タナゴ釣りは、その奥深さと手軽さから、多くの釣り愛好家を魅了し続けています。特に川でのタナゴ釣りは、身近な自然の中で美しい魚との出会いを楽しめる、まさに「小さな冒険」と言えるでしょう。この記事では、これから川のタナゴ釣りを始めてみたいという初心者の方々に向けて、釣り場の選び方から、必要な道具、代表的な仕掛け、効果的なエサ、そして釣果を伸ばすための基本的なテクニックやマナーに至るまで、分かりやすく丁寧にご紹介します。
タナゴ釣りってどんな釣り?その魅力と基本を知ろう

タナゴ釣りは、ただ魚を釣るという行為を超えた、多様な魅力に溢れています。繊細なアタリを捉える面白さ、季節ごとに変わるタナゴの美しい姿、そして何よりも、近所の小川や水路といった身近な場所で、手軽に自然と触れ合える点が大きな魅力です。まるで宝探しのように自分だけのポイントを見つけ出す喜びも、この釣りの醍醐味の一つと言えるでしょう。
小さな宝石!タナゴの魅力とは?
タナゴは「日本の淡水魚の宝石」とも称される美しい魚です。特に春から初夏にかけての繁殖期には、オスが鮮やかな婚姻色に染まり、その美しさは息をのむほどです。種類によって異なる色彩や模様を持ち、コレクションのように様々なタナゴを追い求める楽しさもあります。また、タナゴは非常に小さな魚でありながら、そのアタリは繊細で、釣り上げるには高度な技術と集中力が求められます。このゲーム性の高さも、多くの釣り人を惹きつけてやまない理由の一つです。
代表的なタナゴの種類と特徴
日本には多くの種類のタナゴが生息していますが、ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。
- タイリクバラタナゴ: もともとは外来種ですが、今や日本全国の河川や水路に定着しています。体長4~5cmほどと小型で、繁殖期(4~8月頃)のオスは鮮やかな虹色の婚姻色を呈します。口が非常に小さいため、極小の鈎でも掛かりにくいゲーム性の高さが特徴です。
- ヤリタナゴ: 日本の在来種で、分布域が最も広いタナゴの一つです。細長い体型をしており、小川や水路など、比較的流れのある場所を好みます。産卵期は4~8月頃で、オスは赤い婚姻色を纏います。
- カネヒラ: 在来種の中では最も大きくなる種類で、淀川水系以西の本州と九州北西部に生息しています。水草の生えた場所を好み、繁殖期(8~10月頃)にはオスが青緑色の美しい魚体に変化し、ヒレもピンクがかります。他の多くのタナゴと異なり、秋に産卵期を迎えるのが特徴です。
- シロヒレタビラ: 濃尾平野や琵琶湖淀川水系、山陽地方などに生息し、流れの緩やかな湖沼や河川のワンド(川本流から外れた水たまり)、消波ブロック周りを好みます。オスは白と黒のコントラストが美しい婚姻色を見せ、人気の高い種類です。
この他にも、アブラボテ、イチモンジタナゴ、マタナゴなど、地域によって様々なタナゴに出会うことができます。ただし、中にはセボシタビラのように国内希少野生動植物種に指定され、捕獲や飼育が禁止されている種もいるため、注意が必要です。
タナゴ釣りのベストシーズンはいつ?
