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【完全ガイド】アユの友釣りを始めよう!初心者向けに釣り方のコツと仕掛けを徹底解説

「アユの友釣り」と聞くと、なんだか専門的で難しそう、道具も高価でハードルが高い、と感じていませんか?しかし、その基本さえ理解すれば、初心者でも清流の女王・アユとの出会いを存分に楽しむことができる、奥深く魅力的な釣りです。

この記事では、これからアユの友釣りを始めてみたいと考えているあなたのために、その基本原理から必要な道具、具体的な釣り方の手順、そして釣果を左右するポイント選びのコツまで、専門家が徹底的に、そして丁寧に解説します。この記事を読めば、友釣りの「なぜ?」が「なるほど!」に変わり、自信を持って川に立つことができるはずです。さあ、一緒に友釣りの世界の扉を開きましょう。

清流の女王「アユ」と「友釣り」の魅力とは?

アユの友釣りの核心を理解するためには、まず主役であるアユの生態を知ることから始まります。アユは成長すると、川底の石に付着した良質なコケ(釣り人は「アカ」と呼びます)を主食にするようになります。そして、そのエサ場を確保するために、自分の「縄張り(なわばり)」を作り、侵入してくる他のアユを激しく追い払うという強い習性を持っています。

「友釣り」は、このアユの縄張り意識を巧みに利用した、日本独自の伝統釣法です。エサを使うのではなく、生きた「オトリ鮎」に「ハナカン」という鼻輪と「掛け針」という針を付け、野アユの縄張りへ巧みに泳がせます。すると、縄張りを侵されたと怒った野アユが、オトリ鮎に猛然と体当たりを仕掛けてきます。その瞬間、オトリ鮎に仕込まれた掛け針に野アユが掛かる、というのが友釣りの基本的な仕組みです。

この釣りの最大の魅力は、単に魚を釣るという行為を超えた、自然との深い一体感にあります。それは、川の流れを読み、水温や水の透明度を感じ、アユの気持ちになって「どこに縄張りを作るだろうか?」と考え、オトリ鮎の気持ちになって「どうすれば侵入者のように見せられるか?」と戦略を練る、まさに「川との対話」です。竿を通して伝わるオトリ鮎の動き、そして野アユがアタックしてくる「ガツン!」という衝撃は、一度味わうと忘れられないほどの興奮と感動を与えてくれます。

友釣りが楽しめるシーズンは、一般的に河川の解禁日である6月から10月頃までと限られています。この短い夏の風物詩であることも、アユ釣りをより特別なものにしているのです。

友釣りを始める前に:必須の準備と心構え

友釣りの成功は、川に足を踏み入れる前の準備で半分決まると言っても過言ではありません。ここでは、道具を揃える前に必ず知っておくべき、遊漁券の購入から釣り場の選び方、そして最も大切なマナーについて解説します。これらの「ソフトスキル」を身につけることが、安全で楽しい一日を過ごすための最初のステップです。

まずは遊漁券とオトリ鮎を手に入れよう

遊漁券(ゆうぎょけん)

日本の多くの河川は、地元の漁業協同組合(漁協)によって管理されています。これらの川で釣りをするためには、「遊漁券」の購入が法律で義務付けられています。遊漁券を持たずに釣りをすると「密漁」となり、罰則の対象となるため、必ず釣りを始める前に購入してください。

遊漁券には、その日1日限り有効な「日券(にっけん)」と、シーズン中ずっと使える「年券(ねんけん)」の2種類があります。購入場所は、川の近くにある釣具店やオトリ鮎を販売している「オトリ屋」、一部のコンビニエンスストア、近年では「つりチケ」のようなオンラインサービスでも購入可能です。遊漁券の収益は、アユの放流や河川環境の整備など、私たちが釣りを楽しむための大切な資金として活用されています。

オトリ鮎

友釣りの「友」であり、釣りの成否を握る重要なパートナーがオトリ鮎です。オトリ鮎は、釣りをする川の近くにある「オトリ屋」で購入します。初心者の方は、まず2〜3匹購入するのが一般的です。選ぶ際は、背中が黒っぽく、元気に泳ぎ回っている健康な個体を選びましょう。

