可 価格:484円(税込、送料別) (2025/5/16時点) 楽天で購入 |
エサ(えさ):フナの好物
マブナ類は雑食性で、様々なものを食べます。一方、ヘラブナは主に植物プランクトンを捕食します。
- 生き餌(いきえさ)「赤虫(アカムシ)」はフナ釣りの定番エサで、非常に効果的です。また、「ミミズ」も手に入りやすく、フナの食いも良い優れたエサです。
- 練り餌(ねりえさ)生き餌の扱いに抵抗がある方には、粉末状のエサを水で練って作る「練り餌」がおすすめです。保存も簡単で、使う分だけ作れるので便利です。市販の練り餌には、フナ全般に対応するものや、ヘラブナ専用に配合されたものなど、様々な種類があります。
あると便利な小物
- 仕掛け巻き:仕掛けを整理して持ち運ぶのに便利です。
- ハサミ:糸を切るのに必須です。
- 針外し:魚の口から安全に針を外すために使います。
- タオル:手を拭いたり、魚を掴んだりする際に役立ちます。
- エサ箱:生き餌や練り餌を入れておく容器です。
- 水汲みバケツ:手を洗ったり、エサを練ったりするのに使います。
- 小さな椅子:長時間の釣りでも快適に過ごせます。
基本の仕掛けパーツ
パーツ | 推奨/例 | ポイント |
竿 | 小物万能竿 | 1~2m(小規模な釣り場向け)、扱いやすく最初の1本に最適。 |
道糸 | ナイロン糸 0.8号~1.5号 | 強度と感度のバランスが良い。 |
ウキ | 玉ウキ または 小型棒ウキ | 見やすく、アタリが分かりやすいものを選ぶ。 |
オモリ | ガン玉 | ウキの浮力に合わせて調整。 |
針 | 袖針 5号~7号 | フナの口に合わせたサイズ。 |
【図解】基本のウキ釣り仕掛けと作り方

ここでは、フナ釣りの基本となるウキ釣り仕掛けの作り方を解説します。シンプルな仕掛けなので、初心者の方でも簡単に作ることができます。
(ここに、竿先から道糸、ウキ止め、ウキ(玉ウキまたは棒ウキ)、ガン玉(複数)、針(袖針)が順番に描かれ、各パーツに日本語で名称が記された仕掛けのイラストを配置するイメージです。道糸がウキや針に接続される様子が分かるように矢印などで示すとより分かりやすくなります。)
仕掛けの組み立て手順:
- 竿への道糸の接続:リールのない延べ竿(のべざお)の場合は、竿の先端にあるリリアンと呼ばれる紐に道糸を結びつけます。リール付きの竿の場合は、道糸を竿のガイド(糸を通すリング)に通してからリールに巻きつけます。
- ウキ止めの装着:道糸にウキ止めゴムを通すか、ウキ止め糸を結びます。ウキ止めは道糸上を移動させることができ、これでウキから針までの長さ(タナ)を調整します。
- ウキの装着:道糸をウキの環に通すか、ウキゴムを使って固定します。
- オモリの取り付け:ウキの下の道糸にガン玉を数個取り付けます。オモリの重さは、ウキが水面で適切に立つように調整します。軽すぎるとウキが寝てしまい、重すぎると沈んでしまいます。
- 針の結束:道糸の先端に針を結びます。初心者の方は、あらかじめ糸が付いている「糸付き針」を使うと簡単です。
仕掛け全体の長さは、一般的に竿の長さと同じくらいが良いとされていますが、これはあくまで目安です。特に1~2mの短い竿で浅場を釣る場合や、逆に深い場所を狙う場合は、実際の水深に合わせてウキ下の長さを調整することが最も重要です。この「タナ合わせ」が釣果を左右する鍵となります。
ヘラブナ狙いの底釣り仕掛け(参考)
ヘラブナ釣りでは、より専門的な「底釣り」の仕掛けが用いられることが多くあります。特徴としては、魚を寄せるための「バラケエサ」と、実際に食わせるための「クワセエサ」を2本の針に付けて使うことが挙げられます。これはより高度なテクニックであり、まずは基本的なマブナ向けのウキ釣り仕掛けに慣れることから始めましょう。
マブナ狙いのシモリウキ仕掛け(参考)
マブナ釣りで、特に警戒心の強い魚や微細なアタリを取るために「シモリウキ仕掛け」が使われることもあります。これは、道糸に数珠のように複数の小さな玉ウキ(シモリウキ)を数個連ねた仕掛けで、エサがゆっくりと自然に沈んでいく様子を演出し、魚に違和感を与えにくいとされています。これも面白い仕掛けですが、まずは基本のウキ釣りをマスターしてから挑戦してみると良いでしょう。
実践!鮒釣りの基本テクニックとコツ

道具と仕掛けの準備ができたら、いよいよ実践です。ここでは、フナを釣るための基本的なテクニックと、釣果を上げるためのコツを紹介します。
都市近郊を流れる川、例えば多摩川のような場所でも、これから紹介するような条件に合致するポイントを見つけることができれば、フナ釣りを十分に楽しむことが可能です。
(ここに、穏やかな川辺や池のほとりでフナ釣りを楽しんでいる様子の、一般的で魅力的な画像を配置するイメージです。特定の場所に限定されない、フナ釣りの雰囲気が伝わるものが望ましいです。)
ポイント選びのコツ:フナはどこにいる?