タナゴが最も釣りやすいのは、水温が上昇し、タナゴの活性が高まる5月から9月頃です。この時期はタナゴが浅場で活発にエサを追うため、初心者の方でも比較的容易に釣果を得やすいでしょう。
一方、水温が下がる冬場は、タナゴは水温が安定する深場や流れの緩やかな場所に移動するため、釣れる場所が限られてきます。しかし、そうした「越冬ポイント」や「溜まり場」を見つけることができれば、一箇所にタナゴが集中していることも多く、数釣りが楽しめることもあります。タナゴの種類によっては、カネヒラのように秋が産卵期でベストシーズンとなるものもいます。
川のタナゴ釣りに必要な道具と仕掛けを揃えよう

タナゴ釣りは、その繊細さゆえに道具選びが釣果を大きく左右します。しかし、最初から高価なものを揃える必要はありません。ここでは、川のタナゴ釣りを始めるにあたって、基本的な道具と仕掛けについて解説します。
まずは基本のタックル(竿・糸・オモリ・針)から
タナゴ釣りは非常に繊細な釣りであり、道具のバランスが重要です。軽快な操作性と感度を両立させたタックル選びが、小さなアタリを捉え、美しいタナゴとの出会いを引き寄せる鍵となります。
- 竿(サオ): 一般的には、長さ1m前後の短いのべ竿(リールを使わない竿)が使われます。特に水路やホソと呼ばれる小規模な釣り場で座って釣る「エンコ釣り」には、1m~1.6m程度のタナゴ専用竿が扱いやすいでしょう。足場が高い場所や、水面まで距離があるポイントでは、2m~3mといった少し長めの竿が必要になることもあります。初心者のうちは、まず4尺(約1.2m)程度の竿から始め、釣り場の状況に合わせて長さを変えていくのがおすすめです。
- 道糸(ミチイト): ナイロン製の0.3号~0.6号程度の非常に細い糸が一般的です。強度よりも、仕掛け全体の感度やタナゴに警戒心を与えない細さが重視されます。初心者の方にとっては細すぎて扱いにくい場合があるため、慣れるまでは0.8号程度の太さを使っても問題ありません。視認性を高めるために、色付きの道糸もおすすめです。
- オモリ: ウキの浮力を微調整するために使います。ガン玉や板オモリが主に使用されます。特に板オモリは、ハサミで少量ずつカットして調整できるため、繊細なタナゴ仕掛けには欠かせません。0.1mm~0.2mmといった極薄タイプを用意し、ウキがギリギリ浮いている状態、あるいはゆっくりと沈んでいくような絶妙なバランスに調整することが重要です。
- 針(ハリ): タナゴの口は極めて小さいため、タナゴ専用の極小の針が必須です。この針選びが釣果を左右すると言っても過言ではありません。針の形状にも様々なものがあり、「新半月」や「極小」、「三腰」、「極タナゴ」といった名称の針が、特に小さなタイリクバラタナゴなどを狙う際に好まれます。 これほど小さな針にハリス(針に結ぶ糸)を結ぶのは非常に難しいため、初めはハリスが既に結ばれている「糸付き針」を使用するのが断然おすすめです。ハリスの長さは、ハリス止めから針まで3cm~10cm程度に調整して使います。
釣果が変わる!代表的な仕掛けの種類と特徴
タナゴ釣りの仕掛けにはいくつか種類があり、それぞれに特徴があります。状況や狙うタナゴのサイズ、そして釣り人の好みによって使い分けることで、より多くのアタリを捉えることができます。仕掛けの選択は、単に魚を釣るための道具を選ぶというだけでなく、その日の状況を読み解き、タナゴの微細な反応をいかにして視覚的な情報に変換するかという、戦略的な判断が求められる部分です。
- シモリウキ仕掛け(親ウキ仕掛け):
- 構造: 親ウキと呼ばれるメインのウキの下に、シモリ玉(イトウキとも呼ばれる、浮力を持つ小さな発泡素材の玉)を複数個、道糸に連ねて取り付けた仕掛けです。
- 仕組み: 親ウキは仕掛け全体を浮かせたり、ゆっくり沈めるための浮力を担います。一方、非常に小さなシモリ玉は、タナゴがエサに触れたり吸い込んだりするごく僅かな変化(アタリ)を敏感に捉え、親ウキが大きく動く前に、シモリ玉が横に動いたり、間隔が変わったり、傾いたりといった微細な動きで釣り人に伝えます。