ここで非常に重要なルールがあります。それは、他の河川で釣ったアユや購入したオトリ鮎を、別の川に持ち込まないということです。これは、「冷水病」をはじめとする魚の病気の蔓延を防ぐためです。一つの川の生態系を守るため、このルールは必ず守ってください。

初心者でも安心!釣り場の選び方

どの川のどのポイントに入れば良いのか、最初は誰もが悩みます。しかし、いくつかのポイントを押さえれば、初心者でも比較的安全に楽しめる場所を見つけることができます。

  • 川の規模で選ぶ: 初めての方は、川幅が広く水深のある下流域よりも、川底の様子が見やすく、水深も比較的浅い上流域の小規模な河川から始めるのがおすすめです。安全に川を歩くことができ、ポイントも視覚的に判断しやすいためです。
  • 目印となる場所: オトリ屋さんの前や、橋の周辺は、アクセスが良くアユの放流量も多い傾向があるため、初心者にとって実績の高いポイントであることが多いです。まずはそうした場所から試してみるのが良いでしょう。また、先行している釣り人がどこで竿を出しているかを観察するのも、良いポイントを見つけるヒントになります。
  • 事前の情報収集: 釣行前には、必ず目的の川を管轄する漁協のウェブサイトなどで、川の状況(増水や渇水)を確認しましょう。特に上流にダムがある川では、放水による急な増水に注意が必要です。

覚えておきたい友釣りのマナー

友釣りは多くの人に愛されている釣りだからこそ、お互いが気持ちよく楽しむためのマナーが存在します。トラブルを避け、一日を楽しく過ごすために、以下の点を心に留めておきましょう。

  • 挨拶を交わす: 川で他の釣り人に出会ったら、「こんにちは」と挨拶を交わすのが基本です。これは最も大切なコミュニケーションの第一歩です。
  • 十分な間隔をあける: 友釣りでは長い竿を使い、広範囲を探ります。他の釣り人との間には、最低でも竿1本分(約10m)以上の十分な距離を保ちましょう。
  • 先行者に配慮する: 先に釣りをしている人(先行者)がいるポイントの近くに入る場合は、必ず「お隣、入らせていただいてもよろしいですか?」と一声かけるのがマナーです。
  • 川を横切る時: 他の釣り人の前を横切って川を渡る際は、竿をたたむか、釣り人の邪魔にならないように後ろを大きく迂回して通るようにしましょう。

これらの準備と心構えが、あなたの最初の一匹への近道となります。

これだけは揃えたい!アユの友釣り道具一式

友釣りには専用の道具がいくつか必要ですが、近年は価格も手頃になり、初心者でも始めやすくなりました。ここでは、必ず揃えたい必須の道具から、あると便利なアイテムまで、それぞれの役割と選び方のポイントを解説します。

友釣りの心臓部:鮎竿と仕掛け

鮎竿(あゆざお)

友釣り専用の竿は、オトリ鮎を広範囲に、そして繊細に操作するために、8mから9mという非常に長いのが特徴です。高価なモデルは数十万円もしますが、初心者のうちは2万円から4万円程度のエントリーモデルで全く問題ありません。高価な竿は軽量で高感度ですが、その分デリケートで破損時の修理費も高額になりがちです。まずは扱いやすい入門モデルで友釣りの感覚を掴むことを優先しましょう。

仕掛け(しかけ)

友釣りの仕掛けは一見複雑に見えますが、初心者はまず各メーカーから販売されている「完成仕掛け」を購入するのが最も確実で簡単です。これは、竿に取り付ければすぐに釣りが始められるように、必要なパーツがすべてセットになっているものです(掛け針は別売りの場合が多い)。根掛かりなどで失うこともあるので、予備を2〜3セット用意しておくと安心です。