フナが好む場所には、いくつかの共通した特徴があります。
- 流れが緩やかで、水がよどみ過ぎない場所: フナは急な流れを嫌い、穏やかな水を好みますが、完全に停滞した水よりも、わずかに水の動きがある場所が良いでしょう。
- 障害物の周り: 水草の茂み、沈んでいる石や倒木、岸辺の植物が水面を覆っているような場所は、フナにとって格好の隠れ家であり、エサも豊富なことが多いです。
- 適度な濁り: フナは警戒心が強い魚なので、水が澄み切っている場所よりも、少し濁りがあって水中の様子が見えにくい場所の方が、安心してエサを追う傾向があります。
- 日陰: 特に日差しの強い日中は、岸辺の植物や橋の下などが作る日陰に集まることがあります。
フナは警戒心が強いため、濁りのある水や物陰を好むという習性を逆手に取り、そうした場所を積極的に狙うことで、初心者の成功率を高めることができます。魚が安心してエサを探せる環境を選ぶことが、釣果への近道となるのです。
タナの合わせ方:フナのいる深さにエサを届ける
「タナ」とは、ウキから針までの長さ、つまりエサを沈める深さのことです。マブナをはじめとする多くのフナは、基本的に川や池の底近くでエサを探す習性があります。そのため、このタナ合わせがフナ釣りにおいて最も重要なテクニックの一つと言えます。
- 底ダチの取り方(底までの深さを測る方法): 正確に底までの深さを測るには、まずエサを付けずに、オモリだけでウキが適切に立つように調整します。次に、針に普段使うオモリより少し重いオモリ(タナ取りオモリ)を付け、ウキがギリギリ水面に出るか沈むかするまでウキ下の長さを調整します。この時のウキ下の長さが、その場所の正確な水深となります。
- 実釣でのタナ調整: 底ダチが取れたら、タナ取りオモリを外し、エサを付けて釣りを開始します。基本は、エサが底スレスレか、わずかに底に着く程度(底トントン)に調整します。アタリがない場合は、少しずつタナを深くしたり浅くしたりして、フナがエサを食ってくる深さ(食いダナ)を探します。エサが底から離れすぎていると、フナ以外の魚(例えばブルーギルなど)が先に食いついてしまうこともあります。
タナ合わせは、フナ釣りだけでなく、あらゆるウキ釣りにおいて基本となる重要な技術です。フナはタナが合えば比較的素直に反応してくれるため、この技術を習得するための良い練習相手となります。「フナに始まり」と言われるように、フナ釣りでタナ合わせをマスターすることは、将来他の釣りへステップアップする上でも大いに役立つでしょう。
エサの付け方:フナが食べやすいように
- 赤虫: 2~3匹を針にチョン掛け(軽く刺す)します。こうすることで、赤虫が水中で自然に動き、フナにアピールします。
- ミミズ: 小さなミミズや、大きなミミズを適当な長さに切って使います。針先が少し出るように通し刺しにします。濁りが強い時は、ミミズを丸ごと一匹付けると目立ちやすくなります。
- 練り餌: 適量を丸めて、針が隠れるように、そして針の結び目まですっぽり包むように付けます。エサ持ちが良く、かつ水中で適度にバラけてフナを寄せるように調整するのがコツです。
アタリの取り方とアワセ:フナからのサインを見逃さない
- ウキの動きに注目: フナがエサに食いつくと、ウキに様々な変化が現れます。スーッと沈み込んだり、逆に少し浮き上がったり、横に動いたり、ピクピクと震えたりします。ヘラブナのアタリは非常に繊細で、ウキのトップ(先端)が1目盛り沈むか沈まないかといった微妙な変化であることも多いです。マブナの場合は、もっと明確にウキが引き込まれることもあります。
- アワセ(フッキング): ウキにアタリが出たら、竿を軽く持ち上げて針をフナの口に掛けます。タイミングが重要で、早すぎても遅すぎても上手く掛かりません。最初のうちは、「おやっ?」と感じたら積極的にアワセてみるのが良いでしょう。何度も経験するうちに、最適なタイミングが掴めてきます。
釣果アップの秘訣:もう一歩進んだテクニック