- 適している状況: 小型のタナゴ狙いや、非常に繊細なアタリを取る必要がある場合に有効です。集中してシモリ玉の動きを観察する必要があります。
- 主要なパーツ: 親ウキには、道糸が斜めに通ることで糸絡みが少なく感度が良い「斜め通しウキ」がおすすめです。その他、ウキを固定するウキ止めゴム、そしてアタリを捉えるシモリ玉が必要です。
- ハエウキ仕掛け(棒ウキ仕掛け):
- 構造: ハエ(オイカワなどの小魚)釣りにも使われるような、一本の細長い棒状のウキ(ハエウキ)を用いた仕掛けです。
- 仕組み: ガン玉などのオモリで浮力を調整し、ウキの先端(トップ)だけが水面からわずかに出るようにバランスを取ります。タナゴがエサを咥えると、このトップが沈んだり、逆に浮き上がったりすることでアタリを明確に示します。
- 適している状況: 比較的大型のタナゴを狙う場合や、シモリウキではアタリが見えにくい風のある日、また、アタリが比較的大きく出るため初心者にも扱いやすい仕掛けとされています。
- 主要なパーツ: ハエウキ(小型で視認性が良く、トップ部分が短いものが風の影響を受けにくくおすすめです)、そして浮力調整用のガン玉。
- プロペラ仕掛け(トンボ仕掛け):
- 構造: シモリウキ仕掛けのシモリ玉の代わりに、あるいは一部に、小さなプロペラ状のパーツを取り付けた仕掛けです。
- 仕組み: タナゴがエサに触れたり、水流が変化したりすると、このプロペラが回転したり揺れたりしてアタリを知らせます。
- 適している状況: 水が濁っていてウキやシモリが見えにくい時、風が強い時、あるいはタナゴの活性が極端に低く、アタリが非常に小さい場合に有効とされます。やや特殊な仕掛けで、経験者向けの側面もあります。
これらの仕掛けは、市販の完成品セットも多く販売されています。特に初心者の方は、まずはこうしたセット仕掛けから始めてみると良いでしょう。購入の際は、竿の長さに合った全長のものを選ぶか、長さを調整できるマーキング付きのものが便利です。仕掛け作りに慣れてきたら、各パーツを自分で選び、自作してみるのもタナゴ釣りの大きな楽しみの一つです。
タナゴ釣り仕掛け比較仕掛けの種類特徴長所短所おすすめ状況主な対象タナゴの大きさシモリウキ仕掛け親ウキと複数のシモリ玉でアタリを取る超微細なアタリも捉えやすい、感度が高い風に弱い、アタリの判別がやや難しい場合がある穏やかな水面、小型タナゴ狙い、食い渋り時小型~中型ハエウキ仕掛け棒ウキのトップの動きでアタリを取るアタリが比較的明確に出やすい、初心者にも見やすい、多少の風にも対応しやすいシモリ仕掛けほどの超微細なアタリは取りこぼすことも初心者、中型~大型タナゴ狙い、やや風がある時中型~大型プロペラ仕掛けプロペラの回転や動きでアタリを取る視認性が高い、濁り水や強風時、低活性時に有効パーツの入手が限られる場合がある、やや特殊な仕掛け濁り水、強風時、低活性でアタリが極小な時小型~中型
タナゴが喜ぶ!おすすめのエサと付け方のコツ
タナゴ釣りに使われるエサは、主にグルテン系の練りエサと、アカムシなどの虫エサです。
- グルテンエサ: 現在、タナゴ釣りの主流となっているエサです。マルキューの「タナゴグルテン」などが有名で、水と1:1の割合で混ぜて練るだけで手軽に使えます。エサには、魚を寄せるための「寄せ効果」と、針先にしっかりと残る「ハリ持ち」の良さが求められます。練り加減は非常に重要で、硬すぎるとタナゴが吸い込みにくく、柔らかすぎると針持ちが悪くなります。
- アカムシ(赤虫): ユスリカの幼虫で、非常に食いが良い生エサです。練りエサに反応が悪い時や、特定のタナゴ(例えばオオタナゴなど)を狙う場合に効果的です。
- 黄身練り(キミねり): 卵の黄身に小麦粉などを混ぜて作る、伝統的な練りエサです。非常に食いが良いとされていますが、自作には手間とコツが必要です。初心者の方は、まずは市販のグルテンエサから試してみるのが良いでしょう。
エサの付け方の極意:
タナゴの口は非常に小さいため、エサの付け方が釣果を大きく左右します。針先に、ごく少量のエサを付けるのが基本です。エサが大きすぎると、タナゴがエサを吸い込んでも針まで口に入らず、アタリはあっても釣れない「カラツン」の原因になります。