仕掛けは主に以下のパーツで構成されています。

  • 天井糸(てんじょういと): 竿の先端(穂先)に接続する部分の糸です。
  • 水中糸(すいちゅういと): 水中に入るメインのライン。素材によって特性が異なりますが、初心者は扱いやすいフロロカーボン製の0.175号〜0.2号あたりが万能でおすすめです。
  • ハナカン: オトリ鮎の鼻に通す金属製のリングです。
  • 逆さ針(さかさばり): オトリ鮎の尻ビレ付近に打ち、仕掛けを固定するための針です。
  • 掛け針(かけばり): 野アユを掛けるための針で、「イカリ針」と呼ばれる3本や4本の針が一体になったものが主流です。初心者は、一度掛かるとバレにくい(魚が外れにくい)とされる3本イカリの6.5号〜7.0号あたりから試してみるのが良いでしょう。

オトリを活かすための重要アイテム

オトリ缶

オトリ屋で購入したオトリ鮎を、元気なまま釣り場まで運ぶための容器です。多くはエアポンプ(ブクブク)を取り付けられるようになっており、オトリの鮮度を保つために必須のアイテムです。

引き舟(ひきふね)

釣りをする際に、オトリ鮎や釣れた野アユを活かしておくための、舟形の容器です。腰のベルトにロープで繋ぎ、常に水中に浮かべて使用します。釣れた野アユをこの引き舟に入れ、次のオトリとして使う。この「釣りの循環」を生み出すのが引き舟の重要な役割です。

川に立ち、魚を取り込むための装備

鮎タモ

釣れたアユを取り込んだり、オトリを交換したりする際に使う、柄の短い専用の網です。初心者の方は、アユをキャッチしやすいように、網の直径が39cm程度の大きめのサイズを選ぶのがおすすめです。

鮎タビ

川底のコケで滑りやすい石の上を安全に歩くための、靴底がフェルト素材になった専用の履物です。転倒防止のため、これは絶対に必要不可欠な安全装備です。

鮎タイツ・ウェーダー

真夏でも川の水は冷たく、長時間水に浸かっていると体温を奪われます。保温と、岩などから肌を守るために、体にフィットするネオプレーン素材のタイツやウェーダーを着用します。

快適性と機能性を高める服装と小物

  • 鮎ベスト: 予備の仕掛けやハサミなどの小物を収納するための、ポケットがたくさん付いたベストです。
  • 鮎ベルト: 引き舟を繋いだり、タモを差したりするために腰に巻くベルトです。
  • 偏光レンズ(サングラス): 水面の光の反射を抑え、水中の石の状態やアユの姿を見やすくするための必需品です。安全に川を歩くためにも極めて重要です。
  • 帽子: 炎天下での釣りになるため、熱中症対策として必ず着用しましょう。
  • 背針(せばり): ハナカンの少し上に付け、オトリの背中に刺して使う小さな針です。流れの速い場所でオトリが浮き上がるのを防ぎ、潜らせやすくする効果があります。「初心者の強い味方」とも言われる便利なアイテムです。
道具役割初心者向け仕様・ヒント初期費用目安
鮎竿オトリ鮎を操作し、野アユを取り込むための竿8.5m〜9.0mの入門モデルで十分。20,000円〜40,000円
完成仕掛け竿とオトリを繋ぐための糸やパーツのセット予備を含め2〜3セット用意。フロロカーボン0.175号などが標準。1,500円〜2,000円/個
掛け針野アユを掛けるためのイカリ針3本イカリの6.5号〜7.0号がバレにくくおすすめ。500円〜1,000円/パック
オトリ缶オトリ鮎を釣り場まで運ぶための容器エアポンプが付けられるタイプが必須。3,000円〜15,000円
引き舟釣り中にオトリや釣ったアユを活かす容器容量6L前後が標準的。5,000円〜10,000円
鮎タモ魚を取り込むための網直径39cmの大きめがキャッチしやすい。3,000円〜10,000円
鮎タビ川の中を安全に歩くための滑り止め付きの履物フェルト底が必須。安全に関わるため妥協しない。5,000円〜15,000円
鮎タイツ保温と保護のためのウェットスーツ素材のタイツ2mm〜3mm厚がオールシーズン使いやすい。8,000円〜20,000円
鮎ベルト引き舟やタモを装着するためのベルト専用品でなくても良いが、Dカン付きが便利。2,000円〜5,000円
鮎ベスト小物を収納するためのフィッシングベストポケットが多いと便利。必須ではないが快適性が向上。5,000円〜15,000円
偏光グラス水中を見るためのサングラス目の保護とポイント探しの必需品。5,000円〜
帽子日除け、熱中症対策必需品。普段使いのものでも可。2,000円〜