- エサはこまめに変えよう: エサは時間が経つと魅力が薄れてしまいます。赤虫は白っぽくなり、練り餌は水分を吸ってふやけたり、逆に乾燥して硬くなったりします。フナの食いが悪くなる原因になるため、こまめに新しいエサに交換しましょう。
- 待ち過ぎないことがポイント!: フナはいる場所といない場所が比較的はっきりしていることが多い魚です。一つのポイントで粘り強く待つのも良いですが、ある程度の時間(例えば15分~30分)アタリがなければ、思い切って場所を変えてみるのも有効な戦略です。積極的に魚のいる場所を探し当てるという意識でいると、釣果に繋がりやすくなります。この「移動しながら探る」という考え方は、フナ釣りに限らず、多くの釣りで役立つ普遍的な知恵です。魚は均一に分布しているわけではないため、自ら動いて魚の居場所を見つけ出す努力が、釣果を大きく左右するのです。
- 誘い(さそい): 時折、竿先をゆっくりと持ち上げて、またゆっくりと下ろすことで、エサに動きを与え、フナの食い気を誘うテクニックです。特にシモリウキ仕掛けのマブナ釣りなどで効果的とされています。
- 撒き餌(まきえ)(上級者向け): フナをポイントに寄せるために、あらかじめエサ(撒き餌)を撒いておく方法もあります。ただし、釣り場によっては禁止されている場合もあるので注意が必要です。
楽しく安全に!鮒釣りのマナーと注意点

フナ釣りは手軽に楽しめるレジャーですが、安全に、そして他の人や自然環境に配慮して楽しむためには、いくつかのマナーと注意点を守ることが大切です。
先行者優先:気持ちよく釣り場を共有する
釣り場に先に釣りをしている人がいたら、その人の邪魔にならないように十分な距離を取りましょう。近くで釣りをしたい場合は、「お隣よろしいですか?」などと一声かけるのがマナーです。
ゴミは持ち帰る:釣り場をきれいに保つ
釣りで出たゴミ(エサの袋、仕掛けのパッケージ、飲食物の容器など)はもちろん、特に使い終わった釣り糸や釣り針は、野生動物に絡まるなど危険なので、必ず持ち帰りましょう。
周囲への配慮:迷惑をかけない行動を
大声で騒いだり、音楽を大音量で流したりするのは控えましょう。特に早朝や住宅が近い場所では静かに楽しむことが大切です。仕掛けを投げる(キャストする)際は、周囲に人がいないか、障害物がないかなどを十分に確認しましょう。
安全確認:自分の身は自分で守る
- 天候の確認: 釣行前には必ず天気予報を確認し、悪天候が予想される場合は釣りを中止または延期しましょう。特に雷は非常に危険です。カーボン製の釣り竿は電気を通しやすいため、雷が鳴り出したらすぐに竿をたたんで避難してください。また、雨が降ると川の水位が急に上昇することがあるので注意が必要です。
- 足元の安全: 水辺は滑りやすい場所が多いので、足元には十分注意しましょう。
- 危険な生物: マムシやスズメバチ、ブヨといった危険な生物にも注意が必要です。むやみに草むらに入ったり、見慣れない生物に近づいたりしないようにしましょう。
- 遊漁券の確認: 河川や湖沼によっては、釣りをするために遊漁券(釣り許可証)が必要な場合があります。事前に管轄の漁業協同組合や釣具店などで確認し、必要な場合は購入しましょう。
キャッチ&リリースについて:魚への配慮
釣った魚を持ち帰らない場合は、できるだけ魚にダメージを与えないように優しく扱い、速やかに水に戻してあげましょう(リリース)。魚体に触れる際は、手を水で濡らしてから触ると、魚の体表を保護している粘膜を傷つけにくいです。持ち帰る場合も、必要以上に持ち帰らず、地域のルール(サイズ制限や持ち帰り匹数制限など)を守りましょう。
まとめ:鮒釣りの世界へようこそ!

この記事では、初心者の方に向けて、フナ釣りの基本的な知識やテクニック、マナーについて解説してきました。フナ釣りは、手軽に始められる一方で、知れば知るほど奥深さを感じられる魅力的な釣りです。
身近な自然の中で、静かにウキの動きを見つめる時間は、日常の喧騒を忘れさせてくれる貴重なひとときとなるでしょう。この記事が、皆さんの楽しいフナ釣りライフの第一歩となれば幸いです。安全に注意し、マナーを守って、素晴らしい釣りの世界を存分にお楽しみください。