指先でエサを丸め、針先で軽く引っかけるようにして、ほんのわずかな量を付けるイメージです。エサ持ちを良くしようと硬く練りすぎたり、大きく付けすぎたりしないよう注意しましょう。
あると釣りがもっと快適に!便利な道具たち
基本的なタックルの他に、あると便利な道具もいくつかあります。
- タナゴポンプ(グルテンポンプ): 注射器のような形状で、練りエサを詰めて先端から少量ずつ押し出して使います。手を汚さずにエサ付けができ、エサの乾燥も防げるため非常に便利です。
- 計量カップ: 粉末状のグルテンエサを正確に計量し、水と混ぜる際に使います。タナゴ釣りでは少量のエサしか使わないため、小さなものが適しています。
- 観察ケース(撮影ケース): 釣れたタナゴを一時的に入れて観察したり、写真を撮ったりするための小型のケースです。タナゴの美しい婚姻色をじっくり楽しむことができます。観察後は速やかにリリースしましょう。
- 水汲みバケツ: 手を洗ったり、エサを練るための水を汲んだりするのに必要です。釣ったタナゴを一時的に生かしておく際にも使えます(エアポンプ併用推奨)。透明なタイプは観察ケースの代わりにもなります。
- 仕掛け巻き: 自作した仕掛けや、使い終わった仕掛けを巻き付けて整理しておくための道具です。仕掛けが絡まるのを防ぎ、釣り場での交換もスムーズに行えます。
- 折りたたみイス: 長時間座って釣りをすることが多いタナゴ釣りでは、携帯用の小さなイスがあると格段に快適になります。
- 偏光サングラス: 水面のギラつきを抑え、水中の様子やタナゴの姿、仕掛けの微妙な動きを視認しやすくするために非常に役立ちます。単なる日差し除けではなく、釣果に直結する重要なアイテムです。
川のタナゴ釣りマル秘ポイントの見つけ方
(ここに用水路の合流点、水門の脇、橋の下など、タナゴがいそうなポイントのイラストや写真など)
タナゴ釣りの楽しさの一つに、自分だけの「パラダイス」を見つけ出すことがあります。ここでは、川でタナゴが潜んでいる可能性の高い場所の探し方と、ポイント開拓のコツをご紹介します。このポイント探しの過程は、まさに探検であり、魚の生態を理解し、自然を読むスキルを磨く絶好の機会でもあります。
タナゴはこんな場所にいる!一般的なポイントの探し方
タナゴは臆病な魚で、物陰に隠れることを好みます。また、種類によって好む流れの速さも異なります。
- 流れの状況: 基本的には、流れが穏やかな場所や淀みを好みます。農業用水路(ホソ)、小川、池や湖の岸辺などが代表的なポイントです。ただし、ヤリタナゴのようにある程度の流れを好む種類もいます。
- 物陰(カバー)の重要性:
- 水生植物: アシやガマ、水草などが生い茂っている場所や、岸辺から垂れ下がった草木の陰は絶好の隠れ家です。
- 人工構造物: 小さな橋の下、水門の周辺、排水口の近く、杭や護岸の基礎部分、ヘラブナ釣りの台(ヘラ台)の周りなども、タナゴが付きやすいポイントです。
- 底の変化: 水路のちょっとした窪みや、深みになっている場所、障害物の周りなども見逃せません。
- 二枚貝の存在: タナゴは二枚貝(淡水性のドブガイやカラスガイなど)の体内に卵を産み付けるという特殊な繁殖生態を持っています。そのため、二枚貝が生息している場所は、タナゴの繁殖地であり、有力なポイントとなります。これは少し専門的な視点ですが、覚えておくと役立つでしょう。
- 具体的な場所の例: 都市部では、水元公園や元渕江公園のような公園内の整備された水路や池でもタナゴ釣りが楽しめるとの情報があります。こうした場所は、水深が安定し、何らかのストラクチャー(隠れ場所)が設けられていることが多く、タナゴにとって生息しやすい環境と言えます。
季節ごとのポイント選びのコツ
タナゴの居場所は季節によって変化します。
- 春~秋(高水温期): 水温が高くタナゴの活性が高い時期は、比較的浅場の水草周りや岸近くで活発にエサを探しています。広範囲に散らばっていることもあります。
- 冬(低水温期): 水温が低下すると、タナゴは水温が安定しやすい深場や、流れがほとんどない場所に集まります。このような「越冬ポイント」や「溜まり場」を見つけられるかどうかが、冬場の釣果を大きく左右します。