実釣編:オトリ鮎の準備から投入まで

さあ、いよいよ実践です。ここからは、川辺に立ってから魚を釣り上げるまでの一連の流れを、ステップ・バイ・ステップで解説します。理論から実践へ、頭で理解したことを体で覚えていきましょう。

オトリを弱らせない!ハナカンと逆さ針の付け方

友釣りにおいて、オトリ鮎の元気さは釣果に直結します。多くの初心者がここで手間取り、オトリを弱らせてしまうため、この手順は非常に重要です。焦らず、優しく、丁寧に行いましょう。

  1. タモの中で作業する: まず、引き舟からオトリ鮎をタモ網に移します。この時、タモは半分ほど水に浸けておくとアユが落ち着きます。万が一アユが暴れても逃げられないように、すべての作業は必ずタモの中で行いましょう。
  2. 優しく掴む: オトリ鮎を掴む際は、人差し指と親指でそっと目を隠すようにして持つと、暴れにくくなります。
  3. ハナカンを通す: ハナカンの先端を、アユの鼻の穴にまっすぐ、スーッと通します。初心者のうちは、持ちやすいように少し大きめ(7mm程度)のハナカンを使うと良いでしょう。
  4. 逆さ針を打つ: 次に、尻ビレの付け根あたりに逆さ針を打ちます。野アユが掛かった時にオトリから外れやすくするため、皮一枚をすくうように浅く刺すのがコツです。
  5. イトのたるみを確認する: 最後に、ハナカンと逆さ針の間のイト(中ハリス)に、少し余裕(指1本分くらいのたるみ)があるか確認します。このたるみが、オトリ鮎が自然に泳ぐための「遊び」になります。

アユはどこにいる?釣れるポイントの見つけ方

元気なオトリを準備できたら、次は野アユが潜むポイントを探します。アユの居場所は、川の地形と石の状態から読み解くことができます。

石の状態を読む

最も重要な手がかりは、石に付いた「ハミ跡」です。これは、アユが石の表面のコケを食べた跡で、まるで磨かれたようにクッキリと跡が残っています。黒っぽく光って見える石は、良質なコケが付いている証拠であり、元気な縄張りアユがいる可能性が高い、一級のポイントです。偏光グラス越しに川底をじっくりと観察し、このような「食われている石」を探しましょう。

ポイントの種類と特徴

川には流れの速さや水深によって、いくつかの特徴的な地形があります。

  • 瀬(せ): 川の流れが速く、水面が白く波立っている場所です。酸素が豊富で良質なコケが育ちやすいため、最も活発で強い縄張りアユが付きやすいポイントです。アタリも激しく、友釣りの醍醐味を味わえますが、オトリの操作には少し慣れが必要です。
  • トロ場(とろば): 流れが緩やかで、ある程度の水深がある場所です。オトリを弱らせにくく、操作もしやすいため、初心者が友釣りの基本を練習するのに最適なポイントと言えます。
  • 淵(ふち): 川が深くなっている場所です。アユは普段、淵のような深みで休み、食事のために瀬へ移動すると言われています。そのため、淵から瀬へ続くカケアガリ(傾斜)や、淵に隣接した瀬の始まり(瀬肩)や終わり(瀬落ち)は、アユの通り道となる絶好の狙い目です。

状況を制する!友釣りの3大釣法をマスターする

ポイントを見つけたら、いよいよオトリを送り込みます。友釣りには、川の状況やアユの活性に合わせて使い分ける、代表的な3つの釣法があります。それぞれの特徴を理解し、引き出しを増やすことが釣果アップに繋がります。

オトリを自在に操る「引き釣り」

  • 基本概念: 釣り人が積極的にオトリをコントロールする釣法です。常に糸に一定のテンションをかけ、狙ったポイントへオトリを「引いて」誘導します。
  • 竿の操作: 竿を水面に対して30度〜45度程度の低い角度に構え、オトリが川底から浮き上がらないように管理します。上流から下流へ、石を一つずつ探るように攻めるのが基本です。
  • 適した状況: 流れの速い「瀬」で、オトリを流れに負けないように特定の場所に留めたり、ピンポイントで攻めたりする場合に非常に有効です。

オトリの生命力を活かす「泳がせ釣り」

  • 基本概念: 釣り人が管理するのではなく、オトリ鮎自身の泳ぐ力を最大限に活かして、自然に野アユを探させる釣法です。よく「犬の散歩」に例えられます。
  • 竿の操作: 竿を立て気味に構え、糸に「オバセ」と呼ばれる意図的なたるみを作って操作します。このオバセの量を調整することで、水中糸が受ける水の抵抗が変化し、オトリの泳ぐスピードや方向をコントロールします。
  • 適した状況: 流れの緩やかな「トロ場」や、広範囲を探りたい場合に適しています。また、アユの活性が低い解禁初期など、より自然な動きでアピールしたい時にも効果的です。

じっくり攻める「止め釣り」

  • 基本概念: 「引き釣り」の応用で、有望な石の周りなどでオトリの動きを「止め」、一点でじっくりと野アユを誘う釣法です。
  • 竿の操作: 絶妙なテンション管理で、オトリが流れに負けずに、かつ底の石に隠れてしまわないように、その場で定位させ続けます。1つのポイントで1分〜3分ほど待つこともあります。
  • 適した状況: 多くの釣り人が入ってプレッシャーが高くなった場所(場荒れしたポイント)や、追い気の弱いアユに対して、しつこくアピールして縄張り意識を刺激したい時に使います。

この3つの釣法は、どれが優れているというものではなく、状況に応じて使い分けることが重要です。その判断の根底にあるのが、「テンション管理」「竿の感度」「オトリの操作」という三位一体のフィードバックループです。選んだ釣法によって必要なテンションが決まり、そのテンションが竿に伝わる感度を左右し、竿から得られた情報(オトリの動きや野アユの反応)を元に次の操作を決める。この連続した対話こそが、友釣りの上達の鍵となります。

釣法基本概念竿の操作糸のテンションメリットデメリット適した状況
引き釣り釣り人がオトリを積極的に操作し、ポイントへ誘導する。竿を低く構え(30〜45度)、常にテンションをかけて管理する。張り気味(ゼロオバセ〜軽いテンション)ピンポイント攻撃が得意。流れに強い。オトリが疲れやすい。動きが不自然になりがち。流れの速い瀬、特定の石を狙う時。
泳がせ釣りオトリの泳ぐ力を活かし、自然に泳がせて探らせる。竿を立て気味に構え、「オバセ(たるみ)」を調整して操作する。緩め気味(オバセを作る)広範囲を探れる。動きが自然でアユが警戒しにくい。オトリのコントロールが難しい。根掛かりしやすい。流れの緩いトロ場、高活性時に広範囲を探る時。
止め釣り一つのポイントでオトリを定位させ、じっくりと誘う。引き釣りの構えで、一点にオトリを留める繊細なテンション管理。絶妙な張らず緩めず追い気の弱いアユに効く。プレッシャーに強い。時間がかかる。根気が必要。場荒れしたポイント、ここ一番という大石周り。

その瞬間を逃さない!アタリの判別と取り込みの極意

すべての準備と操作は、この瞬間のためにあります。野アユがオトリにアタックし、竿先に生命感が伝わるクライマックス。ここでは、その貴重なアタリを見極め、確実に一匹を手にするための技術を解説します。

アタリを見極める:目印の動きと竿先の感覚

アタリの出方

野アユがオトリにアタックする際の「アタリ」は、多くの場合、「ガツン!」あるいは「ギュン!」という明確な衝撃として竿先に伝わります。友釣りでは、この衝撃に対して特別に「アワセる(フッキングする)」動作は必要なく、野アユが勝手に針に掛かってくれます。