自分だけのパラダイスを求めて!ポイント開拓術
既知のポイントも良いですが、自分だけの秘密の場所を見つけるのは格別な喜びです。
- 「宝探し」の感覚で: ポイント探しは、まるで宝探しのようなワクワク感があります。
- 目で探す:
- 水面を注意深く観察し、タナゴの魚影や、体がキラリと光る「ヒラウチ」を探します。
- 偏光サングラスは必須: 水面の反射を抑え、水中を見通すために絶対に用意しましょう。これがあるかないかで、得られる情報量が格段に変わります。
- とりあえず竿を出してみる: 一見何もいなさそうに見える場所でも、タナゴが隠れていることがあります。有望そうな場所を見つけたら、まずは仕掛けを投入してみましょう。エサの匂いに誘われて出てくることもあります。
- ラン&ガンスタイル: 一つの場所に固執せず、有望そうなポイントをテンポ良く移動しながら探っていく「ランガン」も有効な戦略です。 ポイント探しは、単に運任せではなく、タナゴの生態や好む環境を理解し、観察眼を養うことで上達します。「ここにいそうだな」という予測が的中した時の喜びは、タナゴ釣りの大きな魅力の一つです。
初心者でも釣果アップ!タナゴ釣りの基本テクニックとコツ

タナゴ釣りは、その小ささゆえに非常に繊細なテクニックが求められます。しかし、基本を押さえれば初心者でも十分に楽しめ、釣果を上げることができます。ここでは、タナゴを釣るための基本的なテクニックと、釣果アップのためのコツをご紹介します。この釣りは力任せではなく、魚の微細な反応を感じ取り、それに合わせていく「 finesse(フィネス=技巧、巧妙さ)」の釣趣が満喫できます。
繊細なアタリを逃さない!アワセの極意
タナゴのアタリは非常に小さく、見逃してしまうことも少なくありません。
- タナゴのアタリとは?: ウキがほんの少し沈む、ピクピクと震える、横にスーッと動く、あるいは逆に少し浮き上がるなど、実に様々です。 特にシモリウキ仕掛けの場合、親ウキよりも先に、水中のシモリ玉が不自然に動いたり、間隔が変わったり、斜めになったりといった変化でアタリが現れることが多いです。シモリ玉がゆっくりと横に動くのは典型的なアタリのパターンです。
- アワセ(フッキング)のタイミングと方法:
- タイミングが命: アタリを感じたら、間髪入れずにアワセる必要があります。
- 動作は小さく鋭く: 大きく竿をあおるようなアワセは禁物です。手首のスナップを効かせて、小さく「ピッ」と竿先を上げる程度の軽い動作で十分です。力強いアワセは、タナゴの小さな口から針が外れたり、周りの魚を驚かせて散らしてしまったり、繊細な仕掛けが絡まる原因にもなります。 「しっかりアワせる」とは、力強く合わせるのではなく、的確なタイミングで、かつ確実な小さい動作で針を掛けることを意味します。
タナゴのいる層に届ける!タナ(水深)調整の重要性
タナゴは特定の水深(タナ)でエサを捕食していることが多いため、このタナ合わせが釣果を大きく左右します。
- タナとは?: 針に付けたエサが漂う水深のことです。
- なぜ重要か?: タナゴが泳いでいる層とエサの位置が合っていなければ、いくら良いエサを使っても食ってきません。
- 調整方法: ウキ止めゴムを道糸上で上下にずらして調整します。タナゴ釣りでは、5cm~10cmといったごくわずかなタナの違いで釣果に大きな差が出ることがあります。
- タナの見つけ方: まずは底近くから始め、アタリがなければ少しずつウキ下を浅くしていくか、逆に表層近くから始めて徐々に深くしていくなどして、アタリが出るタナを探します。周りで釣れている人のタナを参考にしたり、魚影が見える場合はその深さに合わせるのも有効です。
魚を寄せて釣果アップ!寄せエサの考え方
タナゴ釣りでは、積極的に大量の寄せエサ(コマセ)を撒くことは少ないですが、釣りながら自然と魚を寄せる工夫が効果的です。
- エサによる集魚効果: グルテンエサなどは、水中で少しずつバラけることで、その匂いや粒子でタナゴをポイントに引き寄せます。
- 同じポイントへの打ち返し: 仕掛けを同じ場所に繰り返し投入することで、エサの成分がその周辺に溜まり、タナゴが集まりやすくなります。仕掛けを引き上げる際に、竿を軽くあおってエサを水中で切り、落下させることで寄せエサ効果を高めるテクニックもあります。
- 開始直後の辛抱: 釣り始めはタナゴが警戒していることもありますが、30分ほど辛抱強く打ち返していると、エサの効果で魚が寄ってきてアタリが出始めることがあります。
見切りも肝心!ポイント移動のタイミング
一つのポイントで粘り続けることも大切ですが、時には見切りをつけて移動する判断も重要です。
- 最初の待ち時間: ポイントに到着して釣り始めてすぐは、人の気配でタナゴが散っていることがあります。まずは30分程度、魚が落ち着き、エサが効いてくるのを待ってみましょう。
- 移動の目安: 1時間ほど真剣に釣っても全くアタリがない、魚の気配も感じられないといった場合は、そのポイントに見切りをつけ、別の場所を探した方が賢明なことが多いです。 これは、前述の「ラン&ガンスタイル」にも通じる考え方で、効率よく釣果を上げるためには、 unproductive な場所に固執しすぎないことが大切です。
みんなで楽しむために!タナゴ釣りのマナーと注意点
タナゴ釣りは手軽に楽しめる反面、釣り場の環境やタナゴ自体がデリケートな存在であることを忘れてはいけません。美しいタナゴたちとの出会いを将来にわたって楽しむためには、釣り人一人ひとりの心がけが非常に重要です。
- キャッチ&リリースを基本に: 近年、タナゴの生息数は減少傾向にあると言われています。特に在来種や希少な種類については、釣った後は速やかにリリース(再放流)することを強く推奨します。 観賞魚として飼育する場合でも、持ち帰るのは必要最小限の数に留めましょう。
- 密放流は絶対にしない: 非常に重要なルールです。 釣ったタナゴを、元々いた水系とは異なる川や池に放流する「密放流」は絶対にしてはいけません。これは、ペットショップで購入したタナゴを自然の川に放す行為も同様です。 理由: その水系の生態系を破壊したり、病気を広めたり、在来種との交雑を引き起こして固有の遺伝子を失わせたりする原因となります。
- 釣り場の環境美化と配慮: タナゴ釣りのポイントとなる水路やため池の多くは、農業用であったり、私有地や地域住民の生活圏に隣接していたりします。
- ゴミは必ず持ち帰る: 釣り糸の切れ端一つでも残さないようにしましょう。
- 駐車マナーを守る: 農作業の邪魔になったり、近隣住民の迷惑になったりしないよう、駐車場所には十分配慮しましょう。
- 騒音に注意: 大声での会話は控え、静かに釣りを楽しみましょう。
- 岸辺の草木をむやみに踏み荒らしたり、傷つけたりしないようにしましょう。
- 他の釣り人や地域住民への配慮: 釣り場は共有の場所です。お互いに気持ちよく楽しめるよう、挨拶をしたり、場所を譲り合ったりする心配りを忘れずに。
- 希少種の保護: 前述の通り、タナゴの中には法的に保護されている種類もいます(例:セボシタビラ)。見慣れないタナゴが釣れた場合は、種類が分からなくても優しくリリースするのが賢明です。
これらのマナーを守ることは、単にルールだからというだけでなく、タナゴ釣りを愛する者としての責任であり、この素晴らしい趣味を未来へ繋いでいくための大切な行動です。
まとめ:小さな宝石タナゴ釣りの魅力にハマろう!
川でのタナゴ釣りは、身近な自然の中で美しい「小さな宝石」たちと出会える、奥深くも手軽な趣味です。繊細なアタリを捉えるスリル、季節ごとに変わるタナゴの色彩、そして自分だけのポイントを見つけ出す喜びは、一度味わうと病みつきになることでしょう。
この記事でご紹介した道具の選び方、仕掛けの種類、エサの付け方、そして基本的な釣り方とマナーを参考に、ぜひ川のタナゴ釣りに挑戦してみてください。最初はうまくいかないこともあるかもしれませんが、試行錯誤を繰り返すうちに、きっと素晴らしい一匹との出会いが待っているはずです。
タナゴ釣りは、知れば知るほど奥が深く、一生楽しめる趣味となる可能性を秘めています。さあ、道具を手に、近所の川へ「小さな冒険」に出かけてみませんか?その際は、くれぐれも魚と自然への敬意を忘れずに、安全に楽しんでください。