前アタリ(まえあたり)

上級者になると、本アタリの前に「前アタリ」と呼ばれる微細な信号を感じ取ることができます。これは、縄張りに侵入したオトリに対して、野アユが威嚇行動をとることでオトリが逃げ惑い、その動きが「コン」「ビンッ」といった小さな振動や、目印の不自然な揺れとして伝わるものです。これを感知できれば、心の準備ができ、より確実な釣果に繋がりますが、最初は分からなくても問題ありません。張らず緩めずの絶妙なテンション(ゼロオバセ)を保つことが、この繊細なアタリを感じるコツです。

根掛かりとの違い

初心者が最も混同しやすいのが、アタリと「根掛かり(川底の石などに針が引っかかること)」です。見分けるポイントは、衝撃の質と目印の動きです。

  • 根掛かり: 「グーッ」という鈍く重い感触で、竿先が引き込まれたまま動かなくなります。目印も水中に引き込まれたままピタッと停止します。
  • アタリ: 「ガツン!」という硬質で生命感のある衝撃で、その後、魚が走ることで竿先がさらに引き込まれます。目印は一気に下流へ飛んでいくように動きます。

バラシを防ぐ!2種類の取り込み方

アユが掛かったら、次はいよいよ取り込みです。ここで焦ると、せっかく掛けた魚を逃がす「バラシ」に繋がります。取り込み方には大きく2種類ありますが、初心者はまず「引き寄せ」を完璧にマスターしましょう。

引き寄せ(ひきよせ)

初心者には絶対におすすめの、最も確実で安全な取り込み方です。

アユが掛かっても、慌てて竿を立ててはいけません。急に水面に引き出すと、魚が暴れて針が外れてしまいます。竿の角度を保ったまま耐えていると、アユは流れに乗って下流方向へ円を描くように自然と自分の手元に寄ってきます。魚が十分近づいたら、ゆっくりと竿を操作して水中でタモ網に誘導し、優しくすくい取ります。

引き抜き(ひきぬき)

友釣りのイメージとしてよく描かれる、ダイナミックで格好良い上級者向けの取り込み方です。

竿の弾力を利用して、掛かったアユとオトリを一緒に空中へ放物線を描くように飛ばし、それをタモでキャッチします。素早く手返しができるため効率的ですが、タイミングやパワーコントロールが非常に難しく、失敗すると高確率でバラシに繋がります。まずは引き寄せを確実にできるようになってから、流れの緩い場所で小さなアユを相手に練習してみましょう。

友釣りの奥深い世界へようこそ

ここまで、アユの友釣りの基本を網羅的に解説してきました。専門用語や多くの道具に少し圧倒されたかもしれませんが、一つ一つのステップにはすべて意味があり、それらが連動して一匹の魚との出会いに繋がっています。

友釣りは、確かに奥が深い釣りです。同じ場所、同じオトリを使っても、上級者は初心者の5倍、10倍と釣果を上げることがあります。しかし、それは逆に言えば、学べば学ぶほど上達する「伸びしろ」が無限にあるということです。

最初から完璧を目指す必要はありません。まずはこの記事を参考に道具を揃え、近くの川のオトリ屋さんに話を聞きに行ってみてください。そして、川に立ち、オトリ鮎を泳がせてみてください。竿先に伝わるオトリの生命感、美しい川の景色、そして初めて野アユが掛かった時の衝撃。そのすべてが、あなたを友釣りの虜にするはずです。

釣れたアユは、ぜひ塩焼きで味わってみてください。自分で釣ったアユの香りと味は格別です。この素晴らしい釣りを未来の世代にも繋いでいくために、川のルールとマナーを守り、自然への感謝の気持ちを忘れずに、清流の女王との対話を楽しんでください。あなたの友釣りライフが、素晴らしいものになることを心から願っています。

ABOUT ME
Shin
釣歴32年のパパアングラーで子供を連れて行ける釣り場やキャンプ場を日々探して巡っています。役に立つ情報満載でブログをお届けさせていただきます(^^♪